ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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デモリッシャー

 

 

 

 

 

「──先週、子供達が三台も、ホロウの中で行方不明になったんだ……!」

 

「「……!!……!?」」

 

 

グレースは悲痛な顔で、そう言った。タクミとリンは驚愕の表情を見せる。

 

 

「……そ、それなら今すぐ行った方が良いんじゃ……」

 

「待てグレース!その言い方だとお客さんに誤解されるぞ!」

 

 

ベンが慌ててグレースの言ったことを訂正する。

 

 

「ゴホン……お二人さん、うちの会社が独自開発したホロウ用知能重工業機械は知ってるよな?」

 

「テレビて言ってた気がする!じゃあ子供って……もしかして機械のこと?」

 

「そう。ホロウの中でも長時間安全に作業のできる知能ある重機……あの子たちこそが、白祇重工のコア・コンピタンスなのさ」

 

 

どうやらその重機は、ホロウ内の環境に合わせて自律的に作業ができる上、特性の言語モジュールも搭載。音声対話も可能らしいのだ。

 

グレースはその機械たちに、並々ならぬ愛情を注いでいる。『プロトタイプ』の技術を土台に改造を施した彼女にとっては我が子も同然であった。

 

 

「でも数日前、論理コアを更新してあげた日のこと……ホロウの中で作業をしていた三台の子供達が指令を無視して、自分の意思でホロウの深部に入っていってしまった。以来、戻ってこないんだ……」

 

「まさか……論理コアが故障したとか?」

 

「原因は分からない……実際、ホロウ内作業に携わる企業にとって、チップの故障やエーテルの侵蝕なんて日常茶飯事なのさ」

 

 

しかし、今の白祇重工にとっては他社による揚げ足取りの要因にもなりかねない。クレタは腕を組み唸る。

 

 

「……知能重機の性能は十分だったと思うけどな。わざわざ更新する必要あったのかよ?あいつの残したコードを論理コアに組み込みさえしなきゃ、今頃こんな事には……」

 

「待って、おチビちゃん!まだチップの不具合と決まったわけじゃないよ!それに美しく逞しい機械には、そのボディに相応しい魂が必要なんだ!そうは思わないかい、タクミくん!」

 

「……アンタもしかして俺のバイクに論理コアを組み込むつもりだったのか!?」

 

 

完全に改造する気だったらしい。そもそもオートバジンにはそんなものは必要ないし、勝手に家出なんてされたらたまったものではない。

 

 

「……コホン、とにかくだ!あんなバカ高え知能機械を無くしたら大損だ。『敵』の問題がどうあれ、見つけるに越したことはないんだよ」

 

 

行方不明となった三台の探索の為にホロウをガイドする。これが白祇重工の依頼の詳細だ。

 

 

「うち二台の位置は、ざっくりだがアタリが付いてる。そんな訳で頼んだぜ、パエトーン!」

 

「うん、分かった!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでその、不躾なお願いで悪いんだけどタクミくん、君のバイクを少し預からせて貰えないか!?」

 

「ホントに不躾だなオイ!預けたら帰れねーし絶対改造するだろアンタ!」

 

「まだやってんのかアイツ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グレースからの情報を元に、Ⅲ型ホロウ用デモリッシャー『グレーテル』がいるというホロウへと入った一行。

 

クレタはタクミが開けているアタッシュケースの中を覗き込む。

 

 

「タクミ、それがファイズに変身する道具か?」

 

「ああ。このベルトをつけて変身するんだ。それでクレタ……さん」

 

「クレタで良いよ」

 

「じゃあクレタ。少しお願いがあるんだけどよ……ちょっとの間、グレースさんを遠ざけてくれねぇか?」

 

「……あん?どういう──」

 

 

クレタがグレースの方を見る。グレースはベルトの方を好機の眼差しで見つめていた。

 

この短い付き合いの中で、彼女がああいう目をしている時はろくな事が無いと知った。

 

 

「……た、タクミくん。そのベルトはどういった──」

 

「よしベン。コイツを引き離すぞ」

 

「合点だ」

 

 

二人がなんとかグレースを遠ざける。これで安心して変身ができる。

 

ベルトを装着し、ファイズフォンでコードを入力。

 

 

[5・5・5][Standing by…]

 

 

「変身!」

 

 

[Complete]

 

 

フォンをバックルへセットし、タクミはファイズへと変身した。

 

 

「あ、おい!グレース!じっとしてろ!」

 

「くっ……!調べたい!今どうやってその強化スーツを装着したんだ!?もしかしてそのケータイの中に!?いや、そもそもあの赤い光はどういう──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「す、すごい興奮っぷりだったね……」

 

「……グレース。落ち着いたか?」

 

「……ああ、だいぶね。二人とも……その、みっともない所を見せてしまって申し訳ない」

 

 

今更である。

 

 

「えーと、それで本題に入るけど……今、デモリッシャーの信号がこの近くから来ているんだ」

 

「プロキシに先導してもらう必要があるな……グレース、デモリッシャーの特徴を教えてやれ」

 

「あの子は真面目な頑張り屋さんさ!小さい頃のおチビちゃんも、同じくらい可愛かったな……」

 

「……おい、それで誰が分かるっつうんだよ」

 

「はいはい。普通の人にも分かるよう説明するとだね──」

 

 

Ⅲ型ホロウ用デモリッシャー『グレーテル』は、地下道を掘るために制作された機械だ。他の仕事にも対応できるよう建築物解体用のチェーンソーを取り付けてある。

 

そのグレーテルが、このホロウのどこかにいる。

 

 

「取り返しのつかない事をする前に、あの子たちを見つけないと……!プロキシ、先を急ごう!」

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