ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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聞き込み

 

 

 

 

 

「浮波さん、狛野さん……! 私にも、オブスキュラの調査を手伝わせて欲しいのだわ!」

 

 

アリスは柚葉の目を見ながら、そう頼み込む。

 

 

「あの後、よく考えたみたのだけれど……調査監督チームの一員として、何も出来ないままなのはどうしても許せなくて……だからお願い!」

 

「はぁ……お嬢様? 一応忠告しといてあげるけど……貴女の立場でそんな事したら、ろくな目に合わないよ」

 

「でも──」

 

「それに、柚葉達の為だって言うけど……そうやって人の目ばっか気にしてたら、いつかなんにも出来なくなっちゃうんだから」

 

 

柚葉はアリスに厳しくそう言うが……あくまで彼女はポーセルメックスからの報復の可能性を案じ、そう言っているだけ。

 

少なくともこの場にいるアリス以外の全員はそう思っている。本人は否定するかもしれないが。

 

 

「アリス、無理に私達の力にならなくていいよ? 確かに柚葉の言う通り、協力したのがポーセルメックスにバレたらヤバいし……」

 

「大丈夫、考えなしに行動に出たわけではないわ。ブラックウッド氏は態度こそ強硬だけれど、少なくとも契約は守る人だと聞いているのだわ。オブスキュラの件が安全調査と関わりがなければ、バレたとしても対処する方法はあるはず」

 

「…………分かったよ。貴女がいいなら、別に着いてっても良いけど……柚葉達が行く泅瓏囲までは、結構距離あるよ? ホロウにも入る事になるし」

 

「問題はないのだわ。ホロウの研究をする上で、幼少の時からフェンシングやホロウでのサバイバル術を教えられて来たのだから」

 

 

どうやらアリスの戦闘能力に関しては、特に心配はしなくていいようだ。

 

 

「んじゃアリス、今から行く道だけど──」

 

 

「いやああああああ覆面のお化けぇええええええ」

 

 

「えっ……? ……あっいや、俺だよアリス! タクミだから! 変身してるだけだから!」

 

「……ホントに大丈夫かな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれが警備ロボね」

 

「そ。アキラくんとリンちゃんが視覚記録を消してくれるから、お嬢様は柚葉達と一緒にロボを大人しくさせて」

 

「了解したのだわ……!」

 

 

アリスはどこからかレイピアを取り出し、戦闘態勢に入る。

 

警備ロボはアリス達を発見するとサイレンを鳴らしながらこちらへと向かってきた。

 

 

「くっ……!!」

 

 

ファイズにも警備ロボが数体襲いかかる。

 

うち二体により後ろから羽交い締めにされ、動きを封じられるが、咄嗟にロボの顔に肘打ちをして素早く脱出する。

 

攻撃を避けつつ、的確に反撃を叩き込んでいく。

 

 

やがて最後の一体を蹴り飛ばし、物理的にシャットダウンした後、ファイズは周りを見る。

 

アリス達も既に警備ロボ達を鎮圧させた後。視覚記録を削除したおかげで、増援も来なかった。

 

 

『警告。数十メートル先に複数の生体反応を検知』

 

「嘘、もしかしてポーセルメックスの人達が……?」

 

「有り得るッスね。こっからはバレねぇように小道から行くしかねぇな」

 

「そーそー。真斗の図体じゃすぐバレるからね〜」

 

「ほっとけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は警備に最大限気を配りながら、道を進んでいく。

 

慎重に進んで行ったのでかなり時間がかかったが、アクシデントもなく無事に泅瓏囲に辿り着く事が出来た。

 

 

 

 

柚葉は泅瓏囲にいる月という少年に手を振る。

 

 

「あれ、柚葉ねーちゃん? また宝栄おじさんの代わりに来たの? なんか最近ずっとだよな」

 

「うん、実はパパが腰をやっちゃってね〜代わりに柚葉が来る事になってるの」

 

「でも……今は学校のはずだろ? そんな事言ってサボってたら退学になっちまうぞ」

 

「あ、そんな事言っていいのかな? 月のフーセンガム、ぜーんぶかまちーがパッチンガムの方にすり替えちゃうかもよ?」

 

「あのね柚葉ねーちゃん。そんな古典的なイタズラ、引っかかる人なんてどこにもいないでしょ」

 

 

 

「「「…………」」」

 

「なんで俺を見るんだよ」

 

 

()()()イタズラに引っかかったのは別に自分が疑う事を知らない馬鹿だからではない。あくまで人を信じる気持ちが強いと言うだけだ。

 

タクミはそんな綺麗事を自分に言い聞かせる。

 

 

「それで、柚葉ねーちゃんはどんな材料が欲しいの? この輝磁の原石、良い色してるだろ? 兄ちゃんが髪の白い女の幽霊からぶん取ったんだって!」

 

「か、髪の白い……幽霊……?」

 

「そう! その女の幽霊は鳥みたいに金色の翼が生えてて……兄ちゃんがまばたきをした瞬間、そいつは跡形もなく消えたんだって……!」

 

「ひぃぃ……」

 

「おまけに消えた瞬間、兄ちゃんは首の後ろがゾクッと冷たくなって──あいたっ!?」

 

「はーい不合格〜」

 

 

柚葉は月の話の途中でデコピンをお見舞い。デコピンされた月は涙目で柚葉を睨む。

 

 

「いったいなぁ……『輝磁の商売で大事なのは物語を売る事』だって、そう言ったのは柚葉ねーちゃんだろ!?」

 

「だからってちょっと雑過ぎ。それに、先週は近くの山道で"変なため息"を聞いたとか言ってなかった?」

 

「あれはホントだよ! メローもダンテも、何回も同じため息を聞いたって!」

 

()()()……? どうやら女の幽霊の方は、だいぶお話を盛ったようで〜?」

 

「うっ……柚葉ねーちゃんはすぐそうやって揚げ足を取る……でも、ため息の方は嘘じゃないから!」

 

「はいはい、それじゃこの原石は買いって事で。後でパパがアクセにしてくれるから、幽霊の話も柚葉クオリティでリメイクしてあげる!」

 

「へへ、毎度あり!」

 

「あ……そうだ。これ買う代わりに、ちょっと教えて欲しい事があるんだよね」

 

 

柚葉は懐からオブスキュラの欠片を取り出し、月に尋ねる。

 

 

「この欠片だけど、前にうちに届けてくれた材料の中に入ってたんだよね。これ……誰が届けてきたのか、分かる?」

 

「うーん……僕は分かんないや。メローかファンおじさんに聞けば分かるんじゃない?」

 

「そっか……ありがとね!」

 

 

 

 

 

柚葉達は別れたあと、それぞれ手分けして聞き込みをする事にした。

 

タクミとアリスはメローと呼ばれる少年の所に話を聞きに行った。

 

 

 

 

…………が、ここで問題が発生。

 

 

「……ラジコンが壊れた?」

 

「そう。僕はこれ直すのに忙しいから、聞くのは直してからにして」

 

「「…………」」

 

 

タクミとアリスは顔を見合わせる。

 

メローはオブスキュラの欠片が何処から来たのかを知っているらしいが……一年かけて貯めたおこづかいで買ったラジコンがダンテに壊されてしまったらしい。

 

 

「それを直せば、教えてくれるのかしら?」

 

「…………」

 

「……坊や?」

 

「……お姉ちゃん達、そもそも誰? ポーセルメックスはよそ者をシャットアウトしてるって母さん言ってたけど……お姉ちゃん達のことは見た事ないよ」

 

「メローくん。こんな優しそうな顔したお姉さんが怪しい人に見えるか? 大丈夫だって、別に誰かの回し者とかでもないから」

 

「……それなら、お兄ちゃんは? お兄ちゃん、見るからに怪しそうだけど」

 

「えっ、『見るからに』……?」

 

「タクミ! 真に受けてしまっては何も聞き出せないのだわ……!」

 

 

タクミに代わり、アリスが聞き出す。

 

 

「坊や。実は私達は奇々怪々の店主である浮波宝栄さんの御息女である柚葉さん達と知り合いなのだわ」

 

「…………宝栄おじさんの苗字は『浮波』じゃなくて『リー』だよ。やっぱりお姉ちゃん達、怪しい……」

 

「えっ」

 

 

どうやら柚葉は宝栄に引き取られた養子で、血は繋がっていなかったらしい。思いがけないミスにより、さらに怪しまれてしまった二人。

 

どうするべきかあたふたしていると……

 

 

「大丈夫だよメローくん。その二人は怪しい人じゃないから」

 

 

タイミングのいい所に、柚葉達がやって来た。

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