ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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ディナ

 

 

 

 

 

ビビアン達によって発見された後、ヴィクトリア家政によって保護された男性が落ち着きを取り戻し、事情を説明した。

 

ライカンは彼の説明を元に、サクリファイスのコアが隠されている場所を特定した。

 

情報によれば、どうやらハルトマンはそのコアを使ってなにやら取引をするとの事だ。そして──

 

 

『──恐らく、その取引の相手となるのは讃頌会の一員でしょう』

 

「……やはりそうですか」

 

 

ビビアンは通話越しのライカンの言葉を聞き、予想通り、と言った反応を見せる。

 

 

「ならば、その取引される前に横取りをしてしまいましょう。コアの場所が特定されているのなら容易い事でしょう」

 

「それなら善は急げだね! 早速行こう、二人とも!」

 

『皆様、くれぐれもお気をつけください。それと今回、支援者の方が皆様の手助けをしてくださるようです』

 

「支援者?」

 

『ええ。以前市長閣下がお話しされた、特殊調査員の方でございます。既に座標は彼女に伝えております。何事もなければ、目標地点で合流できるかと』

 

 

ライカンは私用がある為、今回も同行はできない。『ご武運を』の一言を最後に、通話は終了した。

 

 

「それではリン様、タクミ。讃頌会の手にコアが渡る前に、急いで出発しましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

ホロウへ入り、目標地点へ進む道中。

 

前方で久しぶりに姿を見たハルトマンと、恐らく取引の相手であろうカミエルが会話をしていた。

 

その会話で特に気になったのが、ディナという名前。

 

ハルトマンはディナに会わせろとカミエルに言っているが……カミエルはその要望に対してなあなあで受け流しているようにも見える。

 

そして当然、ハルトマンの手にサクリファイスのコアはない。

 

 

「……取引はスムーズに進んでいるわけじゃないみたいだな」

 

「ええ。どうやらハルトマンは自分の価値を過大評価し過ぎているようなのです。それに、カミエルはハルトマンとディナを会わせる事を避けているような……そんな感じがするのです」

 

「ねえビビアン、今さっき会話で聞いたディナって人も讃頌会の人なの?」

 

「……ええ。一応は……」

 

 

リンの問いに対し、ビビアンは一瞬だけ表情を曇らせた……ように見えた。

 

 

「とにかく急いでコアの隠し場所へと向かうのです。パエトーン様、ご案内よろしくお願いします」

 

「任せて! 一番早いルートを策定したからね。あ、道中のエーテリアスはお願いね、二人とも!」

 

「ああ」

 

「お任せください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハルトマンとカミエルもコアのある場所へと向かい始めた。しかし、その道中で何やら言い合っているようだ。

 

その隙に気づかれないよう先回りし、コアをかすめ取り、破壊してしまえば作戦成功。道中のエーテリアスを片付けながら駆け足で進んでいく。

 

 

「ガァァアアア!!」

 

「どけっ!!」

 

 

ファイズは下級エーテリアスを蹴飛ばしながら、ビビアン達と走る。

 

そしてコアが隠されているという屋上へと辿り着いた三人。

 

そこにあったのは恐らくコアが入っているであろう小さな箱……と、それを守る複数人のハルトマンの部下。

 

 

「……!! 何者だ!」

 

「貴方達のような虫けらに教えるつもりはないのです。さあ、その箱を渡しなさい」

 

「素直に渡すと思うか……? お前らかかれ! 一人も逃がすな!」

 

 

部下の一人の声を皮切りに、武器を持った部下達が一斉に襲いかかる。

 

ファイズはリンに部下が近づかないようにしつつ、殺してしまわないよう慎重に立ち回る。

 

部下の一人がナイフを持ってファイズへと襲いかかるが……一本のナイフではファイズのスーツに傷を付けることすら敵わない。

 

 

「はぁっ!!」

 

「ぐぁっ!?」

 

 

振り下ろされたナイフを受け止め、叩き落とし、殴り飛ばして気絶させる。

 

直後、後ろから数発の銃弾がファイズの背中に当たる……が、これも意味をなさない。

 

 

「…………」

 

「……ひっ!?」

 

 

振り返ったファイズに慄いた部下が何度も引き金を引き、銃弾を当てる。

 

 

「こ、こっち来るな──ぐわぁっ!」

 

 

ファイズはそれを避ける事をせずに、寧ろ銃を撃った部下の所へ走り出し、そのまま先程と同じように殴り飛ばした。

 

 

「痛い……」

 

 

まるでノーダメージかのように振舞っていたが、痛み自体はある。だが、いちいち怯んでいる暇はないのだ。

 

 

「まだハルトマン達は来てないみたい!」

 

「好都合ですね……早くコアを奪ってとんずらするのです」

 

 

ビビアンは地面に転がった箱を拾い、それを開ける……しかし。

 

 

「……これは」

 

「うそ、空っぽ……?」

 

 

なんと箱の中には何も入ってはいなかった。先程の戦闘でどこかに落ちてしまったのかと辺りを見回すが、どこにもない。

 

そして更にタイミングの悪いことに、ハルトマン達がここへとやって来てしまった。

 

 

「!? お前ら、どうやってここを嗅ぎつけた……! 箱の中にあったサクリファイスのコアを、どこへやった!!」

 

 

ビビアン達と、空の箱を見るなり怒鳴るハルトマン。その反応を見る限り、ハルトマンがコアの場所を変えたわけではなさそうだが……

 

 

「……どういう事なのですか? なら、サクリファイスのコアはどこに──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、誰かと思ったら」

 

「……!!」

 

 

ビビアン達の背後から、声が聞こえた。その声を聞いたビビアンは表情を強ばらせる。

 

その声の主はゆっくりとこちらへ歩いてくる。振り返れば、赤い髪の少女がビビアンを見つめていた。

 

 

「久しぶりね、ビビアン」

 

「…………ディナ」

 

「覚えててくれたのね。てっきり、貴女が陥れた他の人間と同じように、とっくの昔に忘れ去られたものだと思ってたわ」

 

「違うのです、ディナ……! わたしは本当に何も──」

 

「知らなかった? だったらどうして、あの時……そう言わなかったの?」

 

「ち、ちが──」

 

「皆、貴女が不幸にしたのよ。お父様も、私自身も……」

 

「…………っ」

 

「……」

 

 

ディナは何かを訴えようとしているビビアンに見向きもせず、懐から何かを取り出す。

 

 

「な……!? それは……!!」

 

「サクリファイスのコア……なぜディナ様が……」

 

 

ディナはそれに答えることもせず、ハルトマンの元に歩み寄る。

 

 

 

そして彼のそばで倒れている部下の足元の傷口に、サクリファイスのコアを押し込んだ。

 

部下はあまりの痛みに絶叫する。

 

 

「っ、ぐぁぁああああ!?」

 

「はぁ……やっぱり、これ偽物ね」

 

 

ディナは表情一つ変えずにそう言い放った。

 

 

「偽物……だと!? どういう事だ!」

 

「叔父様、知らないの? サクリファイスのコアはね、体内のエーテル粒子を短時間で極限まで増幅させる……コレが本物なら、こいつは侵蝕されてエーテリアスになっているはずよ」

 

「なんだと……だが確かに、俺はヒューゴからコアを──」

 

 

ディナは再びビビアンの方を向く。

 

 

「……ねぇビビアン。貴女は本物のコアがどこにあるのか知らないの?」

 

「……知りません。あのような災いをもたらすもの、あればとっくに砕いているのです」

 

「災いをもたらす……それは貴女の事でしょう、ビビアン。貴女があの時何もしなければ、私は『祝福』を授かり……お父様を失うこともなかった」

 

「それは違います……! 貴女なら分かっているでしょう!? サクリファイスが、『祝福』がどれ程悪しきものなのかが……!」

 

「黙れっ……!! もういい……貴女が本物のコアの行方を知らないのなら、用はないわ。そのままここで死になさい!」

 

 

ディナはビビアンを憎しみの籠った目で睨みつける。その時、周囲から爆発音が鳴り響いた。

 

 

「……っ、なんの音!?」

 

「姉ちゃん、ビビアン! エーテリアスだ! こっちに向かってきてる!」

 

 

大量のエーテリアスが姿を現し、全方位からこちらへ押し寄せてくる。

 

ディナ達はいつの間にか姿を消している。

 

 

「……っ」

 

[Complete]

 

[Start Up]

 

 

ファイズショットを装備したファイズはアクセルフォームに変身し、周囲のエーテリアスの全てに連続でグランインパクトを食らわせる。

 

 

しかし──

 

 

[Three, Two, One──]

 

 

(まずい、キリがねぇ……!!)

 

 

十秒余すことなくエーテリアスを討伐しても、数が尽きることは無い。

 

 

[Timeout]

 

 

時間切れを迎え、通常形態へと戻るファイズ。このままでは危険だと、ファイズはオートバジンを呼び出そうとする。

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

突如、金色と黒色の軌跡が目にも止まらぬ速さで駆け抜け、周りのエーテリアスを消し飛ばす。

 

 

「……っ、何今の……墨汁?」

 

 

 

 

 

「──巽宮は吉。杜門に活」

 

「!」

 

 

華麗さと荘厳さを兼ね備えたその声の主は、ゆっくりとした足取りでこちらへと歩いてくる。

 

 

「……そこは邪気がやばい。厄介な場所だぞ」

 

「邪気……?」

 

 

白い長髪の女性は、謎の札を右手に持ちながらそう言った。




福福ガチャで執事さんすり抜け
今回で5連続のすり抜け

冷やし中華 はじめました
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