ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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本当に……『ありがとう』……それしか言う言葉がみつからない……


列車強奪

 

 

 

 

 

「皆、目的地に着いたよ」

 

 

一行は現在ヴィジョンの監視拠点……の外にいる。

 

列車も拠点の近くにあり、忍び込むにはもってこいだ。

 

しかし当然ながら監視拠点内には当然、兵士たちがいる。何も考えず突撃しても作戦は失敗するだろう。

 

しかし──

 

 

「今回は兵士たちに見つからずに列車へ辿り着ける抜け道を確保しておいたよ」

 

「よし!それじゃあ行くぜ……このスターライトナイトが、悪を断つ!」

 

「絶対に……成功させなきゃ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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一行は抜け道を辿り、無事に列車の近くまで辿り着くことができた。

 

ニコが呼びかける。

 

 

「さあみんな、そろそろ列車に着くわよ!作戦目標は至ってシンプル──守備を倒す、列車を奪う、そのままずらかる。以上!」

 

「了解!」

 

「……ファイズ」

 

「……」

 

 

アンビーの呼びかけにファイズは何も言わず、ファイズフォンから音楽を流し始めた。

 

やけに緊迫感のあるBGMだった。

 

 

「……ファイズ?何してるの?」

 

「……」

 

 

猫又はファイズに聞くが、ファイズは何も答えない。むしろ『俺に聞くな』という雰囲気を仮面の奥から醸し出している。

 

 

「作戦決行前にはこういうBGMを流して場を盛り上げるのが鉄則よ」

 

「いやこれアンビーの差し金かよ!」

 

 

今流れているのは前にタクミがアンビーと一緒に見た映画のBGMである。

 

 

「大丈夫よアンビー。そんなのなくたって、この作戦の重大さはみんな分かってるはずだわ──プロキシ、運転はあんたに任せたからね。そっちの準備はどう?」

 

「免許は車しかないけど、頑張ってみるね……!」

 

「マスター、ご心配なく。私が詳しい操作方法を伝授いたします」

 

「よし、それじゃあ行きましょ!あっと言わせてやるわよ!」

 

 

一行は作戦を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「な、何者だ!?しまった、敵しゅ──ぐあっ!」

 

「へへっ、悪いな!」

 

「寝てろオラァ!」

 

 

侵入者を撃退しようと兵士は銃を構えるが、ビリーはすかさず銃弾でそれを弾き落とした。

 

ファイズはその隙に間合いを詰め、ヘルメットをひしゃげさせる程の威力で殴り飛ばす。

 

 

「くっ……!侵入者を捕らえろ!何としても逃がしては──ぐおおっ!?」

 

「ハァッ!」

 

「そこをどけっ!」

 

 

アンビーは飛んでくる銃弾を刀で弾きつつ、銃をバターのように切り裂き、柄で兵士を殴り気絶させる。

 

猫又は得意の身のこなしで、兵士たちを翻弄し、瞬く間に場を制圧して見せた。

 

 

「みんな!こいつらを倒してホロウを出たら、列車を奪うわよ!」

 

 

アタッシュケースを振り回しながらニコがそう言った。

 

数分後、兵士たちを制圧することに成功。

 

 

「よし、これで守備は全員倒したわね!とっとと列車を奪って、カンバス駅通りに行くわよ!」

 

「合点だ親分!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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さらに数分後。

 

ヴィジョンの爆破エリア監視拠点にある列車の前。

 

 

「グハァ!!」

 

「だるまのオッサン!命をなんとも思わない大悪党め、降参しろ!」

 

 

周りの兵士を倒し、黒幕であるパールマンを取り押さえる猫又。

 

 

「猫又、こいつも連れてって!アンビー達が運転室に向かってる。プロキシ、ホームで乗車を待つよう住民達に伝えて!」

 

「お、お前たち……あのスラムの連中を列車で連れ出すつもりか!?させん、させんぞ!連中が外に出て何か言おうものなら、私とヴィジョンは終わりだ!」

 

 

ファイズがしゃがんでパールマンの髪を掴む。

 

 

「いっ!?いでででで!!」

 

「てめーの都合なんか知るか!大人しく罪を償えこのデブ!」

 

「くっ……だ、誰でも構わん!どんな手を使ってでも、こいつらを阻止しろ──!!」

 

 

パールマンがそう言った直後、新エリー都方面のトンネルから爆発音が聞こえた。

 

 

「警告!予定ルート上路線の予期せぬ破断。小規模な爆発による線路の損壊を検出。計画は失敗です」

 

「え……!?──ニコ、大変!線路が壊れちゃった!」

 

「何ですって……!?」

 

 

倒れていた兵士がパールマンへ告げる。

 

 

「パ……パールマン長官、ご安心を!新エリー都へ続く唯一の線路を爆破しました!これで奴らはもう出られません」

 

「おおおお前、このバカタレが!線路を爆破するのは、我々が撤退した後だ!」

 

 

アンビーとビリーがこちらに合流する。その後ろには大量の兵士たちが。

 

 

「ニコ、四方から敵の増援が来てる!どうする?」

 

「くっ……」

 

「……!」

 

 

余計なことをしてくれたおかげで、ファイズ達は現在大ピンチだ。思わず髪を掴んでいる手の力が強まる。

 

 

「いでででで!!抜ける抜ける抜ける!!」

 

「ファイズ、気持ちは分かるけどそこまでにしときなさい。ひとまず列車の中に逃げるわよ。オッサンも一緒にね!」

 

「……分かった。オラ来い!」

 

「か、髪を引っ張るな!!」

 

 

一行はパールマンを連れて列車の中へと逃げ込んだ。

 

身動きが取れないようについでにゴミ箱にパールマンを突っ込んでおく。素晴らしいフィット感だった。

 

 

「ニコの親分、オッサンも列車の中に連れ込んでどうする気なんだ?」

 

「単純よ。こいつを人質にするの!そうすれば、アイツらも迂闊に攻め込むことはできないはずだわ!」

 

「おお、なるほど!」

 

「さあ、オッサン!無線であんたの部下たちに突入しないよう伝えて!さもないとアンタの安全は保証できないわよ!」

 

 

そう言ってニコは無線機をONにし、パールマンの前に置いた。

 

 

『……パールマン長官。列車付近で身元不明の侵入者による襲撃を受けました。負傷者も出ておりますが、人数や物資の面では我々が優勢と思われます』

 

「……くっ」

 

『侵入者は今、列車の運転室に立てこもっています。火力を頼んで突入いたしますか?頼んで突入いたしますか?ご指示願います!』

 

「と、突入はするな!私は今その運転室だ!邪兎屋の侵──」

 

「…………」

 

「──くっ、紳士淑女に捕まっている!よく聞け、絶対に動くんじゃないぞ!この私が少しでも怪我を負ったら、会社はお前たちの責任を問う!」

 

 

これで兵士たちがこちらに突入する心配はなくなった。

 

 

「あのオッサン、意外と役に立つな……」

 

「しばらくは攻撃してこないはずよ。でも、私達の計画も失敗に終わった」

 

「線路が使えなくなったんじゃ列車で住民を運び出すことができねぇ。他の方法を模索しないと──」

 

「……へへっ」

 

 

絶対絶命のピンチという時に、何故か猫又は笑みを浮かべていた。

 

 

「……おいおい、こんな時によく笑ってられるな」

 

「……ううん、あんたの事笑ったわけじゃなくて。──これ、さっきの戦闘でたまたま見つけたんだ」

 

 

そう言って猫又は一つのペンダントを見せた。写真には猫又と白髪の男が写っている。これは……

 

 

「──赤牙組のシルバーヘッド?」

 

「実は、あんた達を騙してたんだ。赤牙組に形見を奪われたってのも、嘘。あたしは昔、カンバス通りの近くに住んでて、組に引き取られた孤児の一人なの」

 

 

昔の赤牙組には『皆で故郷を守る』という理想があり、組員は皆そう誓い合っていた。

 

しかし老人の話したように、赤牙組は日に日に堕落していき、猫又自身も組を抜けていった。

 

 

「──でも、どんなに組に失望しても……それでもシルバーヘッドが引き取ってくれた事は事実だし、あそこはあたしにとって、一番『家』に近い場所だったんだ」

 

「……猫又」

 

 

シルバーヘッドが邪兎屋によってホロウで死んだと聞いた猫又は、復讐のためにデッドエンドホロウにおびき寄せようと考えた。

 

しかし邪兎屋の面々は、猫又の想像していた人物像とは大きくかけ離れていた。

 

子供を助けるためにホロウを駆け回り、ヴィジョンの陰謀を知っても尚、カンバス駅通りに残り闘うことを選んだ。

 

 

「結局、シルバーヘッドが死んだのもあんた達のせいじゃなかったし……あたしにはもう、あんた達に復讐する理由がない」

 

「……!」

 

「赤牙組は誓いを破って、守るべき人達を見捨てちゃった。かつて一員だった者として、組が同じ過ちを繰り返す事を、黙って見てる訳にはいかないんだ」

 

 

そう言って猫又はパールマンの襟首を掴み、列車のドアを開ける。

 

 

「……おい猫又、何する気だお前」

 

「ヴィジョンと交渉をする……安心して。パールマンって切り札もあるし、あたしの出身が赤牙組だって知ったら、きっと交渉に応じてくれる」

 

「猫又待て、戻ってこい!おい!」

 

「……っ」

 

 

ファイズの呼びかけにも答えず、猫又はパールマンを連れて列車を出ていってしまった。

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