ZZZ × 555   作:びぎなぁ

13 / 302

ライト欲しい
ビリーシーザーと組ませたい


チェンソーメイド

 

 

 

 

 

「──は、初めまして、調査員様!カリン、ただ今電車を潜り抜けて参りました!」

 

 

そう言って此方に挨拶したのはカリン。先程チェーンソーで電車の扉をこじ開けるという荒業をこなした少女である。

 

 

「……えっ?先程からお話させていたのはこちらのボンプ様だったのですか……?」

 

 

カリンはボンプを見て驚きの声をあげる。

 

 

「あ、すみません!ボンプ様のご身分を疑っている訳ではなくて……」

 

「ボンプってことでいいよ。貴女も、ただの一般人に見えないけどね……」

 

「すみません……その、弊社は幅広い分野でビジネスを展開していまして、中にはホロウ関連の業務もあるんです……」

 

(幅広い分野、か。チェーンソーを持ってるっつーことは、やっぱそういう任務も……)

 

 

なかなかカリンへの偏見が払拭できないタクミであった。

 

 

「──そうだ!調査員様は先をお急ぎなんですよね?き、きっと道中お役に立ちますので、どうか私をホロウから連れ出してください!お、お願いします!」

 

 

そう言って頭を下げるカリン。

 

 

「……あんたたちはどう思う?この子が電車を壊してくれたから、もう迂回する必要もないよね?」

 

「まあ……無理なお願いでもないし、大丈夫だよ」

 

「僕も妹と同意見だ。彼女を出口に連れていくのは構わないけど、一応見ず知らずの人だからね。お互い隠したい事情もあるだろう」

 

「カリンちゃん、あたし達についてきてもいいぞ!

その代わり、余計なお喋りはなし。それでいい?」

 

「はっ、はい!」

 

 

こうして出口へ連れていく間、カリンが同行する事となった。

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

「にゃっ!とりゃあっ!!」

 

「ハァッ!オラァッ!」

 

「……」

 

 

ホロウの出口へ向かう道中。エーテリアスの群れが出現し、三人は交戦の真っ最中だった。

 

 

「ふふん。捕まえてみろっ!」

 

 

猫又はエーテリアスの攻撃をのらりくらりとかわし、小刀を駆使しエーテリアスの背後から素早く斬りつける。

 

 

「……」

 

 

カリンは大きなチェーンソーを使い、その高速回転する刃でエーテリアスをまとめて切り刻んでいた。

 

どうやら最近のメイドというのは戦うこともできるらしい。

 

 

ファイズは、大きな腕が武器のエーテリアス、『ファールバウティ』と交戦していた。

 

ファールバウティの大きな腕による攻撃をかわしては殴り、かわしては殴りを繰り返す。

 

ファイズは手首をスナップさせた後、「お前に構っている時間はない」と言わんばかりに、ファイズショットを右手にフォンのENTERを押す。

 

 

[Exceed Charge]

 

「フッ!」

 

 

フォトンブラッドをチャージさせ、間合いを詰めファールバウティに渾身の一撃、『グランインパクト』を叩き込む。

 

ファールバウティは両腕でガードをするが、その努力むなしく、一撃を受けて消滅した。

 

 

「よし……エーテリアスは全部片付けたぜ。そっちの方はどうだ?」

 

「こっちも全部倒したぞ!」

 

「…………」

 

 

カリンは一言も喋らない。

 

 

「……カリンちゃん?余計なお喋りはなしって言ったけど……別に一言も喋っちゃダメとは言ってないぞ」

 

「……え?そ、そうだったのですか?すみません、勘違いしていました……」

 

 

先程からの立ち振る舞いから何となく予想はついていたが、どうやらカリンは少し天然気質なようだ。

 

 

「注意。半径百メートル以内にホロウの出口を確認。旅のお供、家事代行会社の従業員、カリンの依頼を達成可能」

 

 

道中を進んでいく最中、Fairyがそう告げた。

 

 

「ん?パエトーン、何か言ったか?」

 

「ううん、お客さんの目的地に着いたよって」

 

「ほ、本当ですか?出口が見つかったんですね?よ、良かった……」

 

 

そう言って胸を撫で下ろすカリン。

 

 

「あの……本当に、ありがとうございました!調査員様のお力がなければ、カリンはきっとこのホロウを永遠に彷徨っていました!」

 

「それはお互い様だぞ。カリンちゃんのチェーンソーのおかげで、時間をずっと短縮できたんだから!」

 

「あ、ありがとうございます──その……ぼ、ボンプの調査員様には初めてお会いしました!」

 

 

カリンは手に持ったチェーンソーを持ち直し、姿勢を正す。

 

 

「……」

 

「……ん?どうしたのカリンちゃん?」

 

「い、いえ……なんでもありません!」

 

 

カリンは慌ててそう言う。たまに目線がファイズの方を向いている……ような気がする。

 

 

「何かあったの?遠慮しなくてもいいぞ」

 

「え、えっと……先程から気になっていた事があるのですが……余計なお喋りはなしと約束した手前、そういった事をお聞きするのはどうかと思って……」

 

「うーん……カリンには助けられたし、答えてあげても良いけど……質問にもよるかなぁ。何が聞きたいの?」

 

 

カリンはおずおずと答える。目線は完全にファイズの方を向いている。

 

 

「……そ、その……そちらの調査員様がお召しになっているスーツが気になって……カリン、そのようなお姿をされた調査員様とは初めてお会いしたので……」

 

「「……」」

 

「……あー」

 

 

カリンの疑問はもっともだ。そりゃあ、こんな格好をしていたら気になるのも当然だ。

 

さすがに馬鹿正直に答える訳にはいかない。だからと言ってカリンの質問を『教えない』の一言で一蹴するのも何だか忍びない。

 

 

「……き、機密事項だから詳細は言えないけど……簡単に言えばデッドエンドブッチャーみたいな要警戒エーテリアスに出くわした時の為の特別なパワードスーツ……みたいなもんだ」

 

「な、なるほど、そうだったのですね!教えていただきありがとうございます!」

 

 

カリンは再びお辞儀をした。割と苦し紛れの嘘だったが、なんとか誤魔化せたようだ。

 

 

「本日は重ね重ねありがとうございました!よ、よろしければ、皆様のお名前を教えていただけませんか?今度、従業員一同でお礼に伺いたんです!」

 

「それは……やめた方がいいかも。この業界では、あんまり深入りはしない方がお互いの為だよ。縁があればまた会おうね、カリン」

 

「バイバイ、カリンちゃん!」

 

 

再び目的地へ向かう三人。カリンはその背中へ深々とお辞儀をした。

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

「──みんな、制御室に着いたよ!」

 

 

カリンと別れてしばらくした後、一行はようやく制御室へと到着した。

 

 

「早く列車の進路を変えないと!」

 

「Fairy、操作権限をハッキングできる?」

 

「列車の制御システムを掌握中──掌握完了。お望みの方向に進路を変えることが可能です」

 

 

プロキシは早速操作を実行。しばらくした後──

 

 

「──よし!列車の進路は変更完了!後はトンネルで列車が来るのを待つだけだよ!」

 

「後は頼んだぜ、猫又」

 

「任せて!」

 

 

三人はトンネルへと向かった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。