「……」
一方その頃、とある場所でファイズは上級エーテリアス、ハティと交戦していた。
一体だけなら楽に戦いを進められると思っていたが、ここでもう一体のハティが乱入。
二対一の状況。オートバジンを戦わせるのもありだが、燃料消費が割と馬鹿にならないため、多用はできない。
(……『あの力』も、使うにはちょっとリスクが高すぎるな)
「グワオオッ!!」
「!!」
ハティの素早い突進を間一髪で避けるファイズ。しかし、その時もう一体のハティが間髪入れずに飛びかかる。
「ぐっ……!! このっ!!」
飛びついてきたハティに膝蹴りを入れて振り落とす。しかしその間にまた片方のハティが襲いかかる。
ハティの攻撃をいなし続ける、一方的な戦いがしばらく続いた。
「……!」
しかしここで、ファイズはある事を思いついた。肩の力を抜き、右手に持っていたファイズエッジを左手に持ち変える。
そしてハティは今度は二体同時に爪を立てて襲いかかる。その瞬間をファイズは見逃さなかった。
ファイズは突進してきたハティの前足部分を掴み、そのまま渾身の勢いで振り回してもう一体のハティを吹き飛ばした。
「ハァァッ!!」
「グアオオッ!?」
ハティでハティを攻撃する。脳筋の発想である。
ファイズはその勢いのまま、前足を掴まれたハティのコア目掛けてファイズエッジを突き刺す。
急所を刺され、消滅するハティ。これで残り一体。ファイズは吹き飛ばした方のハティを見る。
「ヴゥゥゥゥゥ……!!」
先程の攻撃が余程効いたのか、ハティは疲弊している様子だった。
ファイズはフォンのENTERキーを押す。
[Exceed Charge]
ファイズエッジの刀身にフォトンブラッドのエネルギーが蓄積される。ファイズはエッジを振り上げ、光波を放出した。
光波により動きを封じられるハティ。そのままファイズは走り出し、ハティに『スパークルカット』を繰り出した。
「グォォオオオオオ……!!」
遠吠えにも似た断末魔を上げ、『Φ』のマークを浮かべた後、もう一体のハティも消滅した。
「エーテリアスはもう……いないよな」
周りにエーテリアスがいないかを確認するファイズ。
正直もう休みたい気分だったが、まだやるべき事が残っているので、ファイズはそのままオートバジンに乗り、プロキシ達の元へ急行した。
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「諦めろフライデー。もう逃げ場はねぇぞ」
『……!』
一方、クレタ達は長きに渡る追跡劇の末、ようやくフライデーを追い詰めることに成功した。
「……コイツ、さっきから一言も喋らねぇが……言語モジュールがぶっ壊れてんじゃねぇだろうな」
「それはねぇな。明らかに、うちらの言葉を理解してやがる」
クレタは未だに言葉を発さないフライデーに喋りかける。
「おい、もう小芝居はやめろ。お互い腹を割って話そうぜ。逃走した重機のうち、一台は自己実現にお熱なカタブツ。もう一台は恋する乙女……お前は何モンだ?何が目的だ」
『……』
「なんだよ、お前にもあんだろ?妙なキャラ付けが──」
『喝ッ!!無礼者ッ!!』
一際大きな声でそう叫ぶフライデー。その反応に困惑するクレタ達。
『キャラだと?笑止千万ッ!凡俗の徒ごときが無礼にも口を挟み、我が使命を阻むとは!!』
フライデーは高らかに叫ぶ。
『我こそは明星の断罪者!!我が師の名を受け、この地の封印を固めに参ったのだ!控えろ!』
「……プッ、『明星の断罪者』? おまけに『封印』だぁ?」
「なるほどな、こういうの……中二病って言うんだろ?」
意味の分からないことを口走るフライデーへ、アンドーが一喝する。
「妄想も大概にしろってんだ! ホロウの中を走り回ったら危ねぇだろうが!」
『お主らこそ、かような戯言を! 封印がひとたび破れた暁には、この地に破滅が訪れるのだぞ!』
フライデーはそう言って、何度目かの跳躍を披露する。
『我が師よ、今馳せ参じます!!』
「まずい、逃げるぞ!ベン、奴を止めろ!!」
ベンはフライデーの逃げる方向へ待ち構え、足を部分を掴んで動きを止める。
しかしフライデーの方も逃れようと足を激しく動かす。
「ぐっ……!大人しくするんだ……!」
その時、ベンの背後からバイクのエンジン音が聞こえた。直後、一台のバイクが空中へと飛び出し、フライデーへ勢いよく突撃した。
『うわぁぁあ!?』
突然の奇襲に悲鳴を上げるフライデー。空中で突撃したバイクは見事に着地する。
バイクに乗っていたのは──
「ファイズ! 良かった、無事だったんだね!」
クレタとプロキシがバイクに乗ったファイズの元へ駆け寄る。
「悪い、待たせたな。それで、アイツが例の……」
ベンの力と先程のバイクの突撃により、フライデーは動きを止めた。その隙にグレースが近づく。
「ふふ……お姉さん、想像力の豊かな子は嫌いじゃないわ?でも、続きから帰ってからにしよっか?」
『よさぬか! 封印が危ういと言うのに、何故我を阻むのだ──ま、待て!話せば分かるって!!』
ファイズたちはその様子を見ていた。
「……コイツはまた、随分なクセモノだなおい」
「乙女、熱血漢と来て、今度は中二病タイプらしいよ?あの重機」
「……てゆーか普通に喋れんじゃねぇかアイツ」
『聞いてくれ!嘘はついてないんだって!!』
フライデーは大きな声で弁明を続ける。
『本当に我が師ホルスの声が聞こえたんだ!彼の期待に背くわけにはいかないんだよ!!』
「……どういうことだ? なんでソイツの名前が出てきやがる」