ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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ミアズマ・フィーンド

 

 

 

 

 

アキラと合流し、つい先程ホロウへと突入した儀玄は、通信機越しにリン達に告げる。

 

 

『人命救助と爆薬……ここは二手に別れるぞ。オボルスの兵隊、お前さん達は研究所の守りを任せる。その間に私がミアズマフィーンドとやらを片付ける。これでどうだ?』

 

『ふん……まあいいだろう。シードと11号は私と来い! トリガーはプロキシ君達と同行し、引き続きフェロクスを追え!』

 

「了解しました」

 

「ちなみに……爆薬の設置場所は分かりますか?」

 

「あ、ああ勿論! 案内する!」

 

「それじゃあ皆、よろしくね!」

 

「お任せ下さい!」

 

 

こうして一行は二手に分かれて、リン達は柚葉達の救助へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、濃く残る痕跡を辿って行く途中。

 

ちょうど入ろうとしていた建物の中から、何かを破壊するような音がこちらに聞こえてきた。

 

 

「……! 今の音は……」

 

「ちょうど正面の建物から聞こえてきたね……ミアズマの濃さから見ても、中にミアズマ・フィーンドがいる事は間違いないよ」

 

「急ぎましょう、二人とも!」

 

 

最早一秒とて無駄にはできない。三人は全速力で建物の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グァアアアアアア!!」

 

 

「もう〜! しつこいよ!」

 

「くそ……全然振り切れねぇ……!!」

 

 

オートバジンに乗り、命懸けの鬼ごっこを始めて数分が経つ。

 

実験棟を飛び出し、ラマニアンホロウ内を爆走バイクする二人。

 

ミアズマの影響か、かなりの数のエーテリアスが襲いかかってきたが構わず轢き飛ばし、ミアズマフィーンドに捕まらないようアクセル全開で走る。

 

 

…………しかし、ミアズマ・フィーンドは辺りのミアズマを吸収したせいか次第に速さを増していき、今にも追いつかれそう状態だった。

 

別の建物へと逃げ込むが、それでもミアズマフィーンドは止まらない。

 

あらゆるものを破壊するその怪物は剣を振りかざし──

 

 

ガキンッ!!

 

 

「っ!!」

 

 

斬撃でオートバジンの後輪部分を攻撃。

 

その衝撃で二人はバイクから放り出され、地面を転がっていった。

 

 

「グゥゥウウ……!!」

 

「…………!!」

 

 

白い髪から見える、殺意に満ちた恐ろしい眼が柚葉達を見据える。

 

二人を追い詰めたミアズマ・フィーンドは、まるで処刑人のような佇まいでゆっくりとその剣を掲げ……ファイズ目掛けて振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────しかし、その刃が届く事はなかった。

 

 

「ッ……!!」

 

 

金色の閃光がミアズマフィーンドを剣ごと呑みこみ、そのまま壁へと吹き飛ばしたのだ。

 

その攻撃に、ファイズは見覚えがあった。

 

 

「──どうやら、間一髪だったようだな」

 

『タクミ、大丈夫かい!?』

 

「師匠……!! それに兄ちゃんも!」

 

 

二人の前に現れたのは儀玄とイアス姿のアキラ。

 

さらにほぼ同時に、アリス達もこの場に到着した。

 

 

「柚葉!」

 

「! アリス……!」

 

「二人とも、無事で良かった……! 怪我はない?」

 

「リンちゃん……私は大丈夫だよ、ありがとう」

 

 

アリスは柚葉の元へ駆け寄り、肩を貸してゆっくりと立ち上がらせる。

 

ファイズの方もトリガーに支えられながら、なんとか立ち上がった。

 

 

「焦らなくても大丈夫です、タクミくん。ゆっくりと立ち上がって」

 

「っ、師匠もトリガーさんも……なんでここに……?」

 

「積もる話は後だ。まずは、目の前のコイツをどうにかしないとな」

 

「!」

 

 

儀玄が指差す先。つい先程吹き飛ばされたミアズマフィーンドが、ゆっくりと立ち上がりながら儀玄を睨んでいた。

 

 

「コイツがミアズマ・フィーンドとやらか……」

 

「儀玄先生! 私達も加勢するのだわ!」

 

「アリスと言ったな……良いだろう。戦力は多いに越したことはない」

 

「…………」

 

「それと、そこの大怪我してる奴は動くんじゃないぞ。大人しく休め」

 

「えっ」

 

 

重傷を負っているとは言っていないのに、見透かされてしまっている。

 

 

「なぜ分かるんだと言う顔をしているな……師匠の目は誤魔化せんぞ。早く病院に行く事だ」

 

 

「グァアアアアアア!!」

 

 

「っ……アキラ、タクミを頼んだぞ」

 

『任せてくれ、師匠。トリガー、手伝ってくれるかい?』

 

「お任せください。タクミくん、歩けますか? よろしければ担ぎますが」

 

「大丈夫です、歩けはするんで……」

 

 

ミアズマ・フィーンドとの戦闘を繰り広げる儀玄達を横目に、ファイズはトリガーに支えられながら建物の外へと出る。

 

 

「…………?」

 

『? トリガー、どうかしたかい?』

 

「いえ、部屋の隅の方に……何者かが縮こまっているようです」

 

「え……? あ、アイツは……」

 

 

少し寄り道をし、その縮こまっている何者かの元へと向かう。

 

 

 

 

 

「ひ、ひぃぃ……! やめろ、撃つな……!!」

 

『…………トリガー、どうしようか?』

 

「そうですね……念の為、彼もホロウの外へ連れて行きましょう」

 

 

トリガーは心底怯えきった表情をする男性……フェロクスを拘束し、連行しながらその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

儀玄はミアズマ・フィーンドに対し、圧倒的な力で着実にダメージを与えていく。

 

 

「ガァァアア!!」

 

 

目にも止まらぬ早さで襲いかかる斬撃を華麗にかわし、素早く距離を詰め──

 

 

「ふっ!!」

 

「! グゥゥ……!!」

 

 

札を取り出し、術法を叩き込む。その攻撃に対しミアズマフィーンドは明らかな焦りを見せ、攻撃を中断して距離をとる。

 

 

「これで例の回復するという特性は封じた。あとは畳み掛けるのみだ」

 

「さすが先生なのだわ……!」

 

「っ、やばい……! また来るよ!」

 

 

ミアズマフィーンドは剣を手に再び襲いかかるが……先程のような素早さはない。

 

確実に弱っている今が絶好のチャンスだ。

 

 

ミアズマフィーンドが振りかざす剣を弾き飛ばし、総攻撃を叩き込む。

 

 

「グォォォオオオ……!!」

 

 

(ミアズマ・フィーンド……讃頌会が作り出した、私の抱いた執念の()()()……か)

 

 

次第に動きを鈍らせていくミアズマ・フィーンド。それでも、攻撃の手は緩めない。

 

 

「今……楽にしてやろう」

 

 

 

 

 

儀玄はそんなミアズマ・フィーンドへ、トドメの一撃を叩き込んだ。

 

 

「グァァアアアアアア……!!」

 

 

断末魔を上げるミアズマ・フィーンド。

 

術法の影響で辺りに散らばったミアズマが次第に浄化され、消滅していく。

 

そしてミアズマ・フィーンドも消滅していくなか、儀玄は目にする。

 

 

「…………!!」

 

 

消えながらこちらを見る()()の眼が、一瞬だけ人間の眼に戻っていたのを。

 

そんな安らかな目つきで、ミアズマ・フィーンドは静かに消滅していった。

 

 

「……せめて、安らかに眠るといい」

 

 

その言葉は、怪物に向けてか、自身の過去に向けてか。彼女は静かにそう言った。

 

 

 

「お、終わった……これで──」

 

「柚葉!!」

 

「っ、え? あ……アリス?」

 

 

戦いが終わるや否や、つかつかと柚葉の元へと向かっていくアリス。

 

 

「これ、返すわ!」

 

 

その言葉とともに、彼女は柚葉にセイラープーのヘアピンを渡した。

 

 

「か、返すって……それは元々アリスの──」

 

「良いから! ()()()()で! これから生きていくの!!」

 

「っ……!!」

 

「はぐらかしたら……っ、承知しないっ!!」

 

 

そう柚葉に言ったアリスは……今にも泣き出しそうな顔をしていた。

 

 

「アリス……」

 

「だから、二度と……二度とあんな事を……!」

 

「……うん、ありがとう。約束するよ……二人で、生きてこ」

 

「……っ、うわぁああん!!

 

「あ〜もう……泣かないの」

 

 

耐えきれず大泣きするアリスを、抱きしめながら宥める柚葉。

 

そんな二人を、窓の隙間から暖かい朝日が照らしていた。




次回!
大姉弟子のお説教タイム!!
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