ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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解放

 

 

 

 

 

モスの合図とともに、武器を構えた夢縋り達が一斉に襲い掛かってきた。

 

ホロウレイダー、僧兵、防衛軍の兵士など……彼らは数にものを言わせ、リン達を倒そうとその殺気をあらわにしていた。

 

 

「オラァ!」

 

「ふんっ! はぁっ!!」

 

 

当然カイザ達はこれに対し応戦。

 

繭を傷つけないように気を付けつつ、所狭しと暴れまわる。

 

 

「繭を死守しろ!」

 

「この町を守るんだ!」

 

「チッ……テメェら、なんだって現実から逃げやがる! 一生ここで暮らせると思ってんのかよ!」

 

「逃げてなんていねぇ! 俺達は見つけたんだよ、本当に帰るべき場所をな!」

 

 

真斗に勝るとも劣らない屈強な体格のホロウレイダーは、そう言いながら攻撃の手を緩めない。

 

 

「お前たちも繭の一員になれっ!」

 

「そんなのごめんだよ! そうなったら、マインドリーダーに探せなくなっちゃうし!」

 

「みんな、ごめんなさい……わたしも、夢の中に居続ける事はもうしたくない……!」

 

 

繭の近くにいるからか、夢縋り達のパワーが先ほど戦った時と比べ上がっている気がする。

 

そのせいかさらに、倒されてから復活するまでの時間も異様に短くなっている。

 

 

「……! 町を脅かす元凶は、()()か……!!」

 

「っ!」

 

[Burst Mode]

 

 

闘いの最中、リンの持っている輝大侠に目を付けたモスが彼女に近づく。

 

それを遠くからカイザがブレイガンで阻止。

 

すぐさま倒れたモスの元に駆け寄り、押さえつける。

 

 

「姉ちゃんに……さわんな……!!」

 

「あがくだけ無駄だ……! 繭がある限り、俺達は消えない!」

 

「タクミ! 後ろ!」

 

「!」

 

 

力づくで押さえつけていたところに、死角から新たな夢縋りが襲ってくる。

 

 

「はあっ!!」

 

 

モスを遠くの方へ乱暴に蹴り飛ばしつつ、彼らに向けてカイザブレイガンで放射状に弾を発射。

 

夢縋りは弾に撃ち抜かれ、消滅するが……案の定、すぐに復活した。

 

 

カイザはリンの近くに守るように立つ。

 

 

「タクミ、これマズいよ……!」

 

「ああ……こうもすぐに復活されるとな」

 

 

この部屋に輝大侠を設置し、起動さえしてしまえばこちらのものなのだが……そうする隙がない。

 

繭がある限り、夢縋りは無限に復活する。確実に設置を妨害しようとしてくるだろう。

 

繭を直接壊せば復活する事はもうないが、それでは本末転倒。

 

 

「…………」

 

 

部屋にいる夢縋りはモスを含め十人強。

 

不幸中の幸いと言うべきか、増援がこの部屋に来る事はなかった。

 

 

盤岳達が外で足止めをしているおかげだろう。

 

 

だが、楽観視はしていられない。

 

夢縋り一体一体はそれ程の強さではないにしろ、復活する特性を利用し、集団でこちらの体力を消耗させてくる。

 

モス達の方も、十中八九長期戦に持ち込み、ジリ貧まで追い込む算段なのだろう。

 

 

(増援も期待はできなさそうだし……どうすれば……)

 

 

リンは少しの間、考え込み……

 

 

「タクミ!」

 

「なんだ?」

 

「サイドバッシャー……だっけ? あれを呼んで!」

 

「? 呼んでも、倒すことは……」

 

「大丈夫。倒すことができないなら、倒さなきゃいいんだよ!」

 

 

カイザは一瞬リンの言っている事が分からなかったが……すぐに理解した。

 

 

「そう言う事か……それなら!」

 

 

[9・8・2・1][Side Basshar, Come closer]

 

 

すぐさまカイザフォンを開き、コードを入力する。

 

直後、どこからか颯爽とサイドバッシャーが登場。

 

 

[Battle Mode]

 

 

カイザはサイドバッシャーに乗り込み、ボタンを押してマシンを巨大ロボットに変形させた。

 

 

「な、なんだぁ!?」

 

「うわああ! すっご!!」

 

 

サイドバッシャーを操縦し、巨大な足音を立て夢縋り達にズンズンと足音を立て近づく。

 

そして──

 

 

 

 

 

「うわぁあああっ!?」

 

 

腕部の巨大バサミ、グランドマニピュレーターと脚部のパワーレッグを振りかざす。

 

そしてモス達夢縋りを数体、一気に抑え込んでその動きを封じた。

 

 

「は……はなせっ!!」

 

「ぐっ、動けない……!」

 

 

誤って倒さないよう、パワーを調整する。

 

 

リンの考えた作戦は、単純明快。

 

復活されるなら、復活させなければいい。

 

こうして倒さずに動きを封じさえれば、夢縋り達を無力化できる。

 

 

流石に夢縋りに分身能力はなかったため、あっという間に優勢に傾ける事ができた。

 

 

「リュシア! エーテリアスを呼んで、残りの夢縋りを捕まえろ! 倒さずに、動けないようにするんだ!」

 

「っ! 分かった!」

 

 

リュシアはスケッチブックに即興で絵を描き、ファールバウティを二体ほど呼び出す。

 

ファールバウティ達は夢縋りを壁際に追い詰めた後、サイドバッシャーのように彼らの動きを力づくで封じた。

 

 

「グウゥゥ……!!」

 

「く、くそ……!」

 

「……! すごい! 部屋のエーテル活性が高いから、召喚してもすぐにエーテリアスが消えないよ!」

 

『よし……今だリン、輝大侠を!』

 

「うん!」

 

 

リンは輝大侠を持って部屋の中央へと向かい、設置する。

 

そして天面にあるボタンを押すと……容器が青白く輝き始めた。

 

 

「よし、このまま……!」

 

「ぐ……させ、るかっ!!」

 

「なっ!!」

 

 

サイドバッシャーに体を抑え込まれていたモスは……最後の悪あがきに、持っていた拳銃を取り出し発砲。

 

その銃弾は……よりにもよって起動中の輝大侠に命中してしまった。

 

 

「や、やば……!」

 

「てめえ!!」

 

「ぐっ……! ふ、フフ……町は……不滅だ……!!」

 

 

衝撃が加わり……その拍子に容器からエネルギーが溢れ出す。

 

このままでは起動に失敗してしまう───その時だった。

 

 

「……!! オレがやるっ!!」

 

「真斗くん!?」

 

 

真斗が輝大侠の元に駆け寄り、容器を拾い上げる。

 

溢れ出るエネルギーの衝撃をものともせず、真斗は両側面にあるハンドルを握りしめ、容器をこじ開け始めた。

 

 

彼は輝大侠を、手動で起動させるつもりだった。

 

 

「ぐぅうっ……!! 開きやがれ……!!」

 

 

真斗の全力を持ってしても、輝大侠の容器は莫大なエネルギーで反発する。

 

カイザも真斗に協力するべく、サイドバッシャーを降りようとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしそうする前に何者かが乱入し……真斗が持っていた容器の片方のハンドルを手にした。

 

 

「よう……手こずってんな」

 

「! オマエは……」

 

 

ハンドルを握ったのは……夢縋りである、もう一人の白い真斗だった。

 

彼はにやりと笑うと、力を込めハンドルを引っ張り始める。

 

 

「今回だけだ……! 足引っ張んじゃねぇぞ!」

 

「……っ!」

 

「行くぞっ!!」

 

「おう!!」

 

 

真斗の方も握っていた容器のハンドルに力を込め、反対方向に引っ張り始めた。

 

 

『オオオオオオッ……!!』

 

 

雄叫びを上げる二人の真斗。

 

容器は溢れんばかりのエネルギーとともに轟音を立て暴れ回る。

 

それでも二人はひるまず、輝大侠の起動に死力を尽くす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて──

 

 

 

「!!」

 

 

輝大侠の起動音とともに、容器から金色のエネルギーが放出される。

 

 

「……っ、やった……!!」

 

 

起動に成功した輝大侠は、眩く淡い光を放ち……部屋にある繭を消滅させていく。

 

 

「!! ばか……な……」

 

 

繭が消滅した事により、カイザ達が捕まえた夢縋り達もゆっくりと消滅していく。

 

そして。

 

 

「チッ……潮時か」

 

「!」

 

 

夢縋りの真斗も、徐々にその体がエーテルの粒子と化していく。

 

 

「もう……オレの出る幕はねぇ。分かってんな」

 

「ああ……分かってら」

 

 

モス達と違い足掻くこともせず、ただ消滅を受け入れる白い真斗。

 

その目に、微かながら穏やかな光が宿る。

 

 

「証明してみやがれ……新しい夢には、追う価値があると。……けどよ、どこに行こうが──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───昔のオレを、忘れんな

 

 

 

「…………」

 

 

彼は最後にそう言い残し……静かに虚空へ消えていった。

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