(……あの……野郎)
三人がデッドエンドブッチャーと交戦中。
壁に叩きつけられたファイズは辛うじて意識を保つ事ができていた。頭から生暖かい液体の感触が流れてくる。
(生身なら死んでたな……さっきの仕返しって事かよ)
体に鞭打ってなんとか起き上がる。
デッドエンドブッチャーは起き上がったファイズに反応し、とどめを刺すべく三人を無視してこちらに向かって走り出す。
「ファイズ!逃げろ!」
(こうなったら……)
ファイズはフォンを開き、コードを入力し始めた。
[5・8・1・4][Auto Vajin, Get into the action]
コードを入力した直後、デッドエンドブッチャーは死角から何者かによって銃撃を受けた。
「っ!?今のは……?」
ニコ達が銃撃が飛んできた方向を見ると、そこには人型の機械がジェット噴射で飛行しながらデッドエンドブッチャーに対しガトリング砲で援護射撃をしている光景があった。
反撃にデッドエンドブッチャーは思い切り腕を振り回す。
しかしその機械は手に持ったシールド、バスターホイールでその一撃を防ぎ、反撃に再びガトリング砲を掃射する。
「グォオオオオオオオ!!!!」
「おぉ!めっちゃつえぇなアイツ!」
「でも何者なのかしら……もしかしてヴィジョンの……?」
「オートバジンだ」
ファイズが三人の元へ歩いていく。彼に気づいた三人の方もファイズの元へ駆け寄る。
「ファイズ!大丈夫?」
「平気だ……それと心配すんな、あれは俺達の味方だ」
「味方……?どういうこと?」
「あれは戦闘モードに変形した俺のバイクだ。いざと言う時の為に、近くで待機させといたんだ」
「お前のバイクすげぇな……あのデカブツ相手に有利に立ち回ってるぜ」
怒涛の攻撃によって反撃を許さないオートバジン。
それによりデッドエンドブッチャーが膝を着いたことを確認したオートバジンは、戦闘を中断しこちらに飛行して向かって来た後、着陸した。
ファイズはオートバジンの左肩にあるグリップにミッションメモリーを装填する。
[Ready]
「……遊びは終わりだデカブツ」
ファイズはグリップを引き抜く。するとフォトンブラッドが蓄積された刀身が現れ、ファイズエッジとなった。
デッドエンドブッチャーはファイズに向かって渾身の一撃を叩き込もうとする。
ファイズはそれを避けずにエッジを振るい、そして軽々とデッドエンドブッチャーの腕の一本を斬り落とした。
「グォオオオオオオオ!!!!」
デッドエンドブッチャーの叫び声が響き渡る。ファイズは間髪入れずにフォンのENTERキーを押す。
[Exceed Charge]
フォトンブラッドがスーツのフォトンストリームを経由し、ファイズエッジの刀身に流れ込む。
ファイズはエッジを下から振り上げ、デッドエンドブッチャーに向けて赤い光波を放出。
光波はデッドエンドブッチャーを拘束し、身動きを取れなくする。
ファイズはデッドエンドブッチャーの元へ走り、ファイズエッジで『スパークルカット』をお見舞いした。
「グォオオオアアアアア!!!」
デッドエンドブッチャーに『Φ』のマークが浮かび上がり、断末魔が上がる。
「見たか、この野郎……!」
「よくやったわファイズ!あとはプロキシが来るのを──」
『間もなく、列車が到着いたします!線の内側までお下がりください!』
「!」
遠くで列車の走行音が聞こえる。
線路を爆走する列車。上にはボンプ姿のプロキシが仁王立ちしていた。
列車はそのままデッドエンドブッチャーへ突撃し、壁へ叩きつけ動きを封じ込めた。
プロキシは電車から四人の元へ降り立つ。
「Fairy、お願い!」
「はい、空気中の電荷を測定します──」
「ビリー!」
「任せろっ!」
ビリーは二丁の拳銃を構え、列車に数発の銃弾で穴を開ける。
そしてアンビーは電磁ナタを投げて列車に空いた穴へ突き刺す。
「臨界電位差到達まで残り4秒、3──」
「早く!」
「2」
「ビリー、ちょっと肩貸してくれ」
「おう!」
「1」
急いで電車の裏へ避難する。デッドエンドブッチャーは車両をどかすべく力を込める。
「ゼロ!」
そしてFairyはカウントダウンの終わりを告げた。
「…………」
「……あれ?何も起きない?」
しかし、何も起こらない。静寂の中、デッドエンドブッチャーは四本の腕を駆使し、車両を持ち上げようとする。
「何とかしなさいよ!」
「やり直します!43210!」
その瞬間、列車に突き刺さったアンビーの刀に一筋の雷光が落ちる。約1億ボルトの電流は瞬く間に列車を伝い、そして──
ドゴォオオオオオン!!!!
列車の中のエーテル爆薬が起爆。列車はデッドエンドブッチャー諸共、盛大に爆発した。
「やったぜ店長!作戦は大成功だ!!」
「みんな、怪我は無い?」
「私達は大丈夫。でも、ファイズが……」
「え……?」
ファイズの方を見ると、壁を背もたれにしつつ座っていた。よく見ると肩で息をしている。
「さっきの闘いでデッドエンドブッチャーに投げられて、壁に叩きつけられて……」
「ファイズ!」
プロキシはファイズの元に駆け寄る。
「大丈夫!?どこか怪我は……」
「大丈夫だプロキシ。それよりも急ぐぞ、爆破エリアで住民達が待ってる」
「でも──」
「だから大丈夫だって。確かにダメージは食らったけど、致命傷って訳では全然ねぇしさ」
「……うん。分かった」
「ファイズ、肩を貸すわ」
先程の攻撃の影響か、未だ動きがおぼつかないファイズの腕を肩に回すアンビー。
「……ああ。ありがとよ、アンビー」
「気にしないで。私達は友達だから」
「……ははっ、そうだな」
一行はカンバス駅通りへと急いだ。
バジンタンカッコイイヤッター!