四人はボンプの視覚記録の続きを見ることにした。
その内容は──
デッドエンドホロウでデッドエンドブッチャーを避けつつ、目的の物──猫又の家族の形見を探していた邪兎屋一行。
ただ、先に進んでいく内にデッドエンドブッチャーの痕跡が見つかっていく。おそらく生息区域に近づいているのだろうとアンビーは推測。
安全第一ということで別ルートで探索することにしたが……その時。
『いま、あああ、あっちの方に──子供が走っていった!』
猫又がそう言った。
ここはデッドエンドホロウ。ただでさえ要警戒エーテリアスがたむろしていて危険なのに子供がいるのはおかしいはずなのだが……
ひとまずニコ達は一旦依頼は中断し、走っていったという子供を救出することにした。
しばらく猫又が言った方向へ向かっていき、デッドエンドホロウの深部まで来たが、とうとう人影すらも見当たらなかった。
本当に子供を見たのかと疑心暗鬼になる三人だったが、ここでビリーが子供を発見。
そのまま走っていく子供を追いかける一行。
そしてエーテリアスに襲われていた子供を間一髪でビリーが救出──しかし。
唐突に子供がビリーを殴り飛ばした。
子供曰く、ホロウを彷徨っていたのではなく、デッドエンドブッチャーの縄張りにいた四人の事を救出してあげた、とのことらしい。
困惑するニコ達。その時──
ドゴォォォォオン!!
壁が破壊される音とともに、デッドエンドブッチャーが出現。
戦闘体勢に入るニコ達。しかし、エーテルの裂け目が出現し、子供を含む五人は呑み込まれてしまった。
そして裂け目から出た一行。
出てきたのはカンバス通り。そこでニコ達が見たのは、爆破工事によりとっくに避難しているはずの住民たちの姿だった。
───────────────────────
視覚記録が終了し、モニターが真っ黒になる。
「……なるほど、ヴィジョンはコスト削減のため、そもそも住民を避難させずに諸共爆破させようとしてたっつーことか」
中の情報を完全にシャットアウトし、住民にも何も知らせないまま、エリアを全て爆破する。
『外道』とはまさにこの事である。
住民から事情を聞いたニコは、彼らを救出するため……そして不祥事を暴くためにヴィジョンと真っ向勝負をすることを決意。
そして猫又は援軍を呼ぶためにニコからプロキシ達を連れてくるように言われた。
そして現在に至る。
「うん……ニコ達はひとまず工事エリアで委任状を集めて、ヴィジョンの動向を探るって言ってた」
猫又はニコ達と別れた後、デッドエンドホロウを抜け出し『Random Play』へとやってきたと言う。
「お願い、パエトーン!あたしと一緒に、みんなを助けに行って!」
「……猫又、あんたの言う事は信じるよ。ただ、プロキシのエキスパートとして、私達はその件に首を突っ込むリスクを警告する義務があるの」
「ああ。住民達全員を救い出すとなれば、ヴィジョンとの正面衝突は避けられない……」
それを聞いてもなお、猫又の決意の籠った眼は揺らがない。
「今更あたしを試さなくてもいい。出発した時、心に決めたんだ──何としてでも、皆を爆破エリアから救い出す!今のあたしには、それしか考えられない!」
「……分かったよ。依頼人がそう決心したなら、私達もこれ以上は言わない」
「それなら早速、救助計画を考えよう」
アキラはモニターにとあるマップを表示させた。
「邪兎屋と住民たちは現在、カンバス駅通りに閉じ込められている。こことパールマンの居る監視拠点とは、数キロも離れているんだ」
しかしパールマンは住民達を閉じ込めるために、治安局の武装部隊……に偽装した兵士たちを列車で送り込んだ。
「そういえば、私達が遅らせた列車がそろそろ目的地に着く頃だよね?ってことは、住民達を見張る人がまた増えちゃう……」
「ああ……僕たちの力では、正面突破は無理だ。けど、防御の穴を突くことはできる。それにはタクミ、どうすればいいか分かるかい?」
「えっ」
急に話を振られて少し焦るタクミだが、先程の視覚記録の内容を思い出してみる。
そういえば住民たちは全員、ビリーが助けた子供を除いて、エーテル適応体質ではないと言っていた。
正面以外のルートは通行止めか、ホロウに呑まれているかのどちらかだ。
故に兵士たちはその正面の方だけを集中して警備すれば良い。そうするだけでエーテル適性のない住民は動けずじまいだ。
だが兵士の数も限りがある。正面に多くの警備を割いているなら、他のルートで監視拠点へ行けばいい。
つまり──
「……ニコ達と一緒にホロウを経由すれば……監視拠点へ忍び込める」
「そういうこと」
「ニャイスアイデア!それでそれで!?」
「それで、監視拠点の列車を速やかに奪い、ホロウ内の線路を使って、カンバス通り駅まで向かうんだ」
そして住民達には予め駅のホームで待機してもらうい、その後列車で全員を爆破エリアから避難させる。
その際ホロウを通ることになるが、列車自体にも侵蝕耐性はあるはずだ。なるべく早く通り過ぎることができれば、住民も侵蝕に晒されずに済む。
「あったまいい!これなら無事に住民を避難させられるぞ!」
「Fairy、列車をホロウから新エリー都まで、最短で運転できる?」
「可能。既に最短ルートを計算済みです」
「よし、準備が整ったら、すぐに行動を開始しよう」
「それじゃあタクミ、はい」
そう言ってリンはタクミにボンプを渡した。
「まずはニコと合流して、計画を説明しよ。後は──」
猫又とタクミは顔を合わせ、互いに頷いた。
「うん……後は、決着をつけるだけだ」
───────────────────────
「事態は一刻を争う。今回はバイクでホロウに向かうと良い」
「ああ」
店の駐車場にて。
タクミは停められている銀色のバイク──オートバジンに乗る。ヘルメットを被り、そして同じものを猫又に渡した。
「猫又、乗れ」
「分かったぞ!」
猫又は受け取ったヘルメットを被り、そのままタクミの後ろに乗る。
エンジンを掛け、二人はデッドエンドホロウへと向かった。
バジンたんもちゃんと活躍させる予定です!