今年も本作品をよろしくお願いいたします!
それと匿名設定を解除しました
活動報告で近況等を書いていく予定です
旧都陥落時の真相の一部を知った鬼火は……もはや冷静でいることはできなかった。
「お、鬼火隊長! 銃身の状態が非常に不安定であります! どうか落ち着いて──!」
『落ち着いてなどいられるかっ!! イゾルデ、早く答えろ……一刻も早く、そいつらに相応しい罰を与えてやる!』
『……オルペウス隊員の言うとおりだ、鬼火。今はまだ確かな証拠が十分にそろっていない状況だ。今は冷静さを保て』
『冷静だと!? "真相"を中途半端に聞かされて、冷静を保てと言うのか!?』
オルペウス達の制止もままならず、鬼火の怒りの炎は大きくなっていく。
『イゾルデ! お前には私の怒りが分かるだろう! 私はこのために生まれてきた!! 戦友の命を軽んじたクズどもに、しかるべき制裁を与えるために……!』
『……君の怒りは私にもよく分かる。その感情は極めて正当なものだ。だが、ここはどうか堪えてくれ』
『…………ッ』
「鬼火隊長、イゾルデ大佐の言うとおりだよ。今私たちには、やらなきゃいけないことがある」
『……分かった風な口を聞くな、パエトーン。お前に私の怒りが分かるのか?』
「分からないよ。十一年前は、私は兵士でもなんでもなかったからね。でも……失うことの辛さは、分かってる」
『!』
十一年前、エリー都に住む人々はホロウによって多くのものを失った。
十一年前だけではない。今に至るまでも、色々なものをホロウや悪しきものに奪われた人間は、数多く存在する。
衛非地区の市民や雲嶽山の人間とて、例外ではない。
旧都陥落で大事な人を、故郷を失い、衛非地区へと流れ着いた人も少なくないだろう。
「……けど、失ってばかりじゃない。私も、お兄ちゃんも、タクミも……頑張って前に進み続けた。オボルス小隊の皆だってそうでしょ?」
『……』
「もちろん過去は消えないし、蔑ろにしていいものでもない。けど今、この手にあるものだって、おんなじくらい大切なはずだよ!」
リンの言葉に、鬼火の中にあった怒りの炎が徐々に小さくなっていく。
「鬼火隊長……」
『……確かに、プロキシ君の言う通りだな。今は任務を遂行することを優先すべきだ。イゾルデ、旧都陥落の件……有耶無耶にするつもりはないが、今は何も聞かないでおいてやる』
『そうしてくれると助かる。本来このタイミングで水を差すつもりはなかったが……君の"命令に従うだけの軍人が優れているとは限らない"という考え方、それが正しいものだったと伝えておきたかったんだ』
『……』
「それじゃあ、引き続き進もっか。もたもたしてたら裂け目が消えちゃうかもだし、急いでいくよ」
『……了解だ。オボルス小隊、引き続き前進だ!』
「はっ!」
一行は特定した裂け目の座標を目標に、足を進めていった。
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裂け目を通った瞬間、ミアズマの気配はより一層濃くなった。
"盲点"の情報はやはり正しかったようだ。
拠点ではちょうど何かの儀式が行われている最中。一行はそこで、見覚えのある姿が目に入った。
「!! 前方、讃頌会の一員を発見であります!」
「あれは…………間違いない、サラだ!」
「……!」
サラはリン達を見るなり、怪しげな笑みを浮かべる。
「ふふ……パエトーンに、ファイズ……久しぶりね」
「こっちはできるだけ会いたくなかったけどね。あんたら讃頌会のバカみたいな計画も、ここで終わり!」
「バカみたいな、ね……常々、あなたたちのような傲慢で無知な者には呆れるばかりだわ」
「傲慢で無知はどっちだ。大勢の人たちを都合のいいウソで騙しやがって……お前がやってる事はただの大量殺人だ」
「…………
フォンブラスターの銃口を向けながらも、サラはそれにひるむことなく、一歩前に踏み出す。
「彼らはより良き世界、そして始まりの主のため、その身を犠牲にしたに過ぎないわ。あの方の御心に従えば……貴方を苦しめているものを、一つ残らず取り除くことだってできる」
「!」
『タクミ、耳を貸すな。こいつの戯言を聞く必要はない』
「始まりの主にその身を捧げれば……貴方が望む素晴らしい世界を手にできる」
「…………」
「怖くはないわ。私と共に、創世を──」
ドォンッ!!
フォンブラスターから放たれた光弾が、サラの頬ギリギリを飛んでいく。
ファイズは、はっきり拒絶の意思を見せた。
「……俺の答えは分かったな。宗教勧誘なら雑草相手にやってろ」
「…………そう」
「
「…………?」
どういうことかと、そう聞こうとした瞬間だった。
ドゴオォンッ!!
「!!」
至近距離で、何かが地面を砕く轟音が聞こえた。
ミアズマに塗れた巨体を持ったエーテリアス、アヴァルスの姿がそこにはあった。
周りには、オブスキュラに入っていたサクリファイスの姿もある。
「司教様は、既に"終域"の門に手をかけていらっしゃる……結末はもう、目と鼻の先にあるわ。あなた達にはどうすることもできない」
「! 待て──グッ……!」
姿をくらますサラを追いかけようとするが……アヴァルスに行く手を阻まれてしまう。
『デカブツが……邪魔をするなら丸焼きにしてやる! オボルス小隊、戦闘準備!』
「了解であります!」
「グオオォォォォオオ!!」
咆哮とともに、アヴァルスは体を丸め……その巨体に似つかわしくないスピードで突っ込んでくる。
攻撃を避けつつ、オボルス小隊は洗練された動きで最大火力を叩き込む。
[5・5・7・6][Faiz Edge 2, Put in to Motion]
ファイズの方も、新型ファイズエッジを装備した後、アクセルメモリを取り出す。
[Complete]
ファイズフォンにメモリを装填し、ファイズはアクセルフォームへと変身。
[Start Up]
両手の新型ファイズエッジを構え……ファイズはアヴァルスの攻撃をかいくぐり、攻撃を仕掛ける。
「ハッ!! やぁっ!!」
濃縮されたフォトンブラッドのエネルギーを纏った刃で、アヴァルスの羽を、角を、舌を、足を……すべてを音を超えるスピードで斬りおとし、自由を奪う。
サクリファイスもすべてファイズエッジですべて葬り去り、そして──
「はああっ!!」
身動きが取れなくなったアヴァルスのコアに目掛けて、勢いよく赤い刃を突き刺した。
[Time Out][Reformation]
『Φ』のマークとともに、消滅するアヴァルス。
オボルス小隊の火力援助のおかげもあり、わずか数十秒で敵を掃討する事ができた。
「スピードキル、だったね~」
『フン、所詮は図体だけの敵。我々の敵ではなかったな』
「……その"我々"の中に、タクミ殿はちゃんと入っていますよね……?」
『当たり前だ! だから"我々"の敵ではなかったと言っているんだ!』
「タイチョウ……」
『……なんだ! 言いたいことがあるならはっきりと言え!』
「みんな!」
「!」
リンの呼ぶ声がする。
振り返ると、彼女は何やら奇妙なデバイスの近くにいた。
「さっき見つけたんだけど……見て、このデバイスの中に、ミアズマを操る装置のコアがある」
「讃頌会はこれを使ってミアズマを操っていたんでありますね……このコアを、デバイスから取り出せばいいんですね?」
『下がってろ。こんなもの、レーザーでぶっ壊してやる』
そう言って鬼火はデバイス目掛け、銃口から極太レーザーを繰り出す。
しかし……
『……びくともしないだと? 私のレーザーを持ってしても……』
「多分、デバイス自体が濃いミアズマに覆われてるんだと思う。覚感の術もやってみたけど無理だった。ひとまず、師匠に任せるしかないね」
どうにもできないなら、今は逃走したサラを追うしかない。
「……それにしても、サラはどうしてタクミ殿
「大方、テキトーに言葉並べりゃ言いくるめられると思ったんだろうな。まるで俺が『押しに弱くて頼みを断れないちょろい奴』扱いされてるみたいでムカつくな」
「「「「「『…………』」」」」」
「…………なんだよ! なんで皆黙ってんだ!」