オルペウス、鬼火、11号らマッチロック分隊は、パエトーン、ファイズとの合流に成功。
その後火力支援等を担うトリガー、シードのアイアン分隊と連携を取りつつ、本任務である讃頌会の連絡拠点の偵察のため、一行は作戦を開始。
その道中だった。
「ガァァアアアア!!」
「っ、前方にエーテリアスを確認! 数は……十数体ほど!」
『任務の進行を阻む気か、エーテリアス共め……こちらマッチロック! アイアン分隊、状況を報告せよ!』
『…………』
『? アイアン分隊! 応答せよ!』
鬼火が通信機越しに別行動中の彼女らに呼びかけるが、反応がなかった。
「オルペウスさん、何かあったんすか?」
「アイアン分隊との連絡がつきません……! 向こうで何かあったのでしょうか……」
『仕方ない、ならば今はコイツらを片付けるぞ!』
ミアズマを纏い、襲いかかるエーテリアスの群れ。
ファイズ達は戦闘態勢に入り、エーテリアス達との応戦に臨む。
「フッ! ハァッ!!」
敵の攻撃をかわし、エーテリアスに反撃を叩き込む。
仲間がやられてもエーテリアスは攻めることをやめない。数にものを言わせ、隙をついてファイズを後ろから動きを封じる。
「……っ!」
ファイズはすぐさまエーテリアスに肘打ちをかまし、高速から逃れた後そのエーテリアスを蹴飛ばした。
『アイアン分隊! 応答しろ!』
『…………』
『うっとおしいノイズだ……通信が妨害されているのか……?』
「もしそうなら、きっとここかアイアン分隊がいるところの近くに通信設備があるはずだよ!」
「……この近くにはないみたいね」
ファイズはエーテリアスを大方片付けた後、ファイズフォンを開いてコードを入力する。
[5・8・2・1][Auto Vajin, Come closer]
『……? 小僧、何をしている』
コードを入力してから数秒も経たずに、上空からオートバジンが上空から火力支援にやって来た。
『ッ!! 敵の増援か!!』
「違うっす鬼火隊長! あれは味方です! 撃ち落とそうとしないでください!」
オートバジン目掛けてレーザーを撃とうとした鬼火をファイズは慌てて止める。
オートバジンは上空を飛びながらバスターホイールのガトリング砲により、群がるエーテリアスを一斉排除。
エーテリアスを全滅させたあと、オートバジンは地面へと降り立った。
「凄い……この方は知能構造体でありますか?」
「知能構造体じゃないっすけど……敵味方の区別がつくくらいには賢いやつです」
『ふん、そうでなくては困る。誤って味方を撃つようであれば速攻スクラップだからな』
「隊長さっきその"味方"を撃とうと──なんでもないであります!」
ファイズの言う通り、オートバジンが味方を撃つ心配は今のところないと言っていい。
オートバジンと出会ってからというもの、彼がフレンドリーファイアをかます事は一度もなかった。
論理コアが埋め込まれている訳では無いが、相当優秀なCPUが内蔵されているのではないだろうか。
『アイアン分隊との連絡は未だ取れずにいる。何かが起こる前に、先を急ぐぞ』
鬼火がそう言った直後だった。
「…………!!」
ミアズマの沼が現れ、そこから再び無数のエーテリアスが湧き出てきた。
「……! コイツら……」
「みんな、エーテル活性が急上昇してる……! 気をつけて!」
『上等だ! 消し飛ばしてくれる!』
再び戦闘態勢に入るファイズ達。オートバジンも参戦し、戦況は混沌を極めようとしている。
その時だった。
『こちらアイアン! 鬼火隊長、聞こえる〜?』
『! シード隊員!』
先程からノイズしか聞こえなかった通信機から、アイアン分隊の一人であるシードの声が聞こえた。
そしてその直後、トリガーの声も聞こえてきた。
『敵のジャミング装置は停止させ、無事電波はクリアしました』
「二人とも無事だったんでありますね……! ああでも、こちらはピンチであります!!」
「ミアズマのせいで、永遠にエーテリアスが湧き続けてる……!」
今の状況を表すなら、『多勢に無勢』という言葉が最適だろう。
讃頌会が溜め込んだミアズマは留まることを知らず、徐々にマッチロック分隊を追い詰めていく。
[Ready]
ファイズはオートバジンからファイズエッジを引き抜き、リンがエーテリアスに襲われないよう彼女の近くで戦闘を続ける。
リンはこの状況を打開すべく、通信機でトリガー達に呼びかける。
「アイアン分隊! 聞こえる!?」
『! プロキ……特派員さん、どうしましたか?』
「通信制御室に、エーテル伝送装置の端末はある? それを停止すれば、ミアズマの供給も止まるかも……!」
『おっけー! 任務目標更新!』
通信を終え、十数秒後……突如エーテル活性が下がり、ミアズマの勢いが弱まった。
『こちらアイアン! ただいまエーテル伝送装置を停止しました!』
「ありがとう! これで敵はもう湧いてこないはず!」
「よし……」
見た限り、敵の残りはおおよそ十数体程。
[Complete]
ファイズはアクセルメモリーをファイズフォンに装填。胸部のフルメタルラングが展開し、フォトンストリームは白く輝き始める。
ファイズはアクセルフォームへと変身した。
[Start Up]
スタータースイッチを押した後、ファイズはファイズエッジを構え……地面を蹴った。
「ハッ!! とりゃあっ!!」
「うわあっ!?」
『ぐ……っ、おいオルペウス!』
常人には視認できないレベルの速さに、オルペウスは思わず尻餅を着いてしまう。
ファイズはファイズエッジで次々と下級エーテリアスを斬り裂き、葬っていく。
そして最後に残ったのは群れの親玉らしき上級エーテリアスのバニーレック。
[Three, Two, One──]
「ハァッ!!」
ファイズは通常の何百倍ものスピードでバニーレックを捕え、『スパークルカット』で滅多切りにした。
[Time Out][Reformation]
消滅するバニーレックを見届けながら、ファイズは通常形態へと戻る。
ファイズは周りを見渡す。今度こそ、エーテリアスは全滅したようだ。
「隊長、敵はもういません」
『……こちらマッチロック、敵残党を掃討した』
「?」
鬼火は何やら不満そうな様子で、アイアン分隊に報告する。
『アイアンも制御室のデータのコピーは完了したよ〜』
『よし、偵察目標は完了だ。これから目標地点へ向かい合流する!』
アイアン分隊と合流するため、一行は合流地点へと出発した。
「ファイズの力……この目で見るのは初めてだけど、予想以上ね」
「い、イゾルデ大佐から頂いた資料の『通常の千倍の速さで動ける』というのは本当だったんでありますね……」
「あれは百倍ぐらいですけどね」
「へ!? あれでまだ!?」
前に一回、調子に乗ってフル出力でアクセルフォームの力を使った事がある。
通常の千倍の速度。あまりにもオーバーパワーかつ、体への負担も大きかったので使うのはそれきりにした。
何事も力加減が大事だと言うことを学ばされた。
そんな会話をしながら目的地へと進んでいると……道中にとあるものが置かれているのを発見した。
それは──
「この棺桶……ひょっとして『オブスキュラ』?」
「オブスキュラ? 確かイゾルデ大佐に提出した情報にあった……エーテルの実験装置、でありましたっけ?」
『実験装置か……ただそれだけの用途ならば良かったんだがな』
「? 防衛軍はオブスキュラについて何か知ってるの?」
『その話は後だ、今は任務に集中しろ』
「そんな警戒しなくても良いのに……」
「気を落とさないでください、特使殿。隊長の振る舞いには、長い付き合いである自分も──」
『何をくっちゃべっている! 早く行くぞ!』
マッチロック分隊は引き続き先へと進んだ。