ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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ダイアリン

 

 

 

 

 

道端に咲く、白くて背の高い花。

 

本来花など咲くはずのないホロウの中で、その花は一際大きく、異質な存在感を放っていた。

 

 

「見た感じ、侵蝕も受けてないみたい……」

 

『そう言えば貫さんは、ラマニアンのミアズマが"引き潮"になっていると言っていたね……これはその兆候と言う事なんだろうか』

 

「花が咲く程、ミアズマの濃度が下がったって事か? ……てかこのデカい花、ホロウの外でも見た事ないぞ……」

 

 

高さ二メートルは超えていそうな巨大な花。

 

ミアズマの構造物というわけではなさそうだが……

 

 

「うーん……ワタシはこの花、前に何処かで見たことがある気が──」

 

「助けてくれーーっ!!」

 

「!!」

 

 

瞬光の声を遮るようにこだまする、男性の悲鳴。

 

 

「今のは……!」

 

「すぐ近くね! 急ぎましょう!」

 

 

瞬光たちは悲鳴が聞こえた場所へ急いで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして急ぎ向かったその場所で目にしたのは、スーツ姿の男性がエーテリアスに襲われている光景。

 

 

「ひぃぃい……!!」

 

「……! タクミ、行こう!」

 

「ああ……」

 

 

[Ready]

 

 

瞬光とカイザはそれぞれ武器を構え、エーテリアスの元へと走る。

 

 

「はぁっ!!」

 

 

黄色の刀身を振りかざし、エーテリアスを切り裂く。

 

数は十数体ほど。

 

だが一体一体は大した強さではないので、二人ならすぐ終わるはずだ。

 

 

「ガァアア!!」

 

「タクミ!」

 

「!」

 

 

突然、後ろからエーテリアスが飛び掛かってきた。

 

カイザブレイガンを構え、迎撃しようとしたその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

カイザに襲い掛かろうとしていたエーテリアスは、派手に吹き飛ばされる。

 

 

「……!?」

 

「い、今のは……」

 

「はいはーい! お二方、あとはあたしにお任せくださーい!」

 

 

直後聞こえる、明朗快活な少女の声。

 

その声には聞き覚えがあった。

 

 

声が聞こえてきた方向を振り返る間もなく──

 

 

「危ないですよー!」

 

「おわあっ!?」

 

 

今度は背後から巨大な手が。

 

まるでハエたたきのように、エーテリアスを叩き潰す。

 

 

 

 

ようやく見えた、声の主の少女。

 

そこにいたのは白黒の髪の少女、ダイアリンだった。

 

 

「はい、あんたはこっち……ですっ!」

 

「うわああああ!?」

 

 

ダイアリンはチャクラムの輪を使い、今先程も目にした巨大な腕を顕現させる。

 

そのままスーツの男性の首根っこを掴み、強引に自分の近くまで引きずり込んだ。

 

何が起きたのかを全く理解できず、混乱する男性。

 

 

「な、何が起きた!? お前は──」

 

「あー、無駄口クレームをたたいてる暇があったら……ぜひ星5評価の程、よろしくお願いしますね~?」

 

 

ダイアリンは意地の悪い笑みを浮かべ、男性にそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

襲っていたエーテリアスを全滅させ、男性もようやく落ち着きを取り戻した。

 

……取り戻したと思ったら、助けてくれたダイアリンに対し、クレームをつけ始めた。

 

 

「お前! さっきのはどういうつもりだ! まるで物みたいに俺を引きずり回しやがって……もし俺の身に何かあったらどう責任を──」

 

「はいはい、今こうして助かったんだから黙ってもらっていいですか? てかあんた、ドのつくアホか何かですか?」

 

「何……!?」

 

「だってそうでしょ。わざわざこんな危ない所に逃げ込むなんて……ここがどういう場所か、いくら未発達な頭脳でも理解できないわけじゃないですよね?」

 

「ぐ……!!」

 

 

この男性も、鉱夫たちと一緒に閉じ込められた人間なのだろう。

 

恰好からして、彼はポーセルメックスのマネージャーにあたる人物。

 

貫の証言が本当なら、彼は鉱区跡地エリアに閉じ込められた原因の一つ。

 

 

「ま、クレームに対して迅速かつ丁寧に解決策を見つけ出すことこそ、あたし達『TOPS部署横断型カスタマーサポート』の役目ですからね~。お客様のあんたは安心して、ホロウから出られることを安心して良いんでちゅからねえ~」

 

「おっ、お前……!!」

 

 

先程から気になっていたが、ダイアリンの挑発っぷりがえげつない。

 

おおよそ客にする態度ではない。

 

 

「えーとそれで? 適当観のお二方は何故ここに? 見慣れないお顔の方もいらっしゃるみたいですが……」

 

「私達は、ここのミアズマに閉じ込められた人達を救出しに来たの」

 

「はえ~そうなんですね」

 

「……てかダイアリンさん、『TOPS部署横断型カスタマーサポート』ってなんすか? 前会った時は黒枝の──」

 

「おおっと手が滑ったぁ!!」

 

「いてぇ!?」

 

「タクミ!?」

 

 

カイザが『黒枝』と言いかけたと同時に後頭部に走った痛み。

 

いつの間にか背後に現れた巨大な手が、カイザに向けて『デコピン』ならぬ『後頭部ピン』がお見舞いしていたのだった。

 

 

「それに関してはお口チャックですよ、タクミくん。人生ってのは選択肢が多くてナンボですから。あたしがカスタマーサポートに身を置いても、別に不自然なところはないでしょ?」

 

「そうっすね……でも何もデコピンしなくても──」

 

「そんな事より皆さん、人命救助をしているって仰いましたね? よろしければこのダイアリン、お力になりますよ!」

 

「ホントに!? ありがとう!」

 

「いえいえ~! ただその代わり、この件が終わったら高評価をお忘れなく~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイアリンも戦力として加わり、引き続き救助を進めていく。

 

 

「そういえば聞きそびれていましたが……こちらの栗毛のお方は?」

 

「ワタシは……瞬光。タクミやリンとは近所で、結構仲が良くて……」

 

「そうだったんですね~。あたしてっきり雲嶽山の方かと思ってましたよ。何せ一般住民らしからぬ身のこなしをしているもんですから」

 

「あ、あはは……ソノ……ケンカハケッコウツヨクテ……」

 

「ほうほう、なるほど~」

 

「「…………」」

 

 

多分だが、ダイアリンには既にバレているかもしれない。

 

というか瞬光の誤魔化し方が下手過ぎて、他の人にバレるのも時間の問題かもしれない。

 

 

「おーい! こっちだ!」

 

 

ホロウでエーテリアスに襲われていた鉱員たちを救出していく中で、リン達を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

 

「はいはい、もう大丈夫ですよ。無能上司のせいでとんだとばっちりでしたね~。他に要救助の方はいますか?」

 

「あ、ああ。俺以外に、あと一人いる! そこの崖下に、盤岳先生の弟子が閉じ込められちまったんだ!」

 

 

鉱員曰く、その弟子は人命救助のため、ミアズマの瘴気を放つ植物に閉じ込められてしまったらしい。

 

 

「そこまで深い傾斜じゃないから、彼の元に行くこと自体はできる……だがあのミアズマの植物がある限り、出ることも入る事もできない……!」

 

「分かった。私達に任せて! なんとか、あれを消す方法を探してみるから……先に避難してて!」

 

「恩に着るよ……それじゃあ、武運を祈ってる!」

 

 

鉱員は一足先にホロウの外へと避難した。

 

 

「…………」

 

 

崖下を見れば、確かに青い胴着を着た青年がいる。

 

いまは侵蝕にやられているのか、ぐったりしていた。

 

 

カイザは植物の方に視線を移す。

 

あれほどの大きさ、リンの持つ『覚感の術』でも手を焼くサイズだろう。

 

 

(……オルフェノクの力で、どうにかならないか?)

 

 

オルフェノクにはエーテルを操る力がある。

 

エーテルを跡形もなく消すことだってできる。

 

 

前に『解悩水』のミアズマに侵された人を救出した時、タクミにもその力が働いた。

 

オーガとの戦いの時も、その力で『ミアズマ兵士』を一掃した。

 

 

だが……いずれもそれは()()()()発揮された力。

 

 

「…………」

 

「? タクミ、何してるの?」

 

 

カイザは植物に向けて、ゆっくり手をかざしてみる。

 

あの力を再び出すには、どうするのが正解か──

 

 

 

「動くな!!」

 

「!」

 

 

考えていたその時、背後から男の声が響く。

 

 

「愚か者どもが……始まりの主の御命に置いて、貴様らを罰する!!」

 

「な……讃頌会!?」

 

 

オカルトチックな服を来た讃頌会の導師が、サクリファイスとともに襲い掛かって来た。

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