ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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日常と事件②

 

 

 

 

 

 

「姉ちゃんが……?」

 

「……ひとまず、工房で話そう」

 

 

話によれば、先程六分街の近くでホロウ災害警報が発令。そのホロウが発生した場所が、リンがビデオを仕入れに丁度通っていた道だったのだ。

 

 

「なら早く助けに行かねぇと……!」

 

「分かってる。今すぐに共生ホロウに向かおう。タクミ、イアスを連れて行ってくれ」

 

「質問。平時ではこれをマスターが担当しています。助手二号、あなたは感覚器官の同期が可能ですか?」

 

「僕の心配はいらない。すぐにでも始めよう」

 

「それじゃあ行ってくる」

 

「ああ。気をつけて」

 

 

タクミはアタッシュケースとイアスを持ち、店を出てホロウへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

「──目標の共生ホロウに到達しました。本エリア内に多数の生体信号を検出。その中に、救助目標がいるかもしれません」

 

 

時間は残されていない。タクミはベルトを装着し、フォンでコードを入力する。

 

そしてフォンをバックルにセットする。

 

 

[5・5・5][Standing by…]

 

 

「変身!」

 

 

[Complete]

 

 

赤い光に包まれ、タクミはファイズに変身した。

 

 

「それじゃあファイズ、着いて来てくれ」

 

 

アキラがそう言った直後、遠くで声がした。エーテリアスの声だ。

 

 

「あそこの方から声が聞こえたぞ!」

 

「エーテリアスの声だ……誰か襲われているのかもしれない、急ごう!」

 

 

急いで声がした方へ向かう。そこではリンと同じくホロウ災害に巻き込まれたであろう一般市民がエーテリアス数体に襲われていた。

 

その中に市民を守るべく、エーテリアスの群れと交戦している治安官もいた。

 

ファイズはフォンを開いてフォンブラスターへ変形させ、コードを入力する。

 

 

[1・0・6][Burst Mode]

 

「ハァッ!」

 

 

そして襲っているエーテリアスに向けて射撃した。

 

 

「グォオォッ!!」

 

「!? だ、誰だ!!」

 

 

ファイズは治安官の声を無視し、エーテリアスに殴り掛かる。他のエーテリアスも、襲うターゲットを市民からファイズに変える。

 

プロキシは今のうちに市民たちの元へ駆け寄る。

 

 

(……リンはいない)

 

 

おそらく別の場所にいるのだろう。ひとまずプロキシは市民達に声をかける。

 

 

「大丈夫かい?」

 

「ぼ、ボンプが、喋ってる……?」

 

「き、君たちはホロウレイダーか……?離れてくれ!君たちのような無法者の助けはいらない!」

 

 

治安官はプロキシ達の助けを拒む。市民の方は無傷だが、治安官は負傷しているようだ。

 

ファイズはエーテリアスの群れを片付け、治安官の元へ向かう。

 

 

「なんとでも言え。けど怪我してんなら無理はすんじゃねぇ」

 

「ああ。僕達は皆を助けに来たんだ」

 

「……」

 

 

治安官は市民の方を見て、何かを考えている。そして再びこちらを向きこう言った。

 

 

「……私はどうなろうと構わない。ただ、もし周囲の罪なき市民を庇護してくれるなら、君たちを見なかった事にする」

 

「提案。出口を見つけ、先に被災者達を連れ出すのはいかがでしょう」

 

 

確かに被災者達のエーテル適性次第では、長くホロウに留まるのは危険だろう。プロキシはまず、被災者と治安官をホロウから出すことを優先した。

 

 

「皆を出口まで案内する。着いて来てくれ!」

 

 

そうしてプロキシ達は出口へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆、出口に着いたよ」

 

 

プロキシ達は道中で他の被災者を救出しながら、ホロウの出口まで辿り着いた。しかし、未だにリンの姿は見えないままだった。

 

 

「た、助かった……」

 

「本当にありがとうございます……!もうダメかと……」

 

「気にしないで。これも僕の仕事だから」

 

 

救助された市民達の感謝の言葉に対し、アキラは未だにリンが見つからないことへの焦燥感をひた隠ししながら、そう答えた。

 

 

「治安官さんは一般市民の人達の事をお願い」

 

「……君達はこれからどうするんだ?」

 

「僕達はまだホロウでやらなければならない事がある。君も早く治療を受けるんだ」

 

「……っ」

 

 

治安官は言葉に詰まる。まだ救助されていない被災者を差し置いて自分が助かるのは、治安官としてのプライドが許さないのだろう。

 

しかし負傷した状態で戦っても、むしろ足手まといになる可能性が高い。

 

 

「……分かった、ここは君達に任せよう。武運を祈っている」

 

「ああ」

 

 

治安官は市民達を連れてホロウを出た。するとFairyが──

 

 

「助手二号、付近で複数の生体信号を検出。救助目標であるリンがいる可能性が非常に高いです」

 

「!」

 

「よし、すぐに向かおう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──あそこだ!見つけたぞ!」

 

「あっ!お兄ちゃん!」

 

 

生体信号が検出された地点へ向かうと、そこにはリンと被災者である学生の二人がいた。

 

ファイズとプロキシは二人の元へ駆け寄る。

 

 

「二人とも、大丈夫か?」

 

「うん。私は大丈夫だよ!」

 

「ありがとうございます……!わ、私も大丈夫です……!」

 

「当該エリアには、これ以上接触した事の無い生体信号はありません」

 

 

Fairyがそう告げる。つまりこのホロウの被災者はこれで全員救出したという事になる。

 

 

「出口へのルートは既に算出してある。早くここから──」

 

「っ!お兄ちゃん!!」

 

 

リンの声で反射的に振り返る。そこには上級エーテリアス、タナトスが今まさしく手に持った刃を振りかざしている所だった。

 

 

(ま、まずい──)

 

「ハァッ!!」

 

 

しかし、横からファイズがタナトスへ渾身のパンチを繰り出し、大きく吹っ飛ばした。壁に衝突するタナトス。

 

 

「ファイズ!」

 

「プロキシ、二人を出口まで連れてけ!」

 

「っ、分かった!二人とも、こっちだ!」

 

 

プロキシは二人と一緒にこの場を去る。そしてファイズは手首をスナップさせ、吹き飛ばしたタナトスの方を向く。

 

タナトスはまだ倒れてはいない。

 

 

「……来いよこの野郎」

 

 

その言葉を皮切りに、戦いの火蓋は切られた。

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