バレエツインズのロビーへと向かう一行。道中でエーテリアスを倒しながら、暗い屋内を進んでいた。
「……なんか、普通のホロウよりしんどくねぇか、ここ? 迷路みてぇに入り組んでるし、寒くてジメジメしてるしよ。替えたばっかの膝関節が錆びちまわねぇか、心配になってきたぜ……」
「ビリー、得体の知れないB級品に手を出さない方が良いぞ。やけに安いお店でゴハンを食べたら、お腹を壊しちゃうのと一緒だ!」
「……ん?」
「どうかしたか、アンビー?」
「建物に入ってから、ずっと視線を感じる……」
「あ、俺も俺も! なんか入った瞬間からゾワッと来たんだよな……足元をしょっちゅう、何かがすり抜けてくような──」
「おわぁっ!?」
「!?」
急に大きな声をあげるファイズ。
「ど、どうしたんだ!?」
「な、何か足元にゾワッとした感覚が……!!」
「あ……ご、ゴメン。それあたしのしっぽ……」
謎の感覚の正体は、猫又のしっぽがファイズの足に当たったからだった。
「な、何だよ。脅かすなよ……」
「待って、近くに何かいる……!!」
「え!?」
再び警戒態勢に入るファイズ。すると、至近でエーテリアスの鳴き声がした。
「幽霊か……今度こそ幽霊か!!」
「……違う、恐らくエーテリアス」
「なんだエーテリアスか」
「急に落ち着くじゃん」
タクミにとって、エーテリアスというのは幽霊と違って倒せるので怖くはない。という事でひとまずは群れを殲滅する事にした。
[1・0・6][Burst Mode]
「フッ! ハァッ!!」
ファイズはフォンブラスターを構えながら、エーテリアスに対し接近戦を持ちかける。
コアに向かって3点バースト射撃を繰り出しつつ、殴っては蹴り、殴っては蹴りを繰り返す。
そしてダウンしたエーテリアス相手にも容赦をせずに追撃の蹴りをかます。サッカーボールのように蹴飛ばされたエーテリアスはやがて消滅した。
「よーし、こっちは片付いたぞ」
「……ファイズ、なんかいつにも増して戦い方が荒くなかった?」
「え?そうか?」
確かに「さっきはよくも脅かしやがって」、という恨みがこもって無くはない気もする。
「……今の所上級エーテリアスにも出くわしてないし、早いとこ──」
ファイズがそう言いかけた瞬間だった。
ブォオンッ!!
「!!」
「ファイズっ!!」
ファイズ目掛けて、何かが目にも止まらぬ速さで飛来してきた。
「……何だよ、いきなり」
「……嘘、マジで?」
ファイズはすんでのところで飛来してきたそれを掴んで止めた。
そして微かにだが、飛んできた方向から女性の声が聞こえた。
「ファイズ、大丈夫!?」
「俺は大丈夫だけど、今の状況が大丈夫じゃねぇな」
ファイズは掴んで止めた物体──大狹を右手に持ちながら声を張り上げる。
「おい、そこにいんのは誰だ! 出て来い!!」
するとロビーからコツ……コツ……と、足音が聞こえる。ファイズ達は警戒心をあらわにする。
そして暗闇の中から現れたのは──狼のシリオン。
「……お見事です、ファイズ様」
「……!」
「お初にお目にかかります。まさか、かのパエトーン専属であるはずの貴方様に、このような場所でお会いする事になるとは」
狼のシリオンは襟を正しながら、ファイズ達に告げる。
「ここは私有地でして……来客はお断りしております。三十秒でご要件をどうぞ……それ次第では──」
「ひゃあ!!」
言葉を遮るように、奥から少女の悲鳴が聞こえる。その直後、円形の刃が狼シリオンの足元を通り、やがてファイズ達の近くへ転がり落ちた。
「……?」
「……して、皆様。ここは立ち入り禁止につき即刻──」
「あわわ……!」
今度は先程の少女の声とともに何かの駆動音が狼シリオンの声を遮る。
「──言ったはずです。武器の手入れと床磨きは日々欠かさず……と」
「す……すみません、ライカンさん……!」
「ん……? カリンちゃん……?」
声の主はかつてデッドエンドホロウで出会ったメイド少女、カリンだった。