ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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ハロウィン②

 

 

 

 

 

 

昼間は澄輝坪と泅瓏囲で町の人達とお菓子交換などをした柚葉たち。

 

大方周り終えたところで、今日のハロウィンはお開き……ではなかった。

 

 

「わーお盛り上がってるね~!」

 

「す、すごい沢山の人がいるのだわ……!」

 

 

柚葉達はルミナスクエアまで来ていた。

 

現在ルミナスクエアではそれなりに大きな規模のハロウィンイベントが開催されている。

 

 

辺りは仮装している人達であふれている。

 

祭りと言っても差し支えないほどの盛り上がりだった。

 

 

「すごいわね……ホロウにいた時も、こんなにたくさんの人はいなかったわ」

 

「ねえタクミ、どこ行く?」

 

「え、俺が決めるの? ……皆はどこに行きたいんだ?」

 

「わたしは初めてだし、どこでも良いけど……リュシアちゃんは?」

 

「あたしは──あっ!!

 

 

急にデカい声を上げるリュシア。

 

 

「あそこ!! あそこハティの形した人力車があるよ!! あれ乗ってみたい、乗ろう!」

 

「あっ、リュシアちゃん待って……!」

 

 

一直線に人力車のもとへ走っていくリュシア。

 

イドリーも走っていく彼女を追いかけ、姿が見えなくなってしまった。

 

 

「い、行ってしまったのだわ……」

 

「……まあ、皆行きたいとこに行けばいいよ。集合場所は今のうちにノックノックで伝えとくか」

 

 

ちなみにタクミはどこに行くかはまだ決めていない。

 

仕方ないのでここにいる真斗達にも聞いてみようかと考えたその時。

 

 

 

「シーザー! どこにいるんですの!!」

 

 

後ろから響く、聞き慣れた叫び声。

 

振り返ると、ルーシーとパイパーの姿があった。

 

 

「ルーシー? ここで会えるとは思ってもいなかったのだわ」

 

「……あら? 貴女たちもいましたのね」

 

「おいす~タクミ~。いつぞやのカワイ子ちゃん二人も一緒なんだなぁ」

 

「あなたは郊外で会った……!」

 

 

どうやらお互い面識があるようだ。

 

やはりこの新エリー都は思ったより狭い。

 

 

「二人もイベントに?」

 

「いんや~? この催しはあたしにはちょい賑やかすぎるからなあ。こーゆーのは若者たちで楽しむもんだぜい」

 

「ここには別件で来ていましたの……それよりも! タクミ、シーザーをどこかで見かけませんでしたこと?」

 

「シーザー? いや、見てないけど……アイツがどうかしたのか?」

 

「あんのアホは……この雑踏で見事にはぐれたんですの……! 鎖か何かでガッチリ繋いでおくべきでしたわ……!」

 

「そ、そうだったのね……」

 

 

今日のルミナスクエアはいつもの三倍くらいは人がいる。

 

道路も歩行者天国となっているため、シーザーがはぐれるのも仕方ないのかもしれない。

 

 

「……なあルーシー。あいつ、もしかしてこっそり()()()()()()に行ったんじゃねえか~? 前もそこに行ってたし」

 

「……その可能性はありますわね」

 

「いつもの場所ってなんだ?」

 

「シーザーは……ここだけの話、たまにこっそりルミナスクエア外れにある書店に足を運んでいるんですの」

 

「……あー」

 

 

あくまで予想だが、シーザーはそこで何か漫画を買っているのだろう。

 

何の漫画かは……本人のために伏せておく。

 

 

「とにかく、まずはそこに行きますわよ! あのバカを引きずりだしてやりますの!」

 

「わ……私も手伝うのだわ!」

 

 

 

シーザーを探しに行くルーシーとパイパーに同行するため、アリスと真斗もその場から離脱した。

 

 

 

 

「……アリスも行っちゃったね。タクミはどっか行きたいとこある?」

 

「……」

 

「まだ決めてないんだよな……柚葉はなんかあるか?」

 

「…………」

 

「んー柚葉もまだ決めてないんだよねえ。ま、時間はあるし、適当に見て回ろうよ!」

 

「そうだな……」

 

「あ、そうだ。最近新しい怪談のネタ仕入れてきたんだけど、ついでに聞いとく?」

 

「んーーー今度にしとく」

 

「…………」

 

「……ところで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──福福先輩はいつまで拗ねてるんだ……」

 

「うう……だってえ……!」

 

 

澄輝坪にいた時は、仮装を身にまとい生き生きとしていた福福。

 

だがいざ『トリックオアトリート!』をした時……福福を待っていたのは『畏怖』ではなく、『愛玩』だった。

 

 

撫でに撫でられ、澄輝坪のJKたちの人気者となった末、袋いっぱいのお菓子を貰ったのだった。

 

 

「あたしはやっぱり、お師匠さまのようにはカッコよくなれないんでしょうか……」

 

「そんな事ねーよ、福福先輩は十分カッコイイぜ」

 

「ほんとですかもぐもぐ……」

 

「ちゃんとお菓子は食べるんだね……」

 

 

 

福福を慰めるため、何か食べ物を売っている屋台でも行こうかと思ったその時。

 

 

「あれ〜? タクミ達もいたんだ?」

 

「ん?」

 

 

再び後ろから聞きなれた声がする。

 

そこには猫又とアンビーの姿があった。

 

 

しっかり仮装もしている。

 

アンビーはホッケーマスクを被った某殺人鬼。

 

猫又は猫耳がついたジャックオーランタンを被っており、服装もそれにちなんだ可愛らしいものになっていた。

 

 

「柚葉、前に衛非地区で会って以来ね」

 

「アンビー? あなたも来てたんだね」

 

「猫又ちゃん……うう……」

 

「ちょ……どうしたの福福ちゃん」

 

「実は……」

 

 

事情を説明する。

 

 

「も〜福福ちゃん泣かないの。むしろお菓子こんだけ貰えたなら儲けもんでしょ?」

 

「だってぇ……福福はカッコイイって言われたかったんですぅもぐもぐ……」

 

「でもお菓子は食べるんだね……」

 

「アンビーはそれ何食べてるんだ?」

 

「期間限定の、かぼちゃコロッケバーガーよ」

 

「バーガーか……」

 

 

どこに行くか、場所を決めかねていたが、一緒にバーガーショップに行くのはアリかもしれない。

 

 

「と・こ・ろ・で〜、タクミ? こうして会ったからには、何かをあげないといけないんじゃないかにゃ?」

 

「うん?」

 

「トリックオアトリート! あげるお菓子がないなら、あたしのイタズラを甘んじて受けるしかないぞ!」

 

「待て待て、お菓子ならちゃんと持ってきてるから」

 

「え? あるの?」

 

「さっき柚葉達にもあげたけど……二人にもやるよ」

 

 

タクミは袋から手作りのかぼちゃクッキーを取り出し、二人に渡した。

 

 

 

「ありがとう、タクミ」

 

「ちぇー、イタズラできるかもって思ったのに……ま、まあ……ありがと」

 

「それじゃあ次は、こっちの番ね」

 

「うん? 何が?」

 

「タクミ、『トリックオアトリート』って言って」

 

「え?……と、トリックオアトリート」

 

 

アンビーに言われるがまま、その言葉を口にする。

 

今まで『トリックオアトリート』とは言ってなかったが……アンビーからも渡すお菓子があるのだろうか。

 

 

「…………」

 

 

アンビーは服のポケットをまさぐったり、叩いたり、裏返したりの動作を繰り返す。

 

 

「……ごめんなさい、あげられるお菓子がないわ」

 

「え……じゃ、じゃあなんでトリックオアトリートって言わせたんだ」

 

「お菓子がないならイタズラするしかない。タクミは私にイタズラする権利があるわ」

 

「えっ」

 

「えっ!?」

 

「ちょ、ちょっとアンビー! いくらなんでもわざとらし過ぎない!?」

 

 

タクミはアンビーの言ってる事が理解できない。

 

まさか自分からイタズラを望む人間がいるとは思いもしなかった。

 

 

「ゆ、柚葉もたまにはイタズラされる側になってもいいかな〜なんて!」

 

「な、何を言ってるんだお前は」

 

「タクミ! あたしもお菓子は持ってきてないぞ!」

 

「そんな自己申告ある!?」

 

「もぐもぐもぐもぐ!!」

 

「お菓子飲み込んでから喋ってくれ!」

 

「……タクミ、どうするの?」

 

「え……」

 

 

なぜイタズラを強制されているのだろう。

 

ハロウィンはこういうイベントだっただろうか。

 

 

「……イタズラって何やればいいんだ」

 

「そ……そりゃあ、タクミは吸血鬼のカッコしてるんだし? 吸血鬼がやるイタズラなんてひとつでしょ?」

 

「え?」

 

 

 

 

吸血鬼がやるイタズラ。

 

なんだろうか。

 

タクミは考えを巡らせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、分かった……ニンニクを投げるとか?」

 

「「「「…………」」」」

 

 

 

 

ジト目の視線が突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう〜楽しかったぁ〜!」

 

「こんなに遊んだの久しぶりね〜」

 

 

一通り色々な場所でハロウィンのイベントを楽しんだ一行。

 

気づけば時刻は午後七時をまわっていた。

 

 

「動き回ったから、少しお腹が空いたのだわ……」

 

「それじゃ、何か食べてく? 向こう側のお店、かぼちゃ料理があるんだって──」

 

 

 

 

 

 

そう言いかけたその時、柚葉のスマホから着信音が鳴った。

 

 

「あれ、誰からだろ」

 

 

スマホを取り出し、画面をつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………え?」

 

 

柚葉はその電話をかけてきた人物の名前を見て、息を詰まらせる。

 

発信者の名前は、『狛野真斗』。

 

 

「……!?」

 

 

有り得ない。

 

 

通話開始ボタンを押し、電話に出る。

 

 

 

『おう、柚葉か? ちょうど今バイト終わったとこなんだけどよ……オレも今から合流できるぜ。今どこにいんだ?』

 

「…………」

 

『あ、あとアオとツキも一緒に行きたがってたからよ、連れてってもいいか?』

 

「…………」

 

『……柚葉? 聞いてんのか?』

 

「……あ、うん。ルミナスクエアにいるから、待ってるね」

 

 

 

柚葉は真斗の返事を待たず、電話を切る。

 

電話の向こうの声の主が、真斗本人だとしたら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、ここにいる真斗は誰なのだろうか。

 

 

 

 

 

 

「……柚葉? 誰からだったの?」

 

「……真斗、からだった」

 

「え……な、何を言っているの? 真斗ならずっとここにいるでしょう?」

 

 

そう言ってアリスは真斗の方を向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、そこに真斗の姿はなく。

 

代わりに、()()()()()()が地面に落ちているだけだった。

 

 

「あ……あれ? 真斗くんどこ行ったの?」

 

「あれれ? さっきまでここにいたんですけど……」

 

「……まさか」

 

「きゅう……」

 

「アリス!?」

 

 

派手に倒れるアリス。

 

いきなりのホラー展開に動揺を隠せない一行。

 

 

 

 

「…………」

 

 

ちなみにタクミだけは見ていた。

 

先程まで真斗が中にいたはずの白い布が突然形を無くし、地面にゆっくりと落ちる光景を。

 

 

 

 

衛非地区に帰るまで、タクミは福福から離れることができなかった。




次回から第五章です!
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