ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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通算2万UA突破! かんしゃあ〜


漢の心親知らず

 

 

 

 

 

ホロウ用工業デュアルショベル『ハンス』との決闘。

 

ファイズは先程のデモリッシャーとの闘いから、あることに気づいた。

 

白祇重工の知能機械は、当たり前だがかなり頑丈に出来ている。先程は破損等を恐れて武器を使わなかったが、デュアルショベル相手なら多少乱暴に戦っても問題はないだろう。

 

 

『正々堂々勝負や……!かかって来いや!!』

 

 

重工業機械を相手に接近戦は間違いなく分が悪い。ファイズは中距離からフォンブラスターで攻撃をしつつ、隙を見て近接での一撃を叩き込む戦法を試みる。

 

 

[1・0・6][Burst Mode]

 

「ハッ!!」

 

 

ハンスのショベル攻撃を交わしつつ、フォンブラスターで攻撃をするファイズ。ハンスに隙ができるのを虎視眈々と狙っていく。

 

 

『けっ!ちょこまかしてんとちゃうで!!』

 

「……おいハンス!お前何がなんでも帰らねぇつもりか!!」

 

『じゃあかしいわ!!その名前で呼ぶな!!漢の名前ってのはなぁ!己が自分で決めるもんなんや!!あんなダッサイ名前じゃなくてな!!』

 

 

ファイズはデュアルショベルから逃げながら、射撃を繰り返す。途中弾切れを起こしたので、物陰に隠れながらコードを入力し弾をチャージする。

 

 

[2・7・9][Charge]

 

『オラ物陰から出てこんかい!!自分それでも漢かいな!』

 

「漢だのなんだの、そんなの知らねぇよ!」

 

 

物陰からファイズがフォンブラスターを構える。するとハンスは重機とは思えないほどのスピードで突進してきた。

 

吹っ飛ばされてしまうファイズ。

 

 

「うおっ!?」

 

『隙ありぃっ!!』

 

 

ハンスはチャンスと言わんばかりに投石をかます。車ほどの大きさはあるであろう巨石がファイズに襲いかかる。

 

 

「ファイズっ!避けろ!!」

 

 

端で見ていたクレタが叫ぶ。ファイズはゆっくりと起き上がり、飛んできた石を避けようともせずに立ち尽くす。

 

 

「オラァッ!!」

 

『ぐぅっ!!』

 

 

ファイズはむしろその石を回し蹴りでハンスへと打ち返した。その反撃にハンスは思わずよろけてしまう。

 

 

「おお……!アイツすげぇな!!」

 

『へ……へへっ、自分やるやんけ……!』

 

「……」

 

 

ファイズは手首をスナップさせ、ファイズポインターを右脚にセットする。

 

そしてフォンのENTERキーを押した。

 

 

[Exceed Charge]

 

『っ!?』

 

 

ファイズは右足に重心を乗せるように深く腰を溜め、エネルギーがチャージされた後、走り出した。

 

そして大きく飛び上がり、ポインターからポインティングマーカーを射出。それを見たハンスは二つのシャベルで防御の姿勢を取った。

 

 

「ハァァァアッ!!」

 

 

マーカーで拘束したハンスにファイズは『クリムゾンスマッシュ』を繰り出した。

 

 

『ぐ……うっ……漢をな、めん、なぁ!!!』

 

「!!」

 

 

キックを防御したハンスは渾身の力でマーカーごとファイズを弾き飛ばす。その反動でファイズは空高く宙に放り出される。

 

 

「ファイズ!!」

 

『この勝負もらったで!!』

 

 

放り出され、落下するファイズに追撃をするべくショベルを構えるハンス。しかし彼は気づく。

 

ファイズがただ落ちているだけでは無いということに。

 

 

[Exceed Charge]

 

 

放り出された直後に空中でファイズショットを装備したファイズは、すでにその拳にエネルギーを蓄積させていた。

 

『グランインパクト』の構えを取りながら、そのままハンス目掛けて落下するファイズ。

 

 

『!!』

 

 

最早避ける間もない。ここまでかと悟ったハンスは思わず目を瞑った。

 

──しかし、いつまで経っても痛みはやってこなかった。

 

 

『……?』

 

 

目を開けると、ファイズがハンスの眼前でファイズショットを止めていた。

 

 

「……漢の定義がどうだかは知らねぇけどよ」

 

 

ファイズショットを外し、ファイズが口を開く。

 

 

「やると決めた事を最後までやり通さないのは、漢とは言わないんじゃないのか。『ハンス』」

 

『……!何を……』

 

 

自身を縛り付けていた鎖とも呼ぶべき『ハンス』という呼び名。

 

 

「それに、アンドーさんも言ってたぜ。『一見大した事ないような積み重ねこそが、魂を昇華させる』って。お前がつまらないって言ってたその仕事も、お前が漢になるための一歩のうちだ」

 

『ファイズ……』

 

「決闘はまあ、俺の勝ちだけどよ。だからってお前は漢じゃないって言うつもりはない。これからなっていけばいいだろ、ホンモノの漢って奴によ」

 

「ファイズの言う通りだぜ」

 

 

アンドーがハンスの元に歩み寄る。

 

 

「確かにてめぇのやってる仕事は変化に乏しい、地味な仕事かもしれねぇ。だがそれを蔑ろにせずにコツコツ毎日やってけば、必ず結果に現れる。積み上げた努力の結晶は、決して裏切りはしねぇ」

 

『アンドーの……兄貴……』

 

 

ハンスは俯いた後、何かを決心したかのように顔を上げる。

 

 

『兄貴! オレちゃん、兄貴を見習ってホンモノの漢になるための修行をするで!その為にも小さな事からコツコツやって見せる!』

 

「良いぜ、その意気だ!!」

 

 

アンドーとハンスはこれからの夢の為に、熱く拳をかわした。ファイズはその様子を遠巻きに見ていた。

 

 

「……ファイズ。混ざらなくていいの?」

 

「ああいうのは柄じゃねぇ」

 

「まあ……何はともあれ、この子はもう大丈夫みたいだね」

 

 

ちなみにハンスは『黒鉄男児・百錬成鋼・エンジン・点灯・ハンス』と名を改めるつもりだったらしい。

 

 

「ハンス入ってんじゃん!!」

 

 

誰かがツッコむ声が、ホロウに響き渡った。

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