「なるほど……エーテリアスがタクミを……それに、正体不明の戦闘員の姿が……」
Random Playにイアスを連れて帰宅したリン。その顔には焦りが見えていた。
「タクミはまだホロウの中にいる。しかも一人で……早く助けないと──!」
「リン、落ち着いて」
アキラは慌てるリンを諌める。
その顔はリンと同様焦りが見えていた。しかし、こういう時にこそ慌ててはいけないと、アキラは分かっている。
「何の作戦もなしにタクミとレインの二人を助けることは出来ない。ヴィクトリア家政の人達の助力なしでは尚更だ」
「……!」
「レインの件は想像以上に複雑だ。ただの人探しとしか告げていない以上、ヴィクトリア家政は僕達の事を不審に思っているかもしれない」
彼らの信用を損ない、引き続き協力を得られる事が出来なければ、二人の救出は絶望的となる。
「まずはヴィクトリア家政の人達に、事情を説明しなきゃいけない。あんなことが起きたんだ、なにか隠してると思われても仕方ない」
「……うん、そうだよね。分かった、それじゃライカンさん達の所へ行って、事情を説明してくるね」
「ああ。必ずタクミとレインを救出しよう」
リンは早速準備をし、出かけて行った。
「……タクミ。無事でいてくれよ」
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「オレのそばに近寄るなああーッ!!」
バレエツインズ前の広場に辿り着くや否や、非常にアイコニックな叫び声がリンの耳に入ってきた。
何事かと下へ降りてみれば、声の主であろう一人の男が悲痛な声で命乞いをしていた。
この男は先程エレンによって気絶させられた兵士だ。
そしてその相手はリナ。何をしていたのか、リナはその顔に恐ろしい笑みを浮かべていた。
「うふふ……お客様、ようやくお心を決めて頂けたのですわね。リナはとっても嬉しゅうございますわ」
「えっと……ここで何があったの?」
「あらガイド様。どうかお気になさらず。こちらのお客様が、こっそりとお帰りになろうとされていたものですから……『丁重に』お引き留めしただけですわ」
「兵士様。反乱軍のメンバーである以上は、治安局に引き渡された末にどんな結末が待ち受けているか、よくご存知のはずです」
ライカンは厳かな目で兵士を見つめる。
「あなた方がバレエツインズに入れ込んでらっしゃる理由を明確にご説明頂ければ、私共としても寛大な対応を検討したく存じます」
「う……その、うちの部隊のスポンサーから依頼があったんだ。バレエツインズの屋上で、とある事をやれって」
「……申し訳ありません。もう少し、具体的な内容を伺えますでしょうか」
「お、俺はただの下っ端なんだ。依頼の詳しい所までは知らない!」
この兵士はどうやら、バレエツインズへの侵入者を遠ざけるよう、警備を任されていただけらしい。
最初は明かりを点滅させるなどして侵入者を遠ざけるという算段だった。
しかしその侵入者にファイズの姿が見えた事から、部隊のリーダーは彼らが只者ではなく、レインを助けに来たのだろうと判断。
リュックを使ってエーテリアスを扇動させ、一行を撃退しようとしていたのだった。
「待って」
兵士の話を聞いている途中にリンがストップをかける。
「あんた達が……あのエーテリアスをけしかけたって事……?」
リンは拳を強く握りながら、兵士にそう問いかける。その声色からは明確な怒りが滲み出ていた。
間接的にではあるが、反乱軍により自分の弟が命を危険に晒す羽目になったのだ。リンの怒りは至極当然と言える。
しかし──
「ガイド様」
『怒り』では、今の状況は何も解決はしない。
「貴方様のお気持ちは十分に理解できますわ。しかし、ここはどうか落ち着いてくださいまし」
「あ……ご、ごめん」
「謝ることはありません。彼らを助けたいという意思は私たちも同じですわ」
「……ありがとう、リナさん」
「……して、兵士様。先程の貴方様の発言から『レイン』というお名前が聞こえました。彼女に一体、何をしたのですか」
「あのこむ──お、お嬢さんなら隊長とB棟の屋上にいる。当分は命の危険もない!」
やはり、反乱軍がレインを誘拐したようだ。
「……リナ。引き続き彼から詳細を。そしてプロキシ様……少し、お時間を頂いても?」
「……うん」
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「……ぐ、っ」
薄い暗闇の中、ファイズは目覚める。
「……あの、野郎……」
謎のエーテリアスから奇襲を受け、その拍子にエーテルの裂け目へと呑み込まれてしまった。
ここは恐らくバレエツインズの屋内なのだろうが……どの辺りにいるのかは見当もつかない。
ファイズを襲ったエーテリアスは……今はいないようだ。
「あ……あの」
「?」
すると声が聞こえた。自分以外にも誰かいるのかと辺りを見渡すと──
「えっと……貴方、ファイズだよね?」
「──え?」
写真で見たピンク色の髪。黒いパーカー。
今回の捜索対象であるレインが、目の前にいた。