ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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家族

 

 

 

 

 

『リン、ここが信号を増幅させるのに一番適している場所だ。少し待っててくれ、僕とFairyが今すぐプロトタイプの位置を割り出す』

 

「うん、分かった」

 

『座標計算中……プロトタイプの位置を取得。現場の見取図を生成しました』

 

 

Fairyはグレースのタブレットに出力したプロトタイプがいる場所の見取り図の画像を送った。

 

 

「おっ!早速届いたよ!どれどれ──うーん……」

 

 

しかし画像は過去の街道カメラの画像を元に生成されたため、解像度が低い。辛うじて、歪な形のタワーらしきものが見える程度だ。

 

ベンもタブレットを覗き、画像を見る。すると……

 

 

「……なっ、これは……!」

 

「? どうしたベン、プロトタイプの位置に何か問題でもあるのか?」

 

「……社長。当時、先代が失踪する前に、白祇重工は新しい地区開発プロジェクトを請け負っていた。それが、『パイオニア記念広場』の施行だ。この見取り図にある建造物はタワーなんかじゃない……!まさに、あの記念広場にあったモニュメントなんだ!」

 

「……プロトタイプは、アイツが途中で工事を投げた広場にいるだと……!? どういう事だ!」

 

「そ……それは、俺にも分からない。今これを見て、急に鳥肌が立ったんだ……プロトタイプがそこにいるのは、先代が何か伝えようとしてるからだと思えて……」

 

 

それを聞いてアンドーは何かを思い出したかのようにつぶやく。

 

 

「そうだ……フライデーの野郎も言ってた!『我が師、ホルスの声が聞こえた』と!」

 

「ベン、アンドー……お前ら考えすぎだっての──まあ、何だってプロトタイプがそんな所にいるのかは気になるな……とりあえず、現場に行ってみようぜ」

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

示された場所へと向かう一行。

 

 

「モニュメントはすぐ目の前だ!足元気をつけろよ」

 

「……なぁ、ファイズ」

 

「なんだ」

 

「何でボンプを抱きかかえてんだ?」

 

 

クレタの言う通り、ファイズはイアス(中身リン)を大事そうに抱きかかえながら歩いていた。

 

 

「ここら辺瓦礫が多いだろ?歩きづらそうだったからよ」

 

「いやぁ、楽ちん楽ちん!」

 

「……プロキシってボンプと感覚同期してんだよな?」

 

「……? それがどうかしたか」

 

「……いや、何でもねぇ」

 

 

自分でも何故その質問をしたのか分からないまま、クレタは話を打ち切る。

 

 

「……ん?グレース、どうした?」

 

 

ベンは先程から暗い表情をしているグレースに問い掛ける。

 

 

「え?ああ、別になんでもないよ」

 

「……姉貴、まさか怪我してんじゃねぇだろうな?」

 

「……違うよおチビちゃん。おかげさまで怪我はしなかったさ。ただ……」

 

「ただ?」

 

「おチビちゃんは、凄いなって思って」

 

「……はぁ?」

 

「君は白祇重工のために、必死に頑張って来た。朝から晩まで休まず働いたり、技術論文をボロボロになるまで何度も読み返したり……」

 

「……」

 

「そんな君と比べたら、私は幹部失格だ。自分のエゴで己が身を危険に晒して、君に助けられた。会社の為だと口にしながら、結局は──」

 

「フンッ!」

 

「いたっ!?」

 

 

クレタはグレースに思い切りデコピンを食らわせる。

 

 

「次そんな事言ったら承知しねぇぞ。それに、あたしはお前が幹部失格だなんて微塵も思っちゃいねぇ」

 

「え……?」

 

「お前は白祇重工の将来の為に、一人で危険に立ち向かった。それに、助けられたのはファイズが姉貴がいる所まで連れてってくれたからだ。あたしだけじゃ、助けられなかったかもしれない」

 

「……クレタ」

 

「……姉貴。前に、『分かってねぇのはお前の方だ』って言ったことあるだろ? 実は……それについて、隠してた事があるんだ」

 

「……! ホルスさんの事かい?」

 

 

ホルスが失踪したその夜の事をクレタは話した。

 

夜中、リビングの電話の声で目を覚ましたクレタ。見に行くと、ホルスはカバンに何かを詰め、家を出ようとしていた所だった。

 

その時、カバンの中から大量の札束が見えた。

 

後からそれが、白祇重工の帳簿から消えた大金だと分かったらしい。

 

 

「……そんな事が」

 

「ふん、これが事実だ。そんなものを見た上に、治安局の報告まで聞いちまったら……お前らみたいにアイツを信じ続けらんねぇのも無理ないだろ」

 

「どうしてもっと早く言ってくれなかったんだい……?皆に話せば、少しは楽になっただろうに」

 

「さあな。皆に話したら、親父が本当に悪者になっちまう……そんな気がしたんだろうな」

 

「……おチビちゃん、一つ約束しよう。これからは何があっても、皆と一緒に乗り越えるって。一人だけじゃ無理でも、家族が……私達が一緒ならどんな事にも立ち向かえるはずだから」

 

「……奇遇だな、あたしも同じ事を言おうと思ってた。姉貴の方こそ、もう一人で無茶したりすんじゃねぇぞ」

 

 

実の父親がいなくても、クレタにはアンドー、ベン、そしてグレースがいる。二人は家族とならどんな困難も乗り越えられると信じて、固い約束を交わした。

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