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「猫又!猫又ってば!」
ニコ達がいくら呼びかけても、猫又の返事は無い。
「早くドアを開けて!」
「ニコの親分!この車両、窓もドアも信じらんねぇほど頑丈だ!あのパールマンって奴がわざわざ補強させたに違いねぇ!」
「ああもう、クソッ!」
ファイズはドアに向かって何回かパンチを繰り出す。破壊とまでは行かないが、ドアは凹んでおり、ダメージを与えることは出来ていた。
「後もう一押し……!」
ファイズはミッションメモリーを装填したファイズショットを右拳に装着し、フォンのENTERキーを押した。
[Exceed Charge]
そしてトドメの一撃として『グランインパクト』を放ち、ようやくドアを破壊することが出来た。
「よし、壊したぞ!」
「ナイスよファイズ!猫又とパールマン達はまだそう遠くには行ってないはず!」
急いで外へ出ると、先程いた兵士たちは居なくなっていた。
「Fairy、猫又の位置は特定できる?」
「依頼人の現在地を特定。進路によると、依頼人はおよそ三十分後にホロウの出口に到着すると推測されます」
「……ってことは、もう猫又を止める方法は無いのか……?」
「そうだとしても……住民の救出なんて大事、猫又ひとりに背負わせるわけにはいかない」
しかし線路が壊れた今、列車を動かす事は出来ない。かと言って列車無しでは、エーテル適性のない住民を爆破エリアから運び出すことは不可能だ。
「ああもう!一瞬で全員にエーテル適性をあげる方法があればいいのに!」
ここでアキラが提案をする。
「……見方を変える必要があるかもしれない。『山もし我に来たらずば、我山へ行くべし』という言葉を聞いたことはあるかい?」
「……なるほどね、さすがはお兄ちゃん。危険は伴うけど、私達に残された唯一の方法かも」
「え?どういうこと?」
「実はね、ニコ。カンバス通りと新エリー都、このふたつは直線距離で結ぶ分には、そう遠くないんだ。デッドエンドホロウの拡張で道が阻まれたから、時間をかけてホロウの中を通らなきゃいけないってだけで」
要するにホロウ自体を小さくしてしまえば、エーテル適性のない住民達でも列車なしで爆破エリアからの脱出が可能という訳だ。
「そうか、その手があったか!エーテリアスを叩けばいいだけだろ?俺達にとっちゃ楽勝だな!」
「だけど、ホロウの規模を効率的に縮小させたいなら、さっきみたいなエーテリアスを三千体ぐらい倒さないと」
「……!?」
アンビーの言葉に愕然とするビリー。
「でも特定の状況で、一部の巨大な個体のエーテル活性は、標準的なエーテリアスの数千倍、あるいはそれ以上に達するの。その巨大な個体っていうのが──」
「──デッドエンドブッチャーか」
「あのデデデッ、デカブツの事か!?俺にゃ、色んな意味でデカ過ぎるぜ……」
「うん。私達だけじゃ、デッドエンドブッチャーには敵いっこないよね。でもここには、ヴィジョンが送り込んでくれた武器が沢山ある」
監視拠点にあるエーテル爆薬を使い、デッドエンドブッチャーをぶちのめす作戦である。効果は抜群だろう。
「ふふん、いいわ。あんた達の言う通り、確かに危険の伴う方法だけど……迷ってる時間はないわ!直ぐに作戦開始よ!」
一行は監視拠点へと向かった。
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「……よし、これで最後だぜ!」
「プロキシ!爆薬は全部列車に積んだぞ!」
「ありがとう、二人とも!」
監視拠点にあったエーテル爆薬を、ファイズとビリーは片っ端から列車へと積み込んだ。
これだけの量があれば、デッドエンドブッチャーを倒すことができるはずだ。
「注意、猫宮又奈の生体信号を検出」
「! 彼女は今どこにいるんだい?」
「間もなくホロウの出口に到達します」
もうじき猫又がパールマンを人質にヴィジョンと取引をする頃だろう。
「まずいぞ……早く急がないと。計画通り、二手に別れよう」
「あたし達はデッドエンドブッチャーを引きつけるのね?」
「ああ。指定の位置まで誘導しておいてくれ」
「爆薬列車は私達に任せて!」
「了解。じゃあ、私達は行きましょう」
アンビー達四人は目的地まで行った。プロキシは列車の運転室へ向かう。
「よし、僕達は列車の運転に取り掛かろう」
「……」
アキラが呼びかけても、リンは何故か黙ったままだった。
「……リン?」
「っ!ど、どうしたの、お兄ちゃん?」
「……タクミの事が気掛かりかい?」
「……っ、うん……」
「……大丈夫だリン。タクミには絶対に無理をしないよう、普段から口を酸っぱくして言ってるからね。それにニコ達もいるし大丈夫だ」
「……そう、だよね」
「僕達は、僕達ができることをやろう」
「……うん」
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プロキシと別れてしばらくした後、目的地に着いた四人。
「何もねぇな……あのデカブツはここに?」
「デカイのは居ないわね。チビばっか」
「……身を潜めてるはず」
瓦礫の山から辺りを見回してみるが、そこには並のエーテリアスしかおらず、ターゲットのデッドエンドブッチャーはどこにもいない。
すると突然、エーテリアス達が踵を返して逃げていく。
「ん?雑魚たちが逃げてく……」
「……ファイズ」
「来るか」
「BGM」
「……は?」
突拍子もない事を言い出したアンビーに困惑するファイズ。
「映画なら悪役のBGMが流れる所だから……」
「また流せってか?あのなお前……」
「フッフッフ……安心しろ二人とも!俺はスターライトナイトに必勝法を教わった……悪役相手にルールは無用!開幕必殺キックだ!十秒で倒せば、BGMが流れる隙なんて──」
「ビリー!後ろ!」
ビリーが話している最中、空から閃光がこちら目掛けて音速で落下してきた。
辛うじてアンビーがその閃光を防ぐ。
閃光の正体は自分たちの身長の何倍もある巨大な槍だった。
「お……俺の予想を読まれた……っ!?」
「おバカ!エンドロールが流れる所だったじゃない!」
「さてはスターライトナイトのファンだな!?」
「……あれがデッドエンドブッチャー」
まさしく要警戒エーテリアスに相応しい巨体。地面に突き刺さった槍をその手に持ち、デッドエンドブッチャーは鼓膜を突き破りかねない程の咆哮を放った。
「グォオオオオオオオ!!!!」
「よーし行くぜファイズ!スターライトナイトとファイズの力を合わせりゃあ、向かうところ敵無しだ!」
「え?あ、ああ!」