一行はプロトタイプがいる、白祇重工がかつて工事を請け負っていた記念広場へと辿り着いた。
そこには見取り図の画像で見たモニュメントがあり、さらにモニュメントの傍に大型の機械が鎮座している。
「……慎ましやかな配色、端整なシルエット……間違いないあれがプロトタイプだよ! ……だけど、この奇妙な状態は一体……?」
「確かに不自然だな……まるでプロトタイプがモニュメントを支えているようだ」
「……ここで何があったってんだ」
クレタは周りに指示を出す。
「ベン、アンドー、ファイズ。モニュメントの付近を調べろ。あたしはプロキシと姉貴で操縦席を見てくる」
「押忍!」
アンドーたちはモニュメントの周りに何かがないかを探す。
「ファイズ!ベン!何か見つけたか?」
「いや、何も……」
「こっちも特にこれと言ったものは……」
エーテリアスが出てくるかもしれないと警戒していたが、そのような気配もない。その時──
「ん?」
ゴソリ、と。ファイズはモニュメントの中から何かが動く音が僅かながら聞こえた気がした。
モニュメントの方を注視する。しかし何も起きない。
「……?」
「おーい!」
「社長?」
プロトタイプの操縦席の方からクレタの声がした。
「皆、来てくれ!プロキシがとんでもねぇものを見つけた!」
集まった皆に、クレタはバインダーに挟まれた紙を見せる。
「これは……プロトタイプの引渡指示書!ホルス社長のサインに、金額と日付まであるぞ……!」
請求書の金額は白祇重工の帳簿から消えた金額と一致、日付もホルスが失踪した日と一致していた。
「つまり……ホルスさんがお金を持ち出したのは、プロトタイプの費用の支払いの為……!」
「ハン!ホルスさんみてぇに正義を重んじる漢が、持ち逃げなんてこすいマネするはずねぇと思ってたぜ!この引渡指示書があれば、やっと先代の汚名が晴らせるってもんだ!」
ファイズはプロトタイプを見上げてつぶやく。
「……請求書が操縦席にあったって事は……そのホルスさんがプロトタイプをここまで操縦してきたって事なのか……?」
「……今はまだ結論を出せそうにねぇな。だが、キャビンの中には大量の弾痕があった……多分、ここでは何かヤバいことが起こったんだ」
クレタは操縦席の中で拾った薬莢を見せる。
「アイツが、親父が逃げたんじゃねぇんなら……もう、この世にはいねぇかもしんねぇ……!」
「……!」
クレタは悔しげに拳を打ち付ける。
父親が悪者では無かったという安心感と、そんな彼がもう死んでいるのかもしれないという焦燥感が入り交じった、そんな表情をしていた。
「親父のヤツ、きっと危ねぇ事に巻き込まれたんだ……!けど、一体何を見た?どうして誰にも言わねぇで──」
「クレタ、落ち着いて」
「!」
取り乱すクレタの肩に手を置くグレース。
「プロトタイプを確認したけど、論理コアの外部記憶素子は無事だった。その中に当時の映像記録があるかもしれない……プロトタイプを持ち帰ったら、すぐデータの分析にかかるよ。必ずや、ホルスさん失踪の真相を見つけよう!」
「そっすよ社長!何とかなりますって!」
「クレタ!私たちも力になるよ!ね、ファイズ!」
「ああ」
「皆……」
クレタは俯いた後、自分の頬を思い切り叩く。
「……ああ、そうだな!社長がこんなんでどうすんだ! おし、ひとまずプロトタイプを会社まで引っ張ってくぞ!」
───────────────────────
プロトタイプはデモリッシャー、パイルドライバーの力を借り、会社へ運ぶ事にした。
「焦らず、ゆっくりな」
「オーライ、オーライ!」
プロトタイプをどかした事で支えを失ったモニュメントも、デュアルショベルが落ちないように受け止める。
「行こう。ここにもう用はない」
「ん……」
このままホロウを出ようとした矢先、フライデーが突然立ち止まる。
『待たれよ……我は重大な事を忘れてはおらぬか……?』
「重大な事?」
『うむ、しかし何だったか──そうだ封印!我が師ホルスは我に封印を固めよと……しかし、封印とは一体──』
ドゴォン!!
「?」
フライデーの言葉を遮るように落石の音が響き渡る。振り返ると……
「……おい、あそこに何かいんぞ!」
「あれは……エーテリアス!?」
名状しがたい何かが、モニュメントの中から蠢き出てきた。