タナトスを潰します(直球)
吹き飛ばされたタナトスが起き上がる。そしてファイズを視認すると、その姿を消した。
「っ!」
タナトスはファイズの後ろ側へワープし、奇襲を仕掛ける。ファイズはギリギリで反応し、その斬撃をガードする。
そしてすかさず反撃の蹴りを叩き込もうとするが、寸前で再びタナトスの姿が消えてしまう。
すると今度は遠方に出現し、腕の刃からエーテル弾を射出。
「そっちか……!」
ファイズはフォンブラスターを手に持ち、タナトスに向かって射撃する。
ファイズはエーテル弾を避けながら攻撃をするが、タナトスもワープしてこちらの攻撃を避けつつ攻撃をしてくる。
このままでは埒が明かない。
(次来た時にケリをつける……!)
肉弾戦に切り替えるために、ファイズフォンをバックルにしまおうとし──
「!?ぐああっ!!」
急にタナトスがこちらにワープして接近、そのまま刃による攻撃を受けてしまうファイズ。
おそらくタナトスの方もファイズの隙を虎視眈々と狙っていたのだろう。そしてタナトスはファイズを嘲笑うが如く、再び姿を消した。
「この野郎……そう来るんならよ……!」
再び奇襲を受けないよう細心の注意を払いつつ、ファイズはポインターにミッションメモリーを装填する。
[Ready]
そして右足にポインターを装着し、ファイズフォンのENTERキーを押した。
[Exceed Charge]
未だに姿を現さないタナトス。ファイズはポインターにエネルギーを貯めつつ、感覚を研ぎ澄ます。
そしてファイズの死角から、タナトスが現れ──
「そこだ!!」
「!?」
ファイズはそこ目掛けて、回し蹴りを喰らわせる。同時に足のポインターからマーカーを射出し、タナトスの動きを封じ込めた。
ファイズは手首をスナップさせた後、大きく飛び上がり、タナトスに向かって『クリムゾンスマッシュ』を繰り出す。
「ハァァァアアッ!!」
そのキックはマーカーごとタナトスを貫通し、タナトスは『Φ』のマークと共に呻き声もあげず消滅した。
ファイズの元にボンプが駆け寄ってくる。
「ファイズ!無事か?」
「俺は大丈夫だプロキシ。それよりあの二人は?」
「二人はもうホロウから出した。僕達もここから脱出しよう」
そうして二人は共生ホロウを後にした。
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その後、六分街にて。
「──ぷはぁ!チョップ大将、おかわり!」
「おうよ!」
ホロウから脱出して六分街に戻ってきた三人。リンはホロウにいた影響か、かなりお腹を空かせていたようだった。
ラーメンはこれでもう三杯目である。
「……姉ちゃん、食べ過ぎじゃねーか」
「いいじゃん、ずっとホロウに居たんだから!ていうかタクミだって今三杯目じゃん、人の事言えるの?」
「戦ったら腹は減るもんなんだよ。あのワープ野郎のせいで余計な体力使っちまったし……」
そう言いながら激辛ラーメンを啜るタクミ。既に食事を終えたアキラがリンに心配の声をかける。
「リン。具合はどうだい?」
「うん!ばっちり──あ、でも仕入れたビデオはホロウに落としちゃったけど……」
「……お客さんがっかりするだろうな。新しいビデオがなくて……」
「がっかりはお客さんじゃなくてお兄ちゃんの方でしょ?まったく……」
そう言いながらも、ビデオを落としてしまった罪悪感からか、落ち込んだ様子のリン。
「それなら、また明日仕入れに行こう。次はリンが決めていいから」
「えっ?ほんとに?」
アキラはリンに車の鍵を渡す。リンは先程の暗い表情から一転、笑顔になる。
「じゃあいい事教えてあげる!お兄ちゃん、ドキュメンタリーが見たいんでしょ?」
ビデオ屋に戻り、とあるビデオを再生する。
内容はとある兄妹の日常。いつもと変わりない日常を過ごしていたが、長女がホロウ災害に巻き込まれ、ボンプ姿の長男とヒーローに変身した次男がそれを救うべく闘うというものだった。
これは──
「……今回の視覚記録じゃないか」
確かにノンフィクションなことに間違いはない。
「ダメ〜?実話ベース、ドキュメンタリー風、ぶれぶれのカメラ──は、Fairyがいい感じに……ね?涙あり、スリルありの超大作!」
「……俺が戦ってるとこ、ボンプで撮ったのか?つーかよくこんな臨場感あるカメラワークに仕上げたな……」
「ふふん、スタナイシリーズにも引けを取らないレベルなんじゃない?」
ビデオにはファイズがタナトスと戦闘しているシーンも入っていた。クリムゾンスマッシュを放つ場面はなんとも迫力のあるシーンとなっている。
「そうだ!これを店に並べようよ!そしたら──」
「却下!ダメだ」
「あー!さては照れてる?」
「あのね──」
他愛のない、ありふれた新エリー都での日常。
タクミは二人のやり取りを見ながら、これからもそんな日々が続けば良いと感じた。
次回から二章です!