ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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アップグレード

 

 

 

 

 

新エリー都市長からH.D.Dシステムのアップグレードについて聞いたリン達。

 

リンはそれについて少し気になる事があった。

 

 

「生身でホロウに……確かにすごい技術ですけど、どうして急にそんな事を?」

 

『……君達の目には新エリー都を揺るがしかねない、凄まじい力が秘められている可能性がある。こちらが把握している以上の恐ろしさを』

 

「凄まじい、力……」

 

『ああ。君達はその力の正しい使い方について知る必要がある。今日こうして話をするに至ったのもその為だ』

 

「そんなに凄い力なんですね……」

 

『力とは、よく研がれた刃物のようなものだ。それを正しく使う事の大切さについては……タクミ君、君もよく知ってるはずだ』

 

「うえっ!?」

 

 

急に話を振られ、裏返った声が出てしまうタクミ。後ろにいたエレンは思わず吹き出してしまう。

 

 

『これまで君達の事は観察させてもらっていた。タクミ君……ライカン君から聞く限り、君はその力を正しく使えているようだな』

 

「……あざす」

 

『ただ、手放しで喜ぶ事はできない。君も知っている通り、ファイズのベルトの他にも、似たようなベルトの存在が確認されている。うち二つはどこにあるのか、誰が持っているのかさえ分かっていない』

 

 

かつて戦ったサイガ。そしてバレエツインズで出くわしたオーガ。

 

戦って分かったことだが、この二つのベルトの力はファイズのそれを大きく上回っている。

 

タクミとしても、安心は出来ない状況と言える。

 

 

『私は新エリー都市長として、市民の安全を守る義務がある。詳細も分からない未知の力を放っておく様な真似はできない。ベルトの情報について、何か分かったら教えて欲しい』

 

「……分かりました」

 

「タクミ様、市長閣下はご多忙の身でいらっしゃいます。連絡事項等ありましたら、まずは私へとご連絡ください」

 

「ありがとう、ライカンさん」

 

 

話を聞く限り、ファイズは市長公認の存在になった、という事でいいのだろうか。

 

少なくともがっかりする様な事では無いはずだ。

 

 

『さて、話を戻そう。これからH.D.Dシステムのアップグレード作業に入る』

 

「それって私達も見ていいやつですか?」

 

『無論だ。君達にもアップグレードの行程を見てもらいたい。ライカン君、頼んだよ』

 

「承知いたしました。それではプロキシ様、失礼いたします」

 

 

そう言ったあとライカンは、手慣れた様子でアップグレードの処置を施していく。

 

アキラ達はそれを見ていた……が、タクミには何をしているのかがさっぱり分からなかった。

 

 

「……ね、タクミは今ボスが何してるか分かる?」

 

「いや、分からん」

 

「そっか」

 

「……」

 

「……ねえ、タクミ。あたしの勘違いだったら謝るんだけどさ。なんか、さっきからずっと浮かない顔してるよね。心ここにあらずっていうかさ」

 

「……!」

 

「え? そうなの?」

 

「あー……まあ、そうだな。兄ちゃんと姉ちゃんが生身でホロウに入るって聞いて、まあその……色々不安で」

 

「え〜? 心配し過ぎだって。第一、今までも一緒にホロウ入ってたでしょ? イアスの姿から生身に変わるってだけで、やる事は変わんないはずだよ?」

 

「それはそうなんだけどよ……」

 

 

それでもやはり、ホロウとエーテリアスの危険性を知っている身からすれば、どうしても不安は拭えないものだ。

 

戦闘能力のないリン本人も重々承知はしているのだろうが……

 

 

「まあ、タクミの心配も分かる。でも幸い、僕達の周りには君を始め、プロキシである僕らの事を守ってくれる存在がいる。彼らがいる限りは大丈夫だ」

 

『アキラ君の言う通りだ。私からも、市長としてアキラ君とリン君の安全を脅かす事は決してしないと約束しよう』

 

「……ありがとう、ございます」

 

「まあでも、生身でホロウに入るってなったら、それなりの体力は必要だからね。依頼の途中で体力切れ、なんて事にはならないようにしてよね。おぶるのめんどいから」

 

「「……」」

 

「……兄ちゃん? 姉ちゃん?」

 

「……タクミ、明日から僕達と一緒にランニングしよう」

 

「…………」

 

 

……しばらくは安全のため、ホロウ内では慎重に立ち回る必要がありそうだ。

 

そんな会話をしているうちに、ライカンが作業を終わらせる。

 

 

「皆様、アップグレードの処置が完了致しました」

 

『ご苦労だった、ライカン君。さて、アキラ君、リン君。体の調子はどうかな?』

 

「……!!」

 

「……これは」

 

 

二人の体に変化が現れ始めたようだ。

 

 

「……今のところ、大丈夫かも」

 

「本当かい? 僕は少し……気分が悪いかもしれない」

 

『体質によるものだろう。アキラ君の体が変化を受け入れるのは、ある程度時間がかかるだろう。リン君の方は──すぐに適応できたようだな。これならば、すぐにホロウに入る事ができるだろう』

 

「なら、しばらく僕はリンの手助けをする事になりそうだね」

 

『ちょうど今、プロキシである君達に受けてもらいたい依頼がある。実は地下鉄のホロウで、いくつかデータスタンドがトラブルを起こしている。それらから必要なデータを取得し、キャロットデータを更新してもらいたい』

 

「おっけーです! 任せてください!」

 

「それではプロキシ様、準備が出来次第ホロウへと入りましょう」

 

 

善は急げ、という事で早速ホロウへ行く準備を進めることにした。

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、ホロウの入り口前。

 

タクミはファイズドライバーを装着し、ファイズフォンを取り出して開く。

 

 

[5・5・5][Standing by…]

 

「変身!」

 

[Complete]

 

 

赤い光に包まれ、タクミはファイズへと変身した。

 

今回同行するリンはいつものイアスの姿ではなく、生身でホロウへと突入する事になる。

 

 

「……なんかタクミがファイズに変身したところ、久しぶりに見たかも」

 

「え? そうか?」

 

「うん、三ヶ月九日ぶりに見た気がする」

 

「なんでやけに具体的なんだよ……つーかそんな前じゃなかっただろ」

 

「それではリン様。準備はよろしいでしょうか?」

 

「うん、大丈夫だよ! じゃあ行こっか!」

 

 

リンが生身でホロウに入るのは共生ホロウ災害に巻き込まれた時以来となる。

 

一行はいつもより慎重に、ホロウへと入っていった。

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