ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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依頼人

 

 

 

 

 

「あれが……」

 

 

次の日の朝。DMで依頼人が伝えた場所に行ってみた二人。そこには依頼人らしき男がすでに来ていた。

 

 

「兄弟……オレは本当に、お前抜きでやれるんだろうか……?」

 

 

しかしその男は独り言をつぶやいており、通行人もその男を怪訝そうな目で見ていた。

 

 

「……なんかあの人……」

 

『……うん、ちょっと怪しいね……』

 

 

電話越しにアキラがそう言った。ちょっとで済むのだろうか。独り言というのはもっと小さな声で呟くものではないのか。

 

 

「『怪しい人』『独り言』で検索中──マスター、これらのキーワードはコーナーH、棚3・番号16-5にあるビデオテープの内容と酷似しています」

 

 

そのビデオの映画のタイトルは『サイコホラー:明け方の怪異』。多重人格の凶悪犯が助けを乞うフリをし、数多の被害者を襲う、と言った内容。

 

そしてその凶悪犯は被害者を襲う際にお決まりの台詞を口にする。それは──

 

 

「──『よう、見つけたぞ』」

 

「姉ちゃん、帰ろう」

 

「え!?ちょ……ちょっと待ってよ、同行するって言ったじゃん!」

 

 

ホラー映画耐性がゼロどころかマイナスのタクミはFairyの言葉を聞いてすっかり及び腰となっていた。

 

 

「いやだって、触らぬ神には何とやらって言うだろ……あの人が凶悪犯の可能性だって──」

 

「よう、見つけたぞ!」

 

「「!?!?!?!?」」

 

 

急に男に声をかけられた二人は、思わず臨戦態勢(?)に入る。

 

 

「あー悪い、脅かすつもりは無かったんだ──ん?サシで会おうって話だったと思うが……どっちがパエトーンなんだ?」

 

「あ、えっと……私がパエトーンだよ。こっちは私の弟兼助手で……念の為に着いて来てもらったの」

 

「なるほど、『パエトーン』の関係者ってわけか。なら問題はねぇな」

 

『ん?この人、昨日見た番組にゲスト出演していたアンドーさんじゃないか?』

 

 

確かに、『ボンプは知っている』でこの人の顔を見た。あまりの怪しさで記憶から吹っ飛んでいた。

 

 

「ああ、白祇重工のアンドーだ。ツラが割れてんなら話は早ぇ……単刀直入に言わせてもらうぜ。どうか、力を貸してほしい」

 

 

アンドー曰く、白祇重工は崖っぷちに立たされているのが現状らしい。その窮地を救ってもらうべく、パエトーンに依頼したとの事だ。

 

事情が事情なので、部外者に正体を知られるわけにもいかない。

 

 

「──これはオレらなりに考えた結果だ。いっその事ガチンコで、お互い秘密を握っちまうのが安全だってな。すまねぇが、分かってもらいてぇ」

 

 

アンドーの話は分かった。しかし不審な点がある。

 

 

「あのアカウントが私達のものだって、どこで知ったの?」

 

「ソイツは言えねぇな……ただ、情報提供者は胸を叩いて保証したぜ。あれが間違いなく、名だたるパエトーンのアカウントだってな!腕前は勿論、人間としても大したヤツだとよ!」

 

 

誰が情報を提供したのか、なんとなく分かった。

 

 

『……あのニコにそれ程の評価を貰えるなんて、恐縮だね』

 

 

わざわざ口止めをしたということは、白祇重工から見返りを貰ったことを隠したかったのだろう。

 

 

「何だよ、知ってたのか……邪兎屋の連中、口を揃えて褒めちぎってたぜ」

 

 

そこまで言ったところで、アンドーはとある事に気づく。そしてタクミの方を見る。

 

 

「……ん?待てよ?そっちの兄ちゃんはパエトーンじゃねぇが、パエトーンの関係者ではある……まさかアンタが──」

 

「!……ああ、俺がファイズだ」

 

「おお!アンタの事も色々と聞いてるぜ!なんでもあのデッドエンドブッチャーにトドメを刺したのはアンタらしいじゃねぇか!」

 

「……」

 

 

色々と語弊がある。

 

確かにデッドエンドブッチャーに対してスパークルカットでトドメ寸前までは追い込んだ。

 

しかし厳密には、トドメを刺したのはファイズではなく、エーテル爆薬をたんまり詰め込んだ列車による爆撃だ。

 

しかし一々説明するのも面倒臭いので、タクミは『そういう事にしとくか』という感じで真実は話さないことにした。

 

 

「その通りだぜ」

 

「……」

 

 

姉から冷ややかな目で見られている気がするが無視する。

 

 

『それはさておき、今は本題に集中しよう。アンドーさん、白祇重工は一体、僕達に何をして欲しいんだ?』

 

「引き受けてくれんのか?そいつぁ良かった!それなら今すぐ現場まで案内してやる!依頼の件はうちの社長が直々に説明してやっからよ!」

 

「えっ、今から?まだ明け方なのに眠くないの?」

 

「あん?この時間なら、とっくに仕事を始めてる頃だろうが」

 

『アンドーさん。こっちも仕事で出掛けるんだから、準備は必要だ。先に現場で待っていてくれないか?準備が整ったら、妹と弟が現場まで直接向かうよ』

 

「そうか?そんなら俺は先に現場に戻っとく。待ってるからな!」

 

 

そう言ってアンドーは去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

「タクミ、準備できた?」

 

「ああ、出来てるよ」

 

 

準備を整えたタクミとリンはオートバジンに乗る。

 

車に乗ってアンドーと三人で現場へ行っても良かったのだが、念には念を……という事でバイクで向かうことにした。

 

アンドーには悪いが、このバイクは三人乗りが出来ないので仕方がない。

 

 

「それじゃあ二人とも、気をつけて行ってくるんだよ」

 

「うん、行ってくるね」

 

 

タクミとリンは早速現場へと向かった。





激戦試練ムズくない?
やっとの思いで15階突破した……
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