ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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皆で

 

 

 

 

 

再び青溟剣の力を開放した瞬光と、ブラスターフォームに変身したファイズ。

 

それぞれ剣を構え、ローカストオルフェノクの元へ駆け出す。

 

 

「自分から死にに行ってるって事、理解できてないのかな……!!」

 

 

ローカストオルフェノクは、再び大量の分身体を召喚。

 

本体を守るように、二人の前に立ちはだかるが──最早それは意味をなさなかった。

 

 

「ふっ!!」

 

 

ブラスターフォームに変身した事で、ファイズブラスターの出力も最大まで引き上げられ、分身体は容易くフォトンブラッドの刃の餌食となっていく。

 

瞬光が操る青溟剣も先ほどより力を増していき、生み出される無数の剣が片っ端から分身体を貫いていく。

 

 

「……!!」

 

 

一瞬で分身体を破られたローカストオルフェノクは向かってくる二人に対し応戦する。

 

ファイズに対し攻撃を仕掛けるローカストオルフェノクだったが──

 

 

「……くっ……!」

 

「はあっ!!」

 

 

容易く弾き飛ばされ、重い拳の一撃を受ける。

 

さらに瞬光による青溟剣の攻撃が、まるで雨のようにローカストオルフェノクに襲い掛かる。

 

先ほどまでとは打って変わり、圧倒的な力により劣勢に追い込まれるローカストオルフェノク。

 

 

「……! 人間が……!」

 

「これがワタシたちの力! ここまで来れたのも、皆の力があったから!」

 

「……そんな弱い力、僕が……!」

 

「打ち破ってみろ、偽者! やれるもんならな!!」

 

 

二人が繰り出す隙のない連携により、ローカストオルフェノクの体力は徐々に削られていく。

 

そして。

 

 

「たあっ!!」

 

「ぐうっ……!!」

 

 

フォトンブレイカーでの一撃で、ローカストオルフェノクは壁へと吹き飛ばされた。

 

 

「瞬姐さん」

 

「うん!」

 

 

二人は頷き合う。

 

ファイズはファイズポインターを脚部にセットし、コードを入力する。

 

 

[5・5・3・2][Faiz Pointer, Exceed Charge]

 

 

直後、背中のフォトンフィールドフローターで空中へ飛び上がった。

 

 

 

 

瞬光も青溟剣を右手に、無数の剣とと共にローカストオルフェノクへと突撃した。

 

 

 

『はぁぁああああっ!!』

 

 

 

前方からの瞬光の青溟剣の攻撃と、上空からのファイズの『強化クリムゾンスマッシュ』が同時に繰り出され……ローカストオルフェノクの体に直撃する。

 

青溟剣から放たれる白銀色のエネルギーとフォトンブラッドの赤色のエネルギーが入り交じり、空間自体を破壊しかねない勢いで奔出される。

 

 

「が、あ……っ、馬鹿な、奴だ、青溟剣が自分を破滅に導くと知っていながら……!!」

 

「ワタシは、それでもいい!」

 

 

瞬光の赤い眼には、燃え滾るような決意と信念が込められている。

 

青溟剣から、全てを呑み込まんばかりの光が溢れ出す。

 

 

「例え暗闇に落ちても、何度でも這い上がる。百回忘れたとしても、百回思い出す!──だってワタシには、共に手を取り合える皆がいる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──だから何があっても、ワタシは……ワタシ達は、絶対に諦めない!」

 

 

 

青溟剣の絶え間ない斬撃により、ローカストオルフェノクが持っていた始まりの主の力も弱っていく。

 

『強化クリムゾンスマッシュ』の圧倒的なパワーが、その体を跡形もなく消し去っていく。

 

 

「…………が、あ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

断末魔すら上げる余裕もなく、やがてローカストオルフェノクの体は始まりの主の力とともに、光に呑み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……終わったの?」

 

「みたいだねえ」

 

 

ローカストオルフェノクの姿が跡形もなく消え去った後。

 

先ほどまでの熾烈な戦いが嘘かのように、その空間には静けさのみが残っていた。

 

 

「…………」

 

 

瞬光は元の姿に戻った後、疲れてしまったのか地面に座り込んでいた。

 

そんな彼女に、手が差し伸べられる。

 

 

「! タクミ……」

 

「お疲れさん。立てるか?」

 

「……ありがとう」

 

 

にこりと笑って、瞬光はファイズの手を取り立ち上がる。

 

 

 

 

 

その時、後ろからガシャンという音が聞こえ、二人は反射的に振り向いた。

 

 

「……!! ロックスプリング!」

 

 

戦闘ロボから転げ落ち、力なく地面に横たわるロックスプリング。

 

瞬光たちは急いで彼の元に駆け寄り、体を起こす。

 

 

「ロックスプリング、大丈夫!?」

 

「ぐ……『彼』が行った後も、自分なりに粘ってみたけど……どうやら限界みたいだ。どうやら、寿命が来たらしい」

 

「寿命って、まさか……」

 

「うん。さっきタクミにも言ったけど……元より壊れかけだった僕は、半ば強引に生き延びている状態だった。残された時間ももうないと、エンゾウさんも言っていた」

 

 

ロックスプリングは、まるで憑き物が落ちたかのように、穏やかな笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

「君たちは悪くない。結末がどうあれ、こうなる定めだったんだ」

 

「ロックスプリング……」

 

「僕は今、幸せな気持ちだ。君たちを信じて、正解だったと分かったから。ミス・サンブリンガーにより課せられた使命を……僕は果たせたかな……?」

 

「……ああ。お前があの時来てくれなければ、きっと皆無事じゃいられなかった。ありがとう」

 

「……」

 

 

センサーの点滅の感覚が次第に遅くなる。

 

ロックスプリングとの別れの時間が近づいている事を、暗に示していた。

 

 

「ゆっくり、眠っていい。俺達の事を……これからも見守ってくれ」

 

「……ありがとう。最期の最期に、君たちと出会えて……ほんとうに……よかった……」

 

 

 

消え入りそうな声でそう言った後……断続的に響いていたセンサーの音が、完全に途切れる。

 

 

「───」

 

「……!」

 

 

一匹のボンプの命が、今ここで消えた。

 

だが瞬光たちは、彼のことを忘れる事は決してないだろう。

 

 

「……ロックスプリング」

 

 

 

瞬光が名前をつぶやく。

 

ファイズは、動かなくなったロックスプリングの体をそっと抱きかかえた。

 

 

その時、アキラから連絡が入った。

 

 

『リン、聞こえるかい?』

 

「! お兄ちゃん」

 

『今さっき、ホロウの拡大が完全に抑えられて、元の大きさに戻った。任務は完了したんだね?』

 

「うん、無事に完了したよ。今から澄輝坪に戻るね!」

 

 

アキラとの通信を終えた後、リンは三人を見る。

 

皆、決して無傷という訳ではないが、それでも致命傷を負ったわけではない。

 

 

「ともかく、やっと終わったって感じだねえ。みんな、お疲れ様」

 

「照もね。そう言えば瞬光、体の調子は? 二回も使っちゃったけど、異常はない?」

 

「ワタシは大丈夫。確かに、もしかしたら……って思ったけど、皆の事はしっかり覚えてるもの」

 

「代償を受けなかったって事か?」

 

「分からない……けど、タクミと一緒にとどめを刺した時、青溟剣に変化が起きたのを感じたの」

 

 

ローカストオルフェノクの体を青溟剣で貫いたとき、青溟剣がいつもと違う輝きを放っていた。

 

リンと照も、傍から見てその様子は見えていた。

 

 

「あくまで直感だけど……ワタシと青溟剣の関係が、対等に近づいたのかも。青溟剣の力が、前は蝕むような感じだったのが……今は穏やかに流れるような感じ、って言うのかな」

 

「青溟剣と仲良くなれた、って事かなあ。ただそうだとしても反動がゼロになった訳じゃないよね」

 

「うん。けど、明らかに前よりこの力をものにできた気がする。先代までの剣主の意思と力を……確かに感じたから」

 

 

瞬光の言葉を聞き、リンは考えにふける。

 

恐らくその現象が、青溟剣の反動を抑えるカギになるのかもしれない。

 

 

(……まあ、見ただけじゃなんとも──あれ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え?」

 

 

遠くに見えた、赤紫色の人影。

 

それを見た途端、リンの動きが固まった。

 

 

「……姉ちゃん? どうかしたか」

 

「……っ!!」

 

「姉ちゃん!?」

 

 

何かに操られたかのように、いきなり走り出すリン。

 

その時ファイズ達も、ミアズマの幻がある事に気が付いた。

 

 

『…………』

 

「先生っ!」

 

 

リンは取り乱し、その名を呼ぶ。

 

それは以前にも見た、カローレの幻だった。

 

 

「なんで、先生がここに……!」

 

「先生って、確か前にも見たカローレ先生の……?」

 

「ここにもいたのか……それに誰かと話してるみたいだ」

 

 

カローレの話し相手が誰なのか、ぼやけていて分からない。

 

 

 

『全てを呑み込む──終焉……あの子たちがもし……私は、後悔しない……』

 

「先生、何を……」

 

「途切れ途切れで何を言ってるのかさっぱりだけど……穏やかな内容じゃないのは確かだねえ」

 

 

 

 

 

 

『──の後、エリー都の史書には、こう書かれ……かしら……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『両手を血に染めた、狂人と』

 

 

その言葉を聞いた瞬間、リンの顔から血の気が引いていく。

 

 

「……! そんな、先生が……まさか、違う、そんなはずない……!!」

 

「姉ちゃん、落ち着け……! いったんホロウから──」

 

「うっ!!」

 

「!!」

 

 

カローレの幻が消えた、その直後。

 

リンが眉間を抑え、苦しそうに蹲った。

 

 

「リン、リン!? しっかりして!!」

 

「……! この目……」

 

 

地面に座り込むリンの眼は金色に光り、何か紋章のようなものも見える。

 

インプラントに異常が起きたのか。

 

そう考える暇もなく、眼の光は鳴りを潜める。

 

 

「……っ、今の……」

 

 

リンも落ち着きを取り戻し、ファイズに肩を貸してもらいながらゆっくり立ち上がる。

 

 

「姉ちゃん、平気か?」

 

「……うん、大丈夫。でも、さっきのは……」

 

 

また考えに耽ってしまいそうになったが、今はそうしてる場合ではないと頭の片隅に追いやる。

 

 

「……また分からない事が増えたけど、ひとまず帰ろっか」

 

「それは良いけど、本当に大丈夫か? 病院に行った方がいいだろ」

 

「もう、タクミがそれ言うの? 本当に大丈夫だから、心配しないで。とりあえず、市長さんには相談しとくから」

 

「……」

 

 

何もなかったかのように振る舞うリンを見て、タクミは嫌な胸騒ぎを覚えた。

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