あと通算UA3万達成、ありがとう……
メッセージ
ビデオ屋、工房内にて。
アキラ達はヴィジョンが起こした爆破事件、その裁判に関するニュースをテレビで見ていた。
被告人はパールマン、そして訴訟代理人として邪兎屋のニコが法廷へ出ることとなっている。
「──パールマンはどう見ても黒なんだから、審理はスムーズに進むつもりでいたけど……」
「法廷じゃどんな小さい事でも議題に上がるらしいもんね。ニコなら大丈夫だとは思うけど……油断しない方がいいかも。ね、タクミ」
「…………」
「……タクミ?」
リンはタクミの方を見る。タクミは工房内のソファ内で爆睡していた。
先程まで起きてテレビを見ていたはずなのだが、裁判に関するニュースが終わり次第、眠りに落ちてしまったようだ。
「……珍しいな。タクミが昼寝なんて」
「夜更かしでもしたのかな……」
そんな事を話していると──
「パエトーン!!」
「こんにちは、プロキシ先生」
工房の扉がバン、と勢いよく開かれる。そして入ってきたのはニコとアンビーだった。
「ニコ、アンビー。どうしてここに……今日は専用機で最高裁に向かうはずだろう?」
「ええ、本当だったらね。でも、あんた達にどうしても相談しときたい事があるの。出なきゃ、おちおち法廷にも出らんないわ」
「相談って……何かあったの?ニコ」
「パエトーン。この前、白祇重工の記憶素子を解読するために、あたしに頼んできたわよね。ハッカーの『レイン』に繋げて欲しいって」
「……ニコ、この期に及んで良心の呵責に耐えかねたのかい? 本当は知り合いじゃなかったと白状されても、今更なぁ……」
「違うわよ! いくらレインが今インターノットで話題の売れっ子ハッカーだからって、このあたしのオファーを断るはずがないわ! ただ、何だかあっちの方で、妙な事に巻き込まれてるみたいなの」
どうやらニコを含むレインの知り合いが皆、携帯に空のメッセージを受信するようになったらしい。
最初は気にとめていなかったが、その状況が二週間も続き、挙句レイン本人は連絡が取れずじまいになってしまった。
メッセージの頻度も日に日に多くなっている。
「……なるほど、確かに妙だな」
「Fairy、レインが送ってきた内容を見てくれない?本当にただの空っぽのメッセージなの?」
「……マスター。分析の結果、これらのメッセージには確実にいかなる内容も含まれておりません。ですが、位置情報は暗号化されていないようです。解析の結果、送信場所は新エリー都市内の『バレエツインズ』という──」
「ちょっとタンマ!! ばっ、ばば、バレエツインズですって!?」
ニコが突然大声をあげる。その顔は何やら青ざめていた。
「……バレエツインズに何か問題でもあるのかい?」
ピンと来ていないアキラとリン。
寝ているタクミの頬を先程からツンツンと突いていたアンビーが代わりに説明をする。
「バレエツインズというのは、とあるツインタワーの名前なの。最近、そこで心霊現象が起こると話題になってて──」
「ストップアンビー、そこまでよ! と……とにかく事実として言えるのは、あの二棟はもう何年も前から、ホロウに呑み込まれてるって事だけ」
ホロウの中と外部では通信は不可能。故に、レインがそこからメッセージを送っているとは考えづらい。
「リンはどう思う?ニコは随分参ってるみたいだし、僕たちだってレインの助けを必要としている。いっその事、直接バレエツインズを調査しに行ってもいい」
「賛成! 私、幽霊とか信じないタチで──あ、そうだ。おーいタクミ、そろそろ起きて!」
「……んん、んー……」
リンはタクミを揺すって起こそうとするが、余程深く眠りについているのか、タクミは起きる気配がない。
「全然起きないわね……」
「任せて、私に良い考えがある」
アンビーはタクミのそばに寄り、その寝顔に顔を近づける。そして──
「ふぅっ」
「オワァァアアアアッ!!?!?」
耳に息を吹きかけられ、タクミはあっという間に目を覚ました。
「な、何?なんだ一体!?」
「タクミ。よく眠れた?」
「あっはい、とても──じゃなくて! アンビー、ニコ、何でここにいるんだ!?」
「落ち着いて……それは僕から説明するよ」
先程の話を簡単に説明した。
「──そんなわけで、レインの行方を調べにバレエツインズに行かなきゃならないんだ」
「なるほどねバレエツインズ──バレエツインズ!?」
「アンタ今日よく叫ぶわね……」
「タクミ、バレエツインズを知ってるの?」
「心霊現象がよく起きる場所だろ? インターノットで話題になってたんだよ……つーか行かないといけないのか……? バレエツインズに?」
「別に一人ってわけじゃないでしょ? ボンプ姿でだけど、私も一緒に行くし」
「それ実質一人じゃん……!」
ホラーや心霊関係になると一気に弱気になってしまうタクミ。
「それなら、私達も一緒に行くわ。それなら怖くはないでしょう?」
「別に怖くは──い……いや、怖いです。めっちゃ助かります、ハイ」
「ニコ。プロキシ先生達とバレエツインズに行ってもいい?」
「別に良いわよ。公判にはあたしが居ればいいわけだし」
「それじゃあ決まりね」
そんな訳でレインの行方を調査しに、プロキシ達はバレエツインズへ向かうのだった。