ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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シルバー小隊

 

 

 

 

 

ツイッギーのいるラボがあるホロウの入口前。

 

タクミはボンプに感覚同期をしたリンと一緒に、現在臨時拠点で準備をしているアンビーを待っていた。

 

 

「アンビー遅いね……」

 

「もうすぐ来るだろ、多分」

 

タクミがアタッシュケースからデルタドライバーを取り出しながらそう答える。

 

 

「お待たせ」

 

 

丁度そのタイミングでアンビーがやってきた。その姿を見て、リンは目を丸くする。

 

 

「……!! アンビー、そのカッコ……!」

 

「昔に着てた制服よ。まさか、またこれを着る事になるとは思っていなかったけれど」

 

「凄いカッコイイ! 映画のキャラクターみたい!」

 

「……そう?」

 

 

アンビーはシルバー小隊の制服を着用していた。リンはアンビーの新鮮な姿に興奮気味だったが、タクミはその姿に複雑な表情を浮かべていた。

 

それもそうだろう。アンビーの服装はかつて会ったツイッギーが着ていたソレと同じものだったのだから。

 

シルバー小隊の過去を知ってしまったが故に、複雑な心境である。

 

 

「準備完了。行きましょう、二人とも」

 

「ああ」

 

「おっけー!」

 

 

タクミはデルタフォンのトリガーを引き、音声入力をする。

 

 

「変身!」

 

[Standing by…]

 

[Complete]

 

 

デルタフォンをデルタムーバーに接続し、タクミは青白い光と共にデルタへと変身した。

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホロウに突入した三人。リンの案内のもと、目指すは研究所へと進んでいく。

 

道中に現れるエーテリアスを共に倒していくうちに、二人はあることに気がつく。

 

 

「……なあ、姉ちゃん。アンビーの動き、前よりもキレが段違いで上がってるよな?」

 

「あ、タクミもやっぱりそう思う?」

 

 

シルバー小隊の制服に着替えたアンビーは、いつもの電磁ナタではなく双剣を使って戦う。

 

……のだが、その動きが明らかに違う。

 

彼女が戦っているエーテリアスはそこそこ強い部類だというのに、アンビーはまるでゴミ掃除をするかのように片付けていく。

 

デルタの出番は殆どなかった。強いて言うならボンプの元に寄り付いてきたエーテリアスを片付けたぐらいだ。

 

 

「エーテリアスの殲滅を完了──どうしたの、こっちを見て」

 

「いや、アンビーめっちゃつえーなって」

 

「……そう、かしら。多分この服を着て、昔の戦い方を思い出したからだと思うわ」

 

 

少し照れくさそうにアンビーはそう答える。

 

恐らくだが、今の彼女相手にはファイズやデルタの力でも敵わないかもしれない。

 

 

「マスター、今回の依頼人、アンビーの目標である研究所の位置情報を検出しました」

 

「よし。それじゃあ行こっか二人とも!」

 

 

リンの案内の元、アンビーとデルタは研究所へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数分後、アンビー達は研究所がある場所へと辿り着く。

 

 

「……あれがツイッギー? 確かに、アンビーそっくり」

 

「姉ちゃん、後ろに下がっとけ。何が起こるか分からない」

 

 

そこには既にツイッギーと、黒いマスクを付けたクローンの少女が待っていた。

 

ツイッギーは彼女達を見るなりため息を吐く。

 

 

「……どういう事、隊長? ()()で話をするんじゃなかったの? どうして無関係の助っ人がここにいるのかしら?」

 

「……第三者がいようがいなかろうが、私が貴方に負けることはない。シルバー小隊の技術の復活は、私が阻止する」

 

「…………ふっ。ふふっ、あはははは!!」

 

 

アンビーの言葉を聞いたツイッギーは突然笑い出す。

 

 

「隊長、一つ勘違いをしてるわ……私はシルバー小隊を──とっくに復活させてるの」

 

「……!! どういうこと……? クローンの兵士は、一人作るだけでも途方のないコストがかかるはず……」

 

 

ツイッギーは何も答えない……が、その答えを示すかのように────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数え切れない程のクローンの少女達が姿を現した。

 

 

「これ、は……!」

 

「……全部クローンか? いつの間にこんな数を……」

 

「あれ……でもあのクローン達、戦えるって感じじゃないよね?」

 

 

リンの言う通り、クローンの少女達は武器はおろか戦闘態勢すら取っていない。

 

どこを見ているかも、何を考えているかも分からない……誰もがそんな表情のまま、立ち尽くしているのみだった。

 

 

「ツイッギー、貴女……何をしたの? この姉妹達はどうやって──!」

 

「ふふ……どうやって、ねぇ? ()()()()()と、思う?」

 

 

アンビーはその言葉を聞いた後、しばらくして……いつにないほど険しい、戦慄の表情を浮かべた。

 

 

「まさか、貴女……姉妹達の臓器を売って……!」

 

 

そう、ツイッギーはシルバー小隊の復活の為、自ら作り出したクローンを利用してその資源を集めていたのだ。

 

 

「そんな怖い顔しないで? 私は、ただ家が欲しかっただけなの。家族と一緒に暮らせる、暖かい家が」

 

「……」

 

「技術の改良を経て、今からはクローンのコストもずっと低くなって、クローンを生み出しやすくなる。後は……彼がいれば」

 

「!」

 

 

ツイッギーはデルタの方を見る。ツイッギーの言いたい事を察知してか、アンビーが彼の前に庇うように立ちはだかる。

 

 

「……タクミに手は出させない。絶対に」

 

「大丈夫よ隊長。別に痛めつけたりなんかしない、少し協力してもらうだけ……彼のオルフェノクの力があれば、姉妹は『無敵の兵士』になれるの」

 

(……オルフェノク?)

 

 

リンはその単語に聞き覚えは無かったが、ツイッギーの言葉を聞き、嫌な予感を募らせる。

 

 

「……タクミ、オルフェノクって何? それとタクミになんの関係が──」

 

「落ち着け姉ちゃん。それはホロウを出たら全部説明する」

 

「……たっくん、こうして貴方ともう一度会えたって事は、私と一緒に協力してくれる……って事よね?」

 

「違う。俺がここに来たのは聞きたい事があるからだ」

 

 

デルタはオレンジ色の複眼をツイッギーへと向ける。

 

 

「お前にオルフェノクの存在を吹き込んだのは誰だ? ソイツはいま何処にいる?」

 

「……そうね。教えてあげても良いけど、その代わりに私がして欲しい事……たっくんなら分かるわよね?」

 

「……」

 

 

デルタはマスク越しに眉間を押さえる。分かりきってきた結果ではあるが、そう簡単には教えてもらえなさそうだ。

 

他の条件を提示するのも今の状況では難しい。

 

 

「──あ、でも一つだけ教えてあげる。たっくん……貴方がオルフェノクじゃないとしても、遅かれ早かれ、確実にオルフェノクになるわ」

 

「……!」

 

「オルフェノクは人の進化形態でありながら、人ならざる者でもある。新エリー都の市民がオルフェノクを見たら、きっとこう言うでしょうね……『化け物』だって」

 

 

ツイッギーはさらに続ける。

 

 

「──貴方がその『化け物』になったら……貴方を受け入れてくれる人はこの新エリー都にどれくらいいるかしら?」

 

「…………」

 

「いい加減にして、ツイッギー……! タクミは、化け物なんかじゃ──」

 

「でも大丈夫よたっくん。皆が貴方を拒絶して、帰る『家』が無くなっても……私は受け入れるわ。私が貴方のために、新しい家を用意してあげる」

 

「タクミ、聞き入れてはダメ……! ツイッギーは貴方を利用しようとしてる!」

 

 

 

 

 

 

デルタはしばらく俯く。数秒の間押し黙った後、その口を開く。

 

 

「ツイッギー。悪いがお前の言う『家』とやらに引っ越す気はねぇ。俺が化け物だろうがなんだろうが、俺の居場所は変わらない……少なくとも今はな」

 

 

ツイッギーの存在や過去を否定するつもりはない。

 

しかし、彼女は()()()()生き方を間違えてしまった。

 

そんな彼女がしでかしてきた事を肯定する事はできない。

 

 

「……そう。貴方も、私を受け入れてくれないのね」

 

 

彼女はタクミの返事に、悲しむ事も怒る事も無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

代わりに彼女は、とあるものを取り出す。

 

「……! おいツイッギー、何をするつもりだ──!」

 

 

彼女が取り出したのは、一つの注射器。中には得体の知れない薬液が入っている。

 

 

 

 

「……私にも分からないわよ、何をするつもりかなんて、どうすれば良かったかなんて……!! 今、自分が心底気持ち悪く見えるわ……!」

 

「待て──!!」

 

 

半ば自暴自棄気味にツイッギーはその注射器を自身の体に刺し、薬液を注入する──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その途中で、注射器が奪い取られる。

 

 

「…………っ!!」

 

「!? アンタ、何を──!?」

 

 

奪ったのは常にツイッギーの隣にいた黒いマスクの少女。彼女は躊躇うことなく注射器を刺し、残りの薬液を自身の体へ注入した。

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