ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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サビザンボンプ……


人間でも、化け物でも

 

 

 

 

 

「──そうだったのね。ありがとう、トリガー」

 

「お礼なんてとんでもありません」

 

 

トリガーはアンビーに今日の事について話した。

 

ちなみに内緒だったにも関わらずアンビーにここが分かった理由は、どうやらニコの手回しがあったかららしい。

 

『ルミナスクエアに女性二人と男性一人が一緒に居る』と情報を知ったアンビーは、そこへ直行。

 

そしてタクミ達を見つけた、という訳だ。

 

ずっとタクミの頬をこねくり回していたアンビーも、トリガーから訳を聞いてようやくその手を離した。

 

ただ何故アンビーが不機嫌だったのか、タクミには分からなかった。

 

 

「ご安心ください、アンビー。11号は私の戦友です。どんな時も、決して見捨てるつもりはありません……なので、貴女は貴女のやるべき事に専念してください」

 

「トリガー……ありがとう、大丈夫よ。私が……必ずツイッギーの野望を打ち砕く──だから、その時まで()()、預かっておいてくれる?」

 

 

そう言ってアンビーが取り出したのは……少し大きなぬいぐるみ。

 

 

「……! この人形、可愛いわ……」

 

「これ、アンビーの人形か? よく出来てるな」

 

「…………そうだけど、どうして分かったの?」

 

「え? いや、うん……まあ、結構似てたから──いででででで!!!なっ、何怒ってんだよアンビー!! ちょ、頬をこねくり回すな──と、トリガーさん!! 助けて!!」

 

「タクミくん!」

 

「トリガーさん!!」

 

「私にも触らせていただけませんか?」

 

「トリガーさあああああああん!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま……」

 

「あ、おかえりタクミ──あれ、タクミなんかほっぺた赤くない?」

 

「気のせい……」

 

 

あの後、アンビーとトリガーの魔の手から命からがら逃れたタクミは酷く疲れきっていた。

 

とは言え、まだ休むことはできない。今夜、まだやらなければならない事があるからだ。

 

部屋に戻り、最後の準備をする。

 

 

「タクミ」

 

「!」

 

「準備は出来た?」

 

「ああ、いつでもホロウに行けるぜ。アンビーの方も、もう大丈夫か?」

 

「私は大丈夫。ただ、行く前に少しだけ時間をくれる? やらなきゃいけない事があるから」

 

「やらなきゃいけない事?」

 

「ええ──11号と、話をしなきゃいけない」

 

「……! 分かった、それじゃあ俺は待っとくよ」

 

「ありがとう」

 

 

そう言ってアンビーは部屋を出て行き、11号がいる工房へと向かって行った。

 

恐らく彼女は11号と二人だけで話をしたいのだろう。

 

ならば自分の介入は不要と考えたタクミは、部屋でベッドに寝転がり──

 

 

「…………」

 

 

──待機しようと思ったが、このビデオ屋は床が薄く、下にいる彼女達の会話が図らずも聞こえてしまう可能性が高い。

 

ならば部屋ではなく外で待とうと、タクミは階段を駆け下りる。

 

アンビーにノックノックで『BOX GALAXYで待ってる』とメッセージを送っておき、外に出る。

 

すっかり日が暮れ、満月が顔を出した六分街。

 

BOX GALAXY名物?の『ボンプのアレな彫像』の近くにあるベンチに座り、アンビーを待つ。

 

 

「はぁ……」

 

 

夜特有の、弱くも冷たいそよ風が吹く。そんな中、タクミはツイッギーが言っていたことを思い出す。

 

 

「……オルフェノク、か」

 

 

あの時は余裕が無かったのも相まって、自身はオルフェノクではないと、そう断言していたが──今となっては否定する方が難しくなっていた。

 

他の誰にも変身できないファイズに変身できる事、時々見る悪夢の事、そして……思い出したくもない『あの日々』の事。

 

考えれば考えるほど、自分が人間であるということを信じられなくなっていく。

 

乾は『死んでいないのならばオルフェノクではない』と言っていたが、果たして自分が死んでいないと言い切れるのだろうか。

 

もしかしたらタクミは、自分でも気づかないうちに死んでしまっているのかもしれない。

 

……だと言うのに、タクミは内心酷く穏やかだった。

 

 

(……怖くないのか、俺)

 

 

タクミは無意識に自身にそう問いかける。

 

考えてみれば、オルフェノクは理性を失う化け物という訳ではない。

 

オルフェノクの力は、『ファイズ』と同じく大事な人を守る為の力になりうるはずだ。

 

エーテリアスを容易くねじ伏せるパワー。

 

銃弾、侵蝕をものともしない肉体。

 

『人類の進化形態』は名ばかりではない。もし、タクミがそのオルフェノクだとするのなら

 

タクミがオルフェノクだとして、人間でないとして、それでも大切な誰かを守れるのなら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはそれで、悪くないのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────タクミ?」

 

「……ん?」

 

 

声をかけられ、顔を上げる。

 

いつの間にかリンが顔を覗かせていた。後ろにはアキラとアンビーもいる。

 

 

「こんな時間にどうしたの? いつまでもここにいたら風邪引いちゃうよ?」

 

「あ、ああ……ごめん。ちょっと夜風に当たりたくなってさ」

 

 

てっきりアンビー一人で来ると思っていた。冷や汗をかきながらなんとか誤魔化そうとする。

 

 

「……ふーん?」

 

「…………」

 

「……ふふ」

 

「?」

 

「いやー、タクミもまだまだだねぇ。お姉ちゃんを誤魔化そうなんて百年早いんだから!」

 

「リン……それはアンビーに教えて貰ったからだろう? 確かにタクミは嘘をつくのは苦手だけども」

 

「……え?」

 

 

タクミは目を丸くし、アンビーの方を見る。アンビーは目を逸らし、バツが悪そうな顔をしていた。

 

 

「タクミ……ごめんなさい。アキラ先生とリン先生相手には、誤魔化せなかった」

 

「アンビーの件については、一緒に行く事にしたんだ。君と同じく彼女が巻き込まれている事については、僕達も知る権利があるからね」

 

「そうそう! タクミが一緒に戦うんなら、私達だって一緒に戦うからね!」

 

「……」

 

 

アキラとリンがアンビーに協力する事。

 

それは二人もシルバー小隊の事について知ることになるという事だ。

 

今までアンビーの事を考え、タクミ自身の問題──即ちオルフェノクの事については二人に言わないでいたが……

 

こうなった以上、黙っておくのは賢い選択とは言えないだろう。

 

 

「……兄ちゃん、姉ちゃん」

 

「どうしたんだい?」

 

「アンビーの件が終わったら、俺からも話さなきゃなんない事がある」

 

「……」

 

「……どうしたんだ、姉ちゃん」

 

「……ねえタクミ、もしかして今死亡フラグ建てた?」

 

「違うが?」

 

「映画で『この戦いが終わったら』云々は、死亡率が99.9%に跳ね上がるのがお約束」

 

「やめろよ、ここに来て急に不安にさせんな!」




そういえば連載開始からちょうど半年みたいです
ありがとう!!
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