ポーセルメックスの社員の一人から、ホロウの出口までの道を(無理やり)聞き出した柚葉達。
フェロクスと鉢合わせしてしまう可能性を考慮し、讃頌会が作り出した化け物がいるという実験棟へと入った。
「……にしてもあの野郎、この建物の二階に裂け目あるっつってたが、マジなんだろうな……」
「多分ホントだよ。あの慌てっぷりだったし……嘘はついてないと思う」
「問題はこの建物にいる例の怪物ね……」
裂け目を使ってホロウの外に出たあと、H.D.Dが繋がらなくなった原因を突き止め、タクミを救助するために改めてホロウへと突入。
ひとまずはその作戦で行くことにした。
懸念点はすぐ近くにの部屋にいるであろう怪物。出くわした挙句、その騒ぎをフェロクスに聞き付けられては困る。
「そういえば真斗くん……さっきも聞いたけど、ホントに怪我は大丈夫?」
「ん? ああ、ジブンはもう平気っすよ。なんなら──」
ドゴォォォンッ!!
「!!」
真斗の声を遮るかのように響く巨大な破壊音。
それに気付く間もなく、リンの所に大きな瓦礫が飛んできた。
「危ねぇっ!!」
「! 真斗くん!」
当たる寸前で真斗が割って入り、飛来する瓦礫をその身一つで受けきった。
流石の体格とパワーを誇る真斗も、瓦礫の衝撃には思わず苦い顔を浮かべた。
「真斗、大丈夫!?」
「平気だ、それよりも……出やがったか」
瓦礫が飛んできた方向を見ながら、真斗は忌々しげに呟く。
壁が破壊され、砂埃が立ち込める。その中から、何者かがゆっくりと歩いてくる。
その姿を見て、リン達は驚愕した。
「あれは……まさか……」
エーテリアスでもサクリファイスでもない、種族特有の色を持たない体。
槍を手に、白いたてがみをなびかせながら──ライオンオルフェノクが、その姿を現した。
「あの灰色の体、インターノットのスレの写真のものとそっくり……ねぇリンちゃん、あれが昨日の夜言ってた、『オルフェノク』っていうのであってる? 」
「うん、そうだよ……でもまさかこんなとこで出くわしちゃうなんて……!!」
「こうなったらフェロクス達に見つかる前に、ケリつけねぇとな……」
「リンとイアスは安全な場所に! ここは私達に任せるのだわ!」
三人はそれぞれ武器を構え、ライオンオルフェノクとの戦闘が始まった。
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一方その頃。
ファイズはかまちーと共に隙を見て建物を脱出していた。
「今頃姉ちゃん達はホロウを出てるはずだ……俺達も早めに脱出しないとな」
ファイズフォンを取り出し、脱出用のジェットスライガーを呼び出すべくコードを入力する。
「…………!!」
「ん? どうしたかまちー…………ってあれ?」
かまちーが指をさした先を見てみると、ジェットスライガーが自律飛行をしながらこちらへと向かってきていた。
(あれ……? まだコード入力し終わってないんだけど)
(…………てかジェットスライガーって自律飛行出来たっけか?)
そんな事を考えた直後。
飛行中のジェットスライガーから、無数のミサイルが飛んできた。
「っ!? うおおおおおおお!!」
自身が負傷中であることも忘れ、かまちーを連れて全速力でミサイルから逃げるファイズ。
ミサイルを撃ち込んできたジェットスライガーはやがて地面へと着地する。
そしてジェットスライガーから何者かが降り、その姿を見せた。
「サイガ……!!」
何度目かも分からない邂逅となる二人。ファイズは仮面越しにサイガを睨みつける。
「お前……何が目的だ!」
「…………」
ファイズの問いに、案の定サイガは答えない。
返答をするその代わりに、サイガは突然左手を高く掲げ始めた。
「……?」
何をするつもりなのか。ファイズは警戒心を最大限に強めながら、攻撃を待つ。
──その瞬間、サイガの周りから無数のエーテリアスが湧き出てきた。
「っ……!?」
ファイズを囲むように、デュラハン、タナトス、ハティ……様々なエーテリアスがエーテルに塗れた地面から這い出てきた。
それを見て、ファイズは内心舌打ちをする。
(オルフェノクはエーテルを操れる……なるほど、こういう事ができても不思議じゃねぇわけか)
「グォオオオオオ!!」
「!!」
一匹のエーテリアスの咆哮を合図に、囲んでいたエーテリアス達が一斉に襲いかかってきた。
──と、その時。
「グゥッ……!?」
「っ!」
突如周りに真っ白な煙が立ち込め、一瞬でエーテリアス達の視界が奪われる。
この煙は……恐らく煙幕弾によるものだ。
(この煙幕弾、かまちーか……! ナイスだ!)
一時的にエーテリアスの動きが止まったこの状況、活かさない手はない。
[Ready]
[Exceed Charge]
(
ファイズはファイズショットを構え、フォトンブラッドをその右拳に集約させていく。
そして────
「はあぁっ!!」
その拳を、
地面に叩きつけられたフォトンブラッドのエネルギーは、衝撃波と共に拡散されエーテリアス達に多大なダメージを与える。
ファイズを囲んでいたエーテリアス達は、そのまま何も出来ずに消滅していった。
エーテリアスを討滅後、ファイズは煙を振り払いサイガを探す。
このどさくさに紛れ、姿を消したようだ。
「…………!!」
「! かまちー、どこ行くんだ!」
辺りを見渡していると、かまちーが突然一直線に走り出しあ。
こんな時に意味の無い行動をするかまちーではない。という事は……
(サイガの『匂い』を追ってるのか……!)
ファイズは走るかまちーに着いていき、サイガの行方を追っていく。
十数秒もしないうちに、フライングアタッカーで飛行中のサイガを発見した。
「逃がすかよ……!!」
[Complete]
ファイズはアクセルメモリを装填し、アクセルフォームへと変身する。
[Start Up]
そしてスタータースイッチを押し、全速力でサイガの追跡を開始した。
ラマニアンホロウの入り組む建物の中を、サイガはフライングアタッカーで高速で飛行していく。
その後を追うように、ファイズが地面を走り、壁をつたい……どんどんサイガとの距離を縮める。
「たぁっ!!」
「!!」
やがてサイガに追いついたファイズは、フライングアタッカーの機体めがけて蹴りを放った。
キックの衝撃により飛行姿勢を崩したサイガは、徐々に制御を失い、地面へと墜落していった。
[Three, Two, One──Timeout]
[Reformation]
ちょうど時間切れにより、アクセルフォームから通常形態へと戻るファイズ。
体制を立て直そうとするサイガの元へと走り出し、容赦なく追撃をお見舞いする。
「……っ!!」
負傷中ということもあり、完全に優勢とは行かなかったが、それでもサイガ相手には確実にダメージを与えられていた。
雲嶽山で少なからず培った戦闘スキルを活かし、有利に立ち回っていく。
数分にわたる攻防の末──
「はあっ!!」
「ぐっ……!!」
『とどめ』の権利を手に入れたのは、ファイズの方だった。
サイガを勢いよく蹴り飛ばした後、ファイズポインターをセットする。
[Ready]
[Exceed Charge]
手首をスナップさせ、深く腰をためる。
ファイズポインターにフォトンブラッドがチャージされると、ファイズはそのまま走り出し、大きく飛び上がった。
「……!!」
[Exceed Charge]
サイガも負けじとフォンのENTERキーを押し、右拳に青いフォトンブラッドを集約させる。
そしてフライングアタッカーで、上空のファイズめがけて飛び上がった。
ファイズポインターとともに放たれるファイズの『クリムゾンスマッシュ』と、それに対するサイガの『スカイインパクト』。
空中で二つの技がぶつかり合う。
「やぁぁああああああっ!!」
拮抗した末、ファイズの雄叫びとともにクリムゾンスマッシュがスカイインパクトを打ち破った。
渾身のクリムゾンスマッシュを食らったサイガは、そのまま空中で派手な爆発を見せた。