ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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白祇重工

 

 

 

 

 

「おっ!来たな!」

 

 

工事現場、黒雁街跡地。アンドーからDMで伝えられたその場所へ向かうと、出入口で彼が待っていた。

 

 

「待ってたぜ!社長はすぐそこだ……まだ若ぇが、百獣の王って感じだかんな。存分に緊張しな!」

 

「『しなくていい』、じゃないんだ……」

 

 

話していると、ゴゴゴゴゴ……と謎の音が前方から響き渡る。

 

 

「? 何のおと──」

 

 

「どいてーーーーーっ!!!」

 

 

大声とともに巨大な四本足の機械がこちらに向かって突進してきた。

 

そして機械の上には大声の主と思しき黒髪の女性が乗っていた。

 

 

「っ!!お前ら、走れ!!」

 

「姉ちゃん、逃げるぞ!」

 

「う、うん!」

 

 

アンドーが暴走する機械を受け止めよう構えた、その時──。

 

 

「うぉっ!?」

 

 

アンドーの後ろからバトルモードに変形したオートバジンが飛来し、その機械を軽々と受け止める。

 

 

「うわぁっ!?」

 

 

止まった反動で、上の女性が放り出され、アンドーが慌ててその女性を受け止める。

 

戦車すら軽々と止める馬力を誇るオートバジンにより、動きは止まるが、機械の暴走自体は止まらない。

 

 

「あの機械人何者なんだ!?うちの子をあんな軽々と止めるなんて……!」

 

「んな事言ってる場合じゃねぇだろ!てかなんだありゃあ!」

 

「あれかい?点検をしていただけさ!ただのファイアウォールだから、心配は──」

 

 

その時、熊のシリオンがタンピングランマーと共に機械目掛けて落下してきた。

 

 

「ふぅんっ!!!!」

 

 

その巨体が放った一撃により、暴走していた機械はようやく動きを止めた。

 

 

「ふぅ……終わったか」

 

「これが百獣の王……白祇重工のボス……?」

 

 

左目に傷をこさえた熊のシリオンは、こちらを見る。

 

 

「あ、あの……初めまして!」

 

 

リンが握手をするべく、手を差し出す。それを見た熊のシリオンは──

 

 

「ああ!これはこれは、プロキシさん!着いて早々申し訳ない!社長と待っていたところだ!」

 

 

見かけによらず、非常に丁寧な物腰でこちらに握手をしてきた。

 

 

「え?じゃあ貴方は──」

 

「何すんだグレース!降ろせ!」

 

「……こちらが、我が社の社長だ」

 

 

そう言って彼はグレースと呼ばれる黒髪の女性に抱きかかえられている赤髪の少女を紹介する。

 

 

「こ、コホン──白祇重工社長の、クレタ・ベロボーグだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

「よう、パエトーン。みっともねぇとこ見せちまったな。うちへの信頼が揺らいでねぇといいが」

 

 

クレタと名乗る少女は頬を書きながらそう言う。

 

 

「アンドーから連絡は来てる。お前ほどの出来るプロキシが力を貸してくれると聞いて、皆内心ほっとしてたとこだ」

 

「それで……プロキシさんもアンドーから聞いてるかもしれんが、うちは最近、地下鉄工事の請負を勝ち取ったんだ」

 

「ああ。だが、『敵』のしつこい妨害のせいで、これが中々手こずっててな……」

 

「……あー、社長。プロキシさんの前で、アイツらを敵呼ばわりするのはどうなんだ……」

 

「おいベン、甘えた事抜かしてんじゃねぇぞ!あのクソ野郎どもは──」

 

 

会話を聞いていたタクミはふとある方向に目をやる。するとそこにはオートバジンにじりじりと歩み寄っているグレースの姿があった。

 

 

「おおおおい、何してんだアンタ!!」

 

 

タクミは急いでグレースの元へ駆け寄る。

 

 

「え?ああ、ごめんね!この機械人はひょっとして君の友達かい?さっきの光景を見てから溢れ出る好奇心を抑えられなくて……!後生だ、この子を詳しく調べさせてくれないか!?」

 

「ダメに決まってるし、コイツは機械人じゃなくて俺のバイクだよ!」

 

「バイク!?人型に変形するバイクって事かい!?そんなの聞いた事が──ま、まずい涎が」

 

「──」

 

 

戦慄。今のタクミの心情を表すにはその二文字で十分だった。するとグレースの後ろに人影が現れる。

 

 

「おいこらグレース!!」

 

「あいたぁっ!?」

 

 

クレタがグレースの頭に渾身のゲンコツを喰らわせた。グレースはそのまま蹲る。

 

 

「人様のモンをベタベタ触ってんじゃねぇよ!」

 

「さ、触ってなんかないよおチビちゃん!あくまで触ろうとしただけで──」

 

「どっちも変わんねぇだろうが! えっと……タクミ、だったっけか?悪いな……コイツ、重度の機械オタクでさ」

 

「あ、ああ」

 

 

オタクで済むレベルだろうか。

 

彼女はあのままオートバジンを分解しかねない勢いだった。クレタの制止がなかったら、オートバジンがどうなっていたか分からない。

 

ベンが話を続ける。

 

 

「ええと、それで何の話だったか……そうそう、我が社は機械製造と建設業をやっている。いわゆる新興企業だが、近頃では業界でもある程度業績を上げていて、それが地下鉄改修プロジェクトの請負に繋がった訳だが──」

 

 

それを競合他社は快く思っていなかった。あの手この手で白祇重工の邪魔をし、スキャンダルにより失脚させ、プロジェクトの請負を横取りしようという算段だ。

 

例の番組の司会者も、大手競合他社の回し者らしい。

 

 

「そして、よりもよってそんな時期に、うちの工事現場で事故が起こった」

 

「先週、子供達が三台も、ホロウの中で行方不明になったんだ……!」

 

「「……!!……!?」」

 

 

グレースは悲痛な顔で、そう言った。

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