ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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有り体に

 

 

 

 

 

リン達は部屋に戻り、至急これからの行動方針を話し合う。

 

 

「Fairy、盤岳先生とは連絡は取れる?」

 

『不可能。通信対象"盤岳"は現在ラマニアンホロウにおり、当面の間は連絡がつかないものと予想されます』

 

「盤岳先生はもう救助に行ったって事か?」

 

「そうかもしれないな。瞬光達にも早速ホロウに入って欲しいところだけど……少し懸念点があるんだ」

 

「懸念点? あ、ワタシなら大丈夫よ! こう見えて腕っぷしはかなり強いんだから!」

 

「その心配はしてないけど……讃頌会の事で色々」

 

「? どういうこと?」

 

 

瞬光の疑問に対し、アキラとリンは言いずらそうな表情をする。

 

言えないのは、当然と言えば当然だろう。

 

 

懸念点と言うのはまさに、もう一人のタクミの事。

 

再びラマニアンホロウに入る以上、彼の危険性は伝えておかなければならない。

 

 

……が、それを話すという事は、タクミがオルフェノクだと言う事も明かさなければならないという事。

 

 

「……瞬姐さん。その事を説明する前に、話しておきたい事がある」

 

「た、タクミ……!」

 

「大丈夫。瞬姐さんは信頼できる人だ……だから他の人に話すことはしない」

 

「……? 何のことかは分からないけど……安心して! 他言は絶対にしないわ!」

 

「ありがとう。話す前に、少し聞きたいんだけど……瞬姐さんは『オルフェノク』って聞いたことはあるか?」

 

「オルフェノク……」

 

 

瞬光はその名前に、最初はピンと来なかったが……何かを思い出したのか、ハッとした表情を浮かべた。

 

 

「そう言えば少し前に、澄輝坪の人達がオルフェノクについて話してるのを聞いたわ。なんでもエーテリアスとは違う種類の怪物で、要警戒エーテリアス並みの強さを持ってるとか……」

 

「知ってるなら……話は早い」

 

「? タクミ……?」

 

 

タクミは少し瞬光達から距離を取る。

 

 

「…………」

 

 

そしてしばらく深呼吸をした後……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「変身」

 

 

──タクミの顔に、()()()()()()()()

 

 

「っ!? え……!?」

 

 

彼の体は瞬く間に白い光に包まれ、見えなくなる。

 

人間だった彼は、その体を変化させ──ホッパーオルフェノクへと変身した。

 

 

「……タクミ、なの……?」

 

「ああ。俺は……オルフェノクでもあるんだ。他のオルフェノクとは、所々違うけどな」

 

「…………」

 

 

ホッパーオルフェノクの姿を見た瞬光は目を大きく見開き、言葉を失っている。

 

当然のリアクションだろう。

 

 

やがて瞬光は小さく口を開く。

 

 

「……にて、る……」

 

 

「……? 似てる? 何にだ?」

 

「えっ……な、なんでもないわ! でも……そっか。これが、アナタのもう一つの姿なのね」

 

「そうだな。……えっと、なんでそんな見つめてるんだ」

 

「あ、ごめんなさい。オルフェノクは恐ろしい怪物って聞いてたけど……アナタのソレは、どっちかって言うとカッコイイ系かも?って思って」

 

「カッコいい???」

 

 

予想外の感想が飛び出てきた。

 

 

「あ、それは私も思ってた」

 

「確かに禍々しいというよりはヒロイックな印象があるな。その赤いマフラーのせいかな」

 

「…………」

 

 

今度はタクミが言葉を失った。

 

そう言えばこの姿を友人たちに見せた時、何人かに『カッコいい』と言われた。

 

特にビリーは絶賛していた記憶がある。

 

 

「それで……オルフェノクの事が、さっき言った懸念点と何か関係があるの?」

 

「あ、ああ……実は──」

 

 

人間の姿に戻ったタクミは、自身がオルフェノクになった経緯、もう一人のタクミの事、そしてその「タクミ」が讃頌会と行動をしている事を話した。

 

 

「──ラマニアンホロウに入った際、いつアイツらに出くわすかは分からない。瞬姐さんなら大丈夫だとは思うけど、気を付けて欲しい」

 

「分かったわ。でも……タクミはどうするの? そのもう一人のタクミに狙われてるんでしょ? 同行はしない方がいいかな……」

 

「……いや、行く。アイツと会ったら……今度は捕まえる」

 

「っ!」

 

「タクミ……本気なのかい?」

 

 

アキラとリンが心配そうな目でタクミを見る。

 

無理もないだろう。一回彼の手によってタクミは死にかけたのだから。

 

 

「アキラとリンの言う通りよ! さっき言ったことが本当なら、また無事じゃ済まないかも……」

 

「大丈夫だ。今度は不覚は取らない……それに、アイツには聞きたい事が山ほどあるんだ。とっ捕まえて、洗いざらい吐かせてやる」

 

「……そこまで言うなら、分かった。でも、間違っても一人で戦おうとしないでね? 私も……今度は気を付けるから!」

 

「ああ」

 

 

それにタクミの身体能力や頑丈さは、オルフェノクになった事により格段に上がっている。

 

『ただ一つのデメリット』を除けば、純粋なパワーアップとも言えるだろう。

 

 

「よし、それじゃあ行動開始だ。三人は先にホロウへ。僕も後から感覚同期をして合流するよ」

 

「分かった。それじゃあ行こう!」

 

 

リン達は早速、ラマニアンホロウへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[9・1・3][Standing by…]

 

「変身!」

 

[Complete]

 

 

ラマニアンホロウに到着した一行。

 

タクミは早速カイザフォンをバックルにセットし、カイザへと変身した。

 

 

ちなみにファイズギアについてだが、ダイアリンに預けて以来、まだ帰って来ていない。

 

「もうすぐお返しできますよ~」と昨日が連絡来たので、その言葉を信じることにする。

 

 

「あれ……オルフェノクには変身しないのね?」

 

「そりゃあ、住民の人が見たら怖がるだろうしな……むやみにあの姿を人に見せたりはしない」

 

「でも、ワタシには見せてくれたわよね?」

 

「あれは瞬姐さんだから見せたんだ」

 

「……ふーん?」

 

 

そして座標の場所へ進んでいくなかで、カイザは気づいたことがあった。

 

オルフェノクになって以降、初めてホロウに入ったわけだが……ホロウに入った時特有の不快感が、全くなかったのだ。

 

以前ツイッギーが『オルフェノクは侵蝕を受けない』と言っていたが……どうやら本当だったようだ。

 

 

『目標地点まで、あと数百メートル』

 

「うーん……今のところ、もう一人のタクミの姿は見えないわね……ここにはいないのかしら?」

 

「…………」

 

「……うん? タクミ、どうかしたの? 黙り込んじゃって……」

 

「…………」

 

 

歩を進める途中、カイザはあの事を瞬光に伝えるべきかずっと悩んでいた。

 

やがてカイザは意を決したように顔を上げ、瞬光を呼び止める。

 

 

「……瞬姐さん」

 

「なに?」

 

「瞬姐さんに伝えとかなきゃいけない事が、もう一つある。釈淵さんの事なんだけど……」

 

「……え? お兄ちゃんが、どうかしたの?」

 

「っ! ちょ、ちょっとタクミ……!」

 

 

慌ててリンが止める。

 

 

「姉ちゃん、言いたい事は分かる。ただ、今のうちに伝えておいた方が無難だと思うんだ。不意にどこかであの人に出くわしたりしたら、余計混乱させるはずだ」

 

「それは……そうだけど……」

 

「で、出くわす? 何を言って……」

 

『ええと……瞬光先輩。落ち着いて聞いて欲しいんだけど……』

 

 

困惑している瞬光に、アキラは釈淵が今どうなっているかを伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──お兄ちゃんが……讃頌会と……?」

 

 

事実を聞いた瞬光は、案の定信じられないと言った表情をした。

 

 

「まだ釈淵さんが讃頌会と結託したって言う決定的な証拠はない。……けど、釈淵さんがサラと一緒にいたことが、ミアズマの幻で明らかになったんだ」

 

「そ……それなら、すぐに探しに行かないと……!!」

 

「落ち着いて、瞬光先輩……! 釈淵さんが何処に行ったのか、まだその手掛かりは全くと言っていいほど掴めてないの」

 

『僕が思うに、釈淵さんは寝返った訳ではないと思っている。けど……決定的な手がかりが手に入るまで、僕達も下手には動けないんだ』

 

「……そう、だったのね」

 

 

瞬光はなんとか事実を飲み込もうと必死になっている。

 

 

「もし何か情報が手に入れば、絶対瞬光先輩にも伝えるから。だから今は……」

 

「……分かったわ。一人で突っ走らないように、って事よね? 大丈夫、気を付ける」

 

「ありがとう、瞬姐さん。ごめんな、こんなタイミングで伝えて」

 

「ううん。むしろ、伝えてくれてありがとう。アナタ達がいれば、きっとお兄ちゃんの手がかりも掴めると思うわ。それより、今は人命救助よ! このまま奥に進みましょう!」

 

 

ショックから立ち直り、瞬光は剣を構え直し歩き始めた。

 

リン達も、目的地に向け進みだす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その道中、一行は奇妙なものを目にした。

 

 

「……なんだ、これ……?」

 

「花が、たくさん咲いてる……!」

 

 

道端にあったのは、ホロウの中にもかかわらず満開の巨大な花だった。

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