悠真配布やばい、神すぎる
タクミはイアスと一緒に、バレエツインズのホロウの入り口に到着した。
そこには既に、ヴィクトリア家政の四人がいた。
「悪い、待ったか?」
「滅相もございません。それでは早速、棟内へと向かいましょう」
バレエツインズのA棟内に入った一行はレイン捜索のために、作戦を立てる事にした。
「プロキシ様、ご友人がB棟の屋上に留まっていた可能性があるのなら、まずはそこを目指すのはいかがでしょう」
「おっけー。面倒をかけちゃうかもだけど、よろしくね、ライカンさん!」
「とんでもございません、大切なお客様なのですから。貴方様の願いが私共の使命です」
「ガイド様、バレエツインズの見取り図をご確認くださいまし」
そう言ってリナはプロキシに一枚の紙を手渡す。
そこにはバレエツインズのビルの大まかな構造と、目的地までのルートが分かりやすく描かれていた。
「ご覧の通り、お客様と私達の現在地はA棟の入口ですわ。こちらのキャロットを見る限りは、B棟までアトリウムの長い渡り廊下をゆく必要がありますわね」
「肯定。エージェントが提示した情報は確かなものです。そこを目標地点とする事をおすすめします」
「案内は私に任せて! それじゃ出発!」
一行がアトリウムへと向かおうとしたその瞬間、ぼんやりと光っていた照明がチカ、チカ、と点滅し始めた。
「……? 明かりがチカチカしてる……古いからかな」
「……だといいけどな」
照明が点滅するのは何かが『いる』お約束の展開。
ヴィクトリア家政がいるとは言え、ファイズは不安を拭いきれないままだった。
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A棟の中心部にて。
ファイズ達は立ちはだかるエーテリアスと交戦していた。
「ハァッ!!」
最後のエーテリアスを倒し、ファイズは何度かのため息を吐く。
「……二度目だけどやっぱ慣れねぇな……ずっと薄気味悪いぞここ」
「……そうですか? エーテリアスと戦ってる時は、イキイキとされていらっしゃいましたけど……」
「あー……いつ出るかも分からねぇ幽霊に警戒するよりエーテリアスと戦ってる方が安心するっつーか」
「……エーテリアスの方が幽霊より怖くないってこと?」
「こ、怖いとは言ってねぇだろ……まあでも、そんな感じだ。馬鹿正直に襲ってくれた方が対処しやすい」
そんなことを話していると、周りの照明が再びチカチカと点滅しだした。
「……また明かりが点滅しだした。気のせいじゃないよな? ここに来るまでも、何度か同じ事があったけれど」
「そ……そうでしたか? あはは……」
「……確かに何度もあったね。やっぱあの噂、ホントだったり」
「へ? 噂って、どんな?」
「エ……エレンさん!」
慌ててカリンが止める。何か知られてはいけない理由があるのだろうか。
「あ……これ言っちゃダメなヤツ? ボスがブリーフィングでよこしたヤツ、長すぎて読んでないから」
「ちょ……ちょっと待てエレン、噂ってなんだ。照明の点滅と、何の関係があるんだよ」
「ファイズ様、それについては私から説明させてくださいまし」
リナ曰く、このバレエツインズには心霊現象が度々起こるらしい。
かつてバレエツインズがホロウに呑み込まれた際、有名な舞踏家の姉妹が命を落としてしまった。
そしてそれ以来、姉妹の怨霊はバレエツインズの主となったのだ。
「……つまり明かりが点滅してる原因は」
「ええ。その姉妹の怨霊の仕業かもしれない、という噂ですわ。なんでも不届き者が足を踏み入れた際に、立ち去るよう警告するため……なのだとか」
それでも出て行こうとしない輩に対しては、停電を起こし、その隙にその者の命を刈り取るのだそう。
このような心霊現象が起こるビルが『事故物件』扱いされるのを恐れたオーナーは、ヴィクトリア家政に真相を究明するよう命じたのだった。
「……それが、バレエツインズに来た本当の目的だったんだね」
「当初は私共もこの噂を与太話の類であると思っておりました……ですが、先程の状況を鑑みるに、停電に関しては本当なのかもしれません。これは、新たなリスクになり得ます」
「リスク?」
「ええ。B棟へ通じるアトリウムへの入口には防火シャッターが設けられており、停電によって自動で閉じられる仕組みとなっているのです」
「……なら、シャッターが閉まる前に急ぐしかないね」
こうしてはいられないと、一行はアトリウムの入口へと急いだ。
「あいつは……まさか」
「……間違いない、あの風貌──ファイズだな。やはり奴ら、小娘を救出しに来たのか」
「……何故ここが分かったのでしょうか」
「十中八九あの小娘が、救難信号か何かを送ったのだろう。先程、雇い主から連絡があった。あいつがどれだけ外部に情報を漏らしたのか、突き止めなければならん」
「侵入した連中はどうしますか?」
「なるべくこちらに近づかせないようにしろ──そうだな……このビルを彷徨う、例のエーテリアスを奴らにけしかけるのも良いかもしれん。『アレ』を利用してな」