ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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アクセルフォームに初変身した時のお話です


試運転

 

 

 

 

 

「新しい力をテストしたい?」

 

「ああ」

 

 

これはまだFairyがパエトーンの助手になって間もない頃の話。

 

アキラはタクミの唐突なその言葉に困惑していたが、彼の右手に持っている物が目に入る。

 

 

「それ、なんだい?」

 

「ファイズアクセル。アタッシュケースと一緒に入ってた」

 

「それが、新しい力かい?」

 

「そう。マニュアル見たから使い方とかは知ってたけど、今の今まで使ってこなかったんだよな……だから実践に投入出来るよう試しに使ってみたくてな」

 

「……うーん」

 

 

もしそのファイズアクセルとやらが強力な力となるなら、使うのもやぶさかではないだろう。

 

しかし、それはあくまでリスクを視野に入れなければの話だ。その力を使ってどのようなリスクが生じるかは定かではない。

 

そもそもファイズの力でさえ、詳しい事は分かっていない。タクミにはあまりこういう事はさせたくは無いのだが……

 

 

(ファイズアクセルがエーテリアスに対して有利に戦える力を発揮できる代物なら……手放しで使用を禁止するのも考えものだな……)

 

 

アキラは少しの間悩んだ末、タクミに提案をした。

 

 

「分かった。それなら一回試しに使ってみよう。ただその力を使って、少しでも異変を感じたらすぐに止めるんだよ」

 

「分かった」

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

とあるホロウの中。このホロウは今の所エーテル活性は低く、エーテリアスの数も少ない。

 

ファイズアクセルの力を試すには持ってこいの場所だった。

 

 

「ファイズ、準備出来た?」

 

「もう出来てる。出来てるけどよ……」

 

 

ファイズは横を見る。そこにはお馴染みの面子である邪兎屋の三人がいた。

 

 

「なんで三人がいるんだ……?」

 

「ファイズに何かあった時に止めてもらうためだよ。念には念をってやつ!」

 

「大丈夫よ。何があっても絶対に止めるわ」

 

「そうそう!それにエーテリアス相手に対する切り札なんて強いに超したことはないんだから!こっちとしても便利──じゃなくて大助かりだし!」

 

「親分、今本音出てなかったか……?」

 

 

どうやらスタンバイは出来ているみたいだ。

 

ファイズはファイズショットにミッションメモリーを装填し、装備する。

 

そして左手首に付けたファイズアクセルからアクセルメモリーを取り出し、ファイズフォンに装填した。

 

 

[Complete]

 

 

胸部のフルメタルラングが展開し、内部機構があらわになる。

 

フォトンストリームもフォトンブラッドの出力を最大にした事により、赤色から銀色へと変色。アクセルフォームへと変身した。

 

 

「……これが、ファイズの新しい姿……」

 

「おお! 中々かっけぇじゃねぇか!」

 

「それで? どんな力が使えるのかしら?」

 

「確か、このボタンを押せば……」

 

 

ファイズはスタータースイッチを押す。すると……

 

 

[Start Up]

 

 

システム音声の後に、ファイズの体から駆動音が鳴り響く。ファイズショットを構え、あらかじめ置いておいた複数のエーテリアスのダミーに狙いを定める。

 

 

「ハァッ!!」

 

 

そしてファイズは……音速のスピードで走り出した。

 

 

「うおお!? は、早ぇ!!」

 

 

目にも止まらぬ速さでエーテリアスのダミーを次々と粉砕していく。

 

そして数秒足らずで全てのダミーを破壊した後、ファイズは立ち止まった。

 

 

[Three, Two, One…Time Out]

 

[Reformation]

 

 

フルメタルラングが閉じ、通常形態のファイズへと戻る。

 

スイッチを押してからちょうど十秒。その間だけ通常の千倍の速度で動ける。これがアクセルフォームの能力だった。

 

ニコ達はファイズの元に駆け寄る。

 

 

「凄いじゃないファイズ!これならどんなエーテリアスだって敵じゃないわ!」

 

「……」

 

「……? ファイズ?」

 

 

アンビーの呼びかけにファイズは何も答えない。彼女達が不審に思ったその直後──

 

 

「ファイズ!?」

 

 

ドサリ、と。

 

呻き声すら上げず、ファイズは地面へと倒れ伏した。

 

 

「ファイズ、ファイズ!! タクミ!!」

 

「マズいぞ……ひとまずホロウから出さねぇと……!」

 

 

ファイズアクセルのデメリット。

 

それは使用時に生じる体への負担が極めて大きい、という事だった。

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

「────っ……」

 

 

意識を失ってからどのくらい経っただろうか。

 

タクミが目を覚ますと、そこは自分のベッドの上だった。

 

そして、誰かがベッドに突っ伏すように寝ているのを目にする。

 

リンだった。

 

ここでタクミはなぜ自分が気絶したのかを思い出す。

 

 

「……」

 

 

ひとまずリンを起こそうとしたところで、ガチャリと部屋のドアが開いた。

 

そして部屋に入ってきたアキラと目が合う。

 

 

「……兄ちゃん」

 

「タクミ! 目を覚ましたんだね」

 

「…………タクミ?」

 

 

アキラの声により、リンも目を覚ました。そして。

 

 

「タクミっ!!」

 

「ぐおっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲホッゲホッ……そういやニコ達は?」

 

「三人ならさっき帰ったよ。もっとも、タクミが目覚めるまで待つって言って聞かなかったけどね」

 

 

リンを引っぺがした後、タクミはアキラから色々と事情を聞いた。

 

どうやら気絶した後、ニコ達によってタクミの部屋へと運び込まれたらしい。

 

 

「ニコの知り合いの闇医者によれば命に別状は無いって言ってたけど、三時間も目覚めないからどうなるか気が気でなかったんだよ……?」

 

「三時間……」

 

 

どうやらタクミの想像以上に時間が経っていたらしい。

 

 

「心配かけたな姉ちゃん……にしても、ファイズアクセルがここまで危険な力だったとはな……」

 

「ああ。少なくとも、力の全貌が分かるまでは使用はしない方がいい。あまりにもリスクが大きすぎる」

 

 

ファイズギアと一緒にファイズアクセルを渡したあの男は、何か知っているのだろうか。

 

……考えても仕方がない。ひとまず、この力を使うのはお預け、という事にした。

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