労働者の男──ファンチーを助けた後、彼から事情を聞いた。
ファンチーは友人と一緒に集会が行われる場所に到着したが、その時いきなり讃頌会の人間に捕まり、謎の地下施設へと拉致されてしまったらしい。
どうやら讃頌会の司教が儀式の準備をしているらしく、彼は友人を残して命からがら逃げ出し、今に至るのだそうだ。
アキラは集会にいた労働者達に危険だから今すぐ避難するよう説得したが……ごく少数を除き、それに応じてくれる人間はいなかった。
「このままじゃ皆が……」
「ひとまずファンチーの友人が捕らわれたという地下室へと向かうしかないな。讃頌会の陰謀を暴く手がかりも、そこにあるかもしれん」
それさえあれば、頑なに動かない労働者達も納得してくれるだろう。
アキラは引き続き労働者を説得する為に場に残り、他はやたらと多いミアズマに気を配りながら、先へと進む。
……進もうとしたところに、巨大な扉が立ちはだかる。
扉を開く制御装置には、讃頌会が仕組んだエーテルバリアが張られている。
「ど、どうしましょう……? いきなり出鼻をくじかれちゃいました……!」
「落ち着くんだ福姐。ひとまずこのバリアを壊す方法を──」
[1・0・3][Blaster Mode]
ドォン!!
「……ん?」
突然大きな音がしたので振り向いてみれば……ファイズブラスターを構えたファイズの姿が。
エーテルバリアは、粉々に破壊されていた。
「た、タクミ!? 何やってんの!?」
「いや、その……壊れるかなって」
「確かに壊れたけど! さすがに方法が脳筋過ぎない!?」
実は通常形態でも使えるファイズブラスター。ブラスターフォーム変身時より威力は劣るが、それでも何かを破壊するのには十分な威力を持っている。
ちなみにしっかり威力は調節した為、制御装置は無事だった。
「通常形態でも使えるなら、最初からそれを武器として使った方が良いんじゃない?」
「んー、でもファイズエッジの方が使い勝手が良いんだよな……」
「まあ……何にせよ結果オーライだな、でかした。このまま進むぞ」
ミアズマを術法で消し、立ちはだかるエーテリアスをなぎ倒しながら進む一行。
ある程度のミアズマを排除し終わったところで、通信越しからアキラの声が聞こえる。
『リン、どうやら上手くミアズマを片付けたみたいだな』
「うん、術法にもだいぶ慣れてきたよ」
『マスター、付近に異常な区域を一箇所確認。当該区域より異常なエネルギー信号が大量に発せられています』
「……! エネルギー信号って事は、もしかしてそこが讃頌会の本拠地かな……とりあえず行ってみよう!」
襲いかかってくるエーテリアスや讃頌会の人間を返り討ちにして行く一行。
その道中、いくつかの手がかりを見つけた。
一つ目は解悩水の実験記録。
二つ目はミアズマ転化実験の報告書。
三つ目は──
「転化実験の被験者の、リスト……」
「やっぱり、儀式ってのは皆をミアズマを纏ったエーテリアスに変えることなんだ……!」
「あっ!」
「! 福福先輩、どうしたんだ?」
「あっちに何かありますよっ!」
福福が指差す先を見てみると、そこには異様なまでに巨大なミアズマの塊。
「……なんだあれ……!」
「やっぱり讃頌会は、儀式の為に集会場所にミアズマを隠してたんだね」
リンはそれを写真に撮り、データをアキラの元へと送る。
『────ありがとう、リン。これで皆、ここに居るのは危険だと分かってくれるはずだ』
「それじゃあ避難誘導はお願いね、お兄ちゃん!」
「よし……私達は引き続き地下室へと急ぐぞ」
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報告書にあった認証を使って、エレベーターで移動し、ようやく地下室へと到着した。しかしエレベーターを出るなり、先程までとは全く違う異様な雰囲気が漂ってきた。
案の定ミアズマに侵されたエーテリアスが襲いかかってくるが、なんとか対処していく。
恐らくだが、ここは讃頌会がミアズマを使って実験を行っている研究所なのだろう。
「こ、ここ……凄く不気味ですね……」
「おおかた讃頌会の拠点だろうな」
「なんかオバケとか出てきそうで──はっ!! い……いや、タクミくん! 別にあたし、ホラー映画が苦手ってわけじゃないですよっ? ただ、ここは何が出るか分かりませんからね、オバケは別に怖くありませんけど」
「福福先輩」
「!は、はいっ」
弟弟子の前の前で情けないところを見せまいと必死で見栄を張る福福の肩に、ファイズは優しくポンと手を置き──
「俺もオバケは怖いから」
「わぁ〜ホントですかっ!?」
「タクミ、隠さなくなってきたね」
「そしてなんで福姐はそんなに嬉しそうなんだ」
オバケなどいない。
いるとしたらエーテリアスぐらいだ。
先程の比ではないレベルのミアズマに顔を顰めながら、先へ進む。
エネルギー装置の回路を術法で切断し、ミアズマを消していきながら先へ進むと──
「!! あ、あなた達は……!」
「う…………だ、誰だ……?」
狭い部屋にいたのは複数人の労働者達。彼らはリン達を見た途端、怯えた表情を見せる。
「や、やめろ……! 俺は実験台になんてならない!」
「落ち着け、私達はお前さん達を助けに来た。讃頌会の者じゃない」
「あ……そ、そうか。よく見たら、雲嶽山の先生方じゃないか」
どうやら彼らは薬剤を投与されたらしく、身動きすら取れない状態でいるようだ。
労働者のうち数人は、薬の影響か精神が錯乱している様子だった。
その時、ファイズは部屋で何かを見つける。
「…………? なんだ、これ」
「タクミ、どうかした?」
ファイズが拾ったのは、何かの装置。中には……ミアズマが入っている。
「ふむ……このあたりでミアズマが異常発生しているのと、何か関係があるのかもしれん」
「そうだね。ひとまずこれは後で市長さんに調べてもらうとして……多分儀式の場所はすぐ近くだね」
「早く儀式を止めて、こんな不気味な場所とはおさらばですっ!」
そして足を進めるに連れ、濃くなっていくミアズマの気配。儀式の場所は、すぐ近くだ。
「情報によれば、讃頌会の司教……確かメヴォラクとか言ったな。ソイツがここ辺りにいるはずだ」
「いよいよですねっ……!」
「リン、お前さんは戦いが始まったら労働者達と安全な場所へ隠れておけ。讃頌会の手先にも、しっかり気を配っておくんだぞ」
「うん、分かった!」
「よし……それでは行くぞ」
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ラマニアンホロウに位置する、時計塔広場。
そこにはおびただしい量のミアズマと──それを操る一人の女性、メヴォラク。
「……お前さんがメヴォラクとやらか」
「ここまで来ましたか……懲りませんね、雲嶽山」
「あなた達の野望も、ここで終わりですよっ!」
「
メヴォラクは不気味に笑う、そして周りの大量のミアズマが、彼女へと集まっていく。
「まだ、始まったばかりですよ……神聖なる儀式は」
メヴォラクの身体にまとわるミアズマは……やがて赤紫色の禍々しい鎧と剣を形成した。
「始まりの主の意思に逆らう愚か者達に──然るべき神罰を!」
いきなりの駆け足展開でしたが、次回司教戦です!
そして次々回で(多分)2-1章は終了です!