ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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金庫を取り戻せ

 

 

 

 

 

翌朝。タクミはニューススタンドにいた。日課のスクラッチ削りをするためである。

 

シティ速報を一部購入する。

 

 

「おはよう、ウーフ」

 

「ワンワンッ!」

 

 

ウーフを撫でながら、新聞に軽く目を通す。これと言って気になるニュースはない。

 

問題はスクラッチだ。

 

 

「今日は頼むぞ……」

 

 

このスクラッチ削りはタクミにとって、一日の運勢を占うのに最適だった。

 

硬貨を手にスクラッチを削る。中には「骨」の絵が見える。

 

 

「……」

 

 

……いや、まだだ。もしかしたら実は印刷ミスでホントは当たりの絵が描いてあるかもしれない。

そんな祈りを込めてタクミは最後までスクラッチを削った。

 

結果は骨三本だった。

 

 

「…………」

 

 

これで九十日連続の骨三本だ。

 

「不幸だーーーー!!」という叫びが喉まで出かかったが、朝っぱらからそんな情けない悲鳴を六分街の人々に聞かせるわけにはいかない。

 

タクミは肩を落としつつ、家へ戻ろうとした。

 

 

「コーヒーでも飲──」

 

「タクミ」

 

「ウワーーーーーーーッ!!」

 

 

後ろから突然声が聞こえ、タクミは結局情けない悲鳴を六分街に轟かせる事になった。

 

声の主はアンビーだった。

 

 

「おはよう。今日はいい天気ね」

 

「おっ……おはようアンビー、次は正面から声掛けてくれよな……それで、何の用だ?」

 

「ニコが金庫の位置情報を入手したから、一緒にプロキシ先生の所に来ていたの。ただタクミの姿が見当たらなかったから何処にいるか聞いたら、ニューススタンドにいるって……」

 

「そういうことか。ならすぐ準備するから、待っててくれ」

 

「ええ」

 

 

そう言いながら、タクミは急いで店の中へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

「悪い、待たせたな」

 

「──お、来たわねタクミ!」

 

 

駐車場には既に『パエトーン』の二人と『邪兎屋』の三人が居た。

 

 

「……なあ、さっき向こうからスゲー悲鳴が聞こえたんだけどさ、あれタクミの声か?」

 

「……あーーーなんの事かさっぱり」

 

「安心してタクミ。とても良い悲鳴だった。恥ずかしがることは無いわ」

 

「……アンビー、さっきのもしかして確信犯?」

 

「……」

 

「アンビー?こっち向け?」

 

 

アンビーはすまし顔で明後日の方向を向いている。

 

 

「──って、そんなことはどうでもいいの!パエトーン、この前頼んでたやつはどうなったの?」

 

「メモリディスクの修復のことかい?バッチリ終わらせたよ」

 

 

アキラは例のペンダントを取りだした。

 

 

「それに、ニコの勘も当たってたよ──中には金庫の暗証番号が入っていた」

 

 

それを聞いてニコは満足そうに頷いた。

 

 

「さあみんな、プロキシのおかげで準備は整った!そろそろ次の計画に移るわよ!アンビー、計画を説明してちょうだい!」

 

「……了解。コホン……諸君、こちらにある新エリー都の地図を見てくれたまえ」

 

 

アンビーはポスター程はありそうな新エリー都の地図を広げて見せる。

 

 

「我々の行動計画は、クリティホロウに入り、上級エーテリアス『デュラハン』を倒して、金庫を手に入れる事である──」

 

「……続きは?」

 

「以上よ」

 

 

バッサリと切り捨てた。先程ドヤ顔で広げた地図は何だったのだろうか。

 

 

「……ニコは、協力者に舐められないよう、プロらしく振る舞おうと言ってた。さもないと値切りが面倒に──むぐぐっ」

 

 

ニコが慌ててアンビーの口を手で抑えた。

 

 

「また余計な事言って!ビリー、なんでちゃんと見張ってないのよ!」

 

「俺のせいじゃねぇって!アンビーが用意した『プロ』のミーティングがこんなんだとは思わなかったんだよ──ってタクミ、どうかしたか?」

 

「いや、さっきの地図のくだりをどっかで見た気がしてよ……確か『真実はいつも無数』って映画だった気が」

 

「うん。その通り」

 

「あー……そういや集合前に探偵映画のミーティングシーン見てたな……このためだったのか……」

 

「……」

 

 

ジト目でニコを見るアキラとリン。

 

 

「……こ、コホン!話を戻すわよ……アンビーが説明したように、計画は至ってシンプルよ──『金庫を探して取り戻す!』──外からじゃホロウ内の状況をリアルタイムで確認することは出来ないから、中での支援とガイドは任せたわ!」

 

「それじゃあホロウへ向かいましょう」

 

「今回もよろしくな!店長、タクミ!」

 

「おう」

 

 

邪兎屋の三人とタクミは、クリティホロウへ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

 

 

数分後。

 

邪兎屋の三人、ファイズに変身したタクミ、そして感覚同期をしたイアス、もといパエトーンはクリティホロウの中にいた。

 

 

「よし!ホロウに入れたわね!早速あたしの金庫を探すわよ!」

 

「そういやニコの親分、一体どっから金庫の位置情報を入手したんだ?」

 

「ふふん、それは企業秘密よ!そう簡単に話す訳にはいかないわ」

 

 

ニコはパエトーンとファイズの方をチラリと見ながら続けた。

 

 

「……でもまぁ、今ここに部外者は居ないわけだし?ちょーっとだけなら教えてあげてもいいわよ!」

 

「どうせハナから自慢するつもりだったんだろーが」

 

「はいそこ静かにしなさい!」

 

「ちょっとファイズやめなよ……こういう時のニコって結構繊細なんだから」

 

「ふ、二人して何言ってんのよもう!」

 

 

ニコは話を戻す。

 

 

「コホン!言ってしまえば単純よ。調査協会にツテがあるの」

 

 

ニコ曰く、ホロウ調査協会はここ最近ホロウ定期観測任務とエーテル資源採掘任務の記録係を任されているらしい。

 

そこでニコは調査協会に『絶対に断れない申し出』をし、ホロウ内部で起こった直近二回の異変に関するデータを照合してもらうことに成功した。

 

 

「──てな感じよ!相違のあるポイントを羅列すれば、おおよその位置が特定できるでしょう?」

 

「さっすがニコの親分!」

 

「『絶対に断れない申し出』ってのが気になるな……」

 

「さ、話はこれでおしまい!とっとと金庫を回収して、ホロウを出るわよ!案内はお願いね、プロキシ!」

 

「…………」

 

 

ボンプは一言も喋らない。

 

 

「? プロキシ先生……?」

 

「……ッ! ……?」

 

 

アンビーの呼びかけに、反応した……が、何かプロキシの様子がおかしい。

 

 

「……プロキシ?どうした?」

 

 

ファイズもプロキシに呼びかける。

 

 

「……っ大丈夫!ちょっと接続が不安定になってただけだから」

 

「そうか?ならいいけどよ」

 

「プロキシ?突っ立ってないで、そろそろ出発するわよ?大まかな位置は把握してるけど、どうやって辿り着くかはあんた次第なんだからね!」

 

「うん、分かってるよ」

 

 

一行はホロウを進んでいった。

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