ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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序章:商機‪ × 怪奇 × 仁義
パエトーン


 

 

 

 

 

新エリー都市内

 

ヤヌス区六分街の街角、ビデオ屋「Random Play」店内にて。

 

ビデオ屋の店主であるアキラとリンは、工房のテレビで十四分街で起きた共生ホロウ災害に関する報道を観ていた。

 

 

「パエトーン!いるかしら!?」

 

 

突然店内の工房に、桃色の髪の少女が勢い良く入ってきた。

 

 

「あれ?ニコ?」

 

「それ、もう見なくていいわよ!ニュースで言ってる爆発、あたしが当事者だから!」

 

 

ニコと呼ばれる少女は一息に捲したてる。

 

 

「緊急事態よ!ビリーとアンビー、それからあたしの依頼のターゲットが全部ホロウに落ちた!プロキシの助けが必要なの!一生のお願い!」

 

「こんにちは、ニコ。次からはちゃんとノックしてから入ってきてくれると助かるかな」

 

「月に三回は聞くよね、ニコの一生のお願い」

 

「好きなだけからかっていいから、力を貸して!お願い、パエトーン!」

 

 

どうやら今回も、ニコが何かやらかしたらしい。

 

『パエトーン』と呼ばれる二人の兄妹はニコの話を聞くことにした。

 

 

 

 

 

 

「あんたたちに依頼があるの!それもすっごく大事な依頼!」

 

 

誰もニコの後をつけていない事を確認した二人は、工房内で彼女の話を聞いた。赤牙組との衝突の話だ。

 

研究所を襲撃し、金庫を盗み出した赤牙組。

 

ニコたち『邪兎屋』は、それを取り戻すという依頼を受けた。

 

それからなんやかんやあって赤牙組と追いかけっことなり、十四分街のマンションの高層階にて航空部隊の砲撃により建物が爆発。それにより金庫とともに──

 

 

「──ビリーとアンビーがホロウに落ちたの」

 

 

さらにニコは続ける。

 

 

「二人を助けて、依頼人から頼まれたものを取り戻さないと!あたしを助けてくれる人なんて、あんたたちしかいないの!」

 

 

要するに、ホロウに落ちた邪兎屋の従業員であるアンビーとビリーの救出、そして依頼人に頼まれた物の回収。

 

この二つをプロキシである二人にやって欲しい、とのこと。

 

 

「この依頼が終わったら、これまでのツケをまとめて払うから!」

 

「まあ、いいか……今回だけだよ?」

 

「まだダメ!?じゃあ追加で──ってアレ?オッケーなの?」

 

 

予想外の快諾に狼狽えるニコ。

 

 

「あーあ……お兄ちゃん即答しちゃうんだから……」

 

 

呆れるリンだが、依頼を受けるという事に関しては兄と同じ考えだった。

 

 

「よし!善は急げよ、早く出発しましょ!あたしは先にホロウの中で待ってるから──ッ!?」

 

「……ニコ?怪我をしたのかい?それならここでしばらく休んでいいよ、代わりにタクミを一緒に行かせよう」

 

「大丈夫だよニコ、イアスならタクミに連れてって貰うから。お兄ちゃんの言う通り安静にしてて?」

 

「確かに……『パエトーン』と『ファイズ』がいれば百人力ね!それで、タクミは今どこにいるのかしら?」

 

「おおかた部屋でゲームでもしてるんだろう……リン、悪いけど呼んできて貰えるかい?僕はニコの傷の手当てと、H.D.Dシステムの調整をしておくよ」

 

「うん、分かった」

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

「タクミ、いるー?」

 

 

ビデオ屋2階、タクミの部屋。

 

兄の言っていた通り、弟のタクミは部屋でビデオゲームをしていた。

 

 

「タクミ?お兄ちゃんが呼んでるよ」

 

「…………」

 

 

タクミは返事をする素振りすら見せない。

 

聞こえていないのだろうか。

 

 

「タクミ?おーい、タクミってば!」

 

「…………」

 

 

余程夢中になっているのか、一向に返事をする気配がない。

 

 

「……はぁ」

 

 

リンは溜め息を吐いた後、息を吸い込んで──

 

 

「わぁッ!!」

 

「ウォォオオオオオッッ!?!?」

 

 

タクミは思わずコントローラーを放り出して、悲鳴を上げた。

 

こうかはばつぐんだ!

 

 

「……な、なんだ姉ちゃんかよ……ビビった……」

 

「やーっと気づいた……ゲームに熱中するのは良いけど程々にね?」

 

「あ、ああ……ごめん」

 

 

呆れながらタクミの姉──リンはテレビに写っている『ストリートウォーリアー6』のゲーム画面を見る。

 

 

「ていうかまた格ゲーしてるの?ホント好きだねぇ、ソレ」

 

「そりゃ運要素のない純粋な駆け引きが楽しめるからな。一生飽きねーよ」

 

「さっすがニューススタンドのスクラッチでほぼ毎日、骨三本しか出ない人は言うことが違うね〜」

 

「……」

 

 

タクミはとてつもなく運が悪い。

 

ゲームをする時ではその運の悪さが顕著に現れる。

 

レースゲームでは、せっかくトップを走っていたのに不運による被弾とコースアウトで最下位に転落した事もある。

 

その時は柄にもなくコントローラーを破壊しかけたという。

 

そんなリアルラックがマイナスの方向にカンストしているタクミが唯一楽しめる対戦ゲームが格闘ゲームというわけだ。

 

 

「──つーか何の用だよ、姉ちゃん」

 

「依頼だよ」

 

「依頼?誰の?」

 

「ニコの。どうやら緊急事態らしいの」

 

 

リンはタクミに依頼の詳細を説明した。

 

 

「じゃあ私は下で待ってるから、さっさと支度しちゃって」

 

 

そう言うとリンは部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

それから一分もしない内にタクミは支度を終わらせ1階へ降りてきた。

 

 

「──あ、タクミ。もう準備は出来たかい?」

 

 

タクミの兄──アキラが声をかける。

 

 

「ああ、もう準備できてるぜ。依頼の事も姉ちゃんから大方聞いたよ」

 

「よし……それじゃあイアスを頼んだよ」

 

「パエトーン!ファイズ!二人の事頼んだわよ!」

 

「任せとけ──よし、じゃあ行くぞイアス」

 

「ンナンナッ!」

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

ホロウの入り口

 

 

 

『着いたぜ。イアスも一緒だ』

 

 

電話越しにタクミから無事ホロウの入口に着いたことを確認する。

 

 

「よし……それじゃあリン──始めるよ」

 

「うん」

 

 

ボタンを押し、イアスとの感覚同期を開始した──

 

 

 

 

 

 

 

 

その間、タクミの方もベルトを取り出し、装着する。

 

そしてガラケー……もといファイズフォンを開き、コードを入力する。

 

 

[5・5・5][Standing by…]

 

「変身!」

 

 

そしてバックル部分へセットした。

 

 

[Complete]

 

 

タクミの体は瞬く間に赤い光に包まれ、『ファイズ』へと変身した。

 

 

「──そっちも準備できたみたいだね」

 

 

声がした方を向く。イアスの声だ。

 

……正確に言えばイアスと同期したリンの声だが。

 

 

「じゃあよろしくね、ファイズ」

 

「ああ」

 

 

一人と一匹は、ホロウへと入っていった。

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