オートバジン
「なぁタクミ」
「ん?」
とある日の午後。一緒にゲームで遊んでいたビリーはタクミにとある質問をした。
「お前のバイクってさ、どこで買ったんだ?」
「オートバジンの事か?」
「そうそう。人型に変形するバイクなんて一体どこのメーカーが売ってんのかなぁって」
「あれはな……買ったんじゃない。飛んできたんだ」
「……」
「……ビリー。お前の言わんとしてる事は分かる。けどな、俺が言ってる事は本当だ」
「……うっそだろぉ?」
ビリーは半信半疑、と言った感じだ。
「ああでも、あのバイク自分で動いたりするから有り得なくもねぇのか……」
「なんで飛んできたのかは今でも分かんねーけどな。あれは確か兄ちゃん達がニコから金庫関連の依頼を受ける前だったかな……」
「ほわんほわんほわわ〜ん」
「いやアンビー、回想に入る時のセルフ効果音はやらなくていいっての。 つーかいつからいたんだよ!?」
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オートバジンに出くわしたあの日。
プロキシとファイズはインターノットで受けた依頼を遂行していた。
「プロキシ!依頼人が言ってた荷物だ!」
「おっけー! それじゃとっとと回収してホロウを出るよ!」
ファイズが荷物を手に取った、その時。
「グォォオオオオオ!!」
「うそ……!?」
「クソ……タイミングが悪いな」
二人を取り囲むように、上級エーテリアスが複数出現した。視線は完全にこちらを向いている。
普段ファイズが戦う時は、プロキシは物陰に隠れるようにしているが、囲まれている以上そうすることは出来ない。
エーテリアスによりボンプが破損しないよう、庇いながら戦う必要がある。しかし、複数相手では困難を極めることだろう。
「プロキシ、そばから離れるな」
「う、うん!」
ファイズショットを構え、臨戦態勢に入る。
その時だった。
ズダダダダダ!!
「グォォオオオアア!!」
「っ! なんだ!?」
「ファイズ、上! なんか飛んでるよ!!」
プロキシが上空を指さす。
見上げてみると、謎の人型ロボが飛行しながらエーテリアスに向けてガトリング砲を掃射していた。
そう、そのロボこそがオートバジンだった。あっという間に消滅していくエーテリアス達。
しかしオートバジンの特筆すべき点はその攻撃力だけではない。
ファイズ達がエーテリアスに囲まれている所を、オートバジンはガトリング砲でエーテリアスだけを的確に撃ち抜いていった。
本来なら巻き添えを食らってもおかしくはなかった。射撃精度はかなり高いと言えるだろう。
エーテリアスを片付け、ファイズ達のそばへと降り立つオートバジン。
「……えっと……助けてくれて、ありが……とう?」
プロキシはお礼を言うが、オートバジンは何も言わない。プロキシは小声でファイズに話しかける。
「……この人、微動だにしないね」
「というか、そもそも人じゃないんじゃねぇのか?」
ファイズは再び、オートバジンの方を見る。すると、胸部に何かが書かれているのを見つける。
そこには『スマートブレイン』のロゴがあった。
「……!? スマートブレイン!?」
「ファイズ? どうしたの?」
「このロゴ……ファイズギアに書かれてるロゴと一緒だ!」
「嘘!?」
もっとよく調べるべく、オートバジンの胸部にあるスイッチを恐る恐る押してみる。すると──
[Vehicle Mode]
「え?」
聞き慣れたシステム音声が聞こえたかと思えば、オートバジンは瞬く間に姿を変え、バイクへと変形した。
「……コイツ、バイクだったのかよ」
「……どうする? 持って帰る?」
「うーん……スマートブレインのロゴがある以上、ベルトと関係ある代物なのは確実だよな……よし、持って帰ろう」
こうしてオートバジンはそのままタクミの所有物となった。かなりあっさりとした感じだが実際こういう感じだったので仕方ない。
ちなみにコード入力で呼び出せるバイクがもう一つあるのだが……バイクのサイズがサイズなだけに普段使いができないでいた。
果たして使う日は来るのだろうか……