「……なるほど。事情は概ね把握いたしました」
ライカンはリンからハッカー『レイン』についての情報を聞いた。
このままレインについて知らないままだと次の作戦に悪影響を及ぼす恐れがあるからだ。
治安局に頼る……という手もあるが、その場合『たかが私財を守る為だけに治安局に頼る情けない人間』という噂が流れ、新エリー都でも有数の金持ちであるオーナーの顔に泥を塗る事になってしまう。
ヴィクトリア家政としても、それを許容する事は出来ないだろう。
「彼女がハッカーなのであれば、誘拐はその能力に目をつけたものである可能性がありますね。バレエツインズの屋上は、何かを発信するのにうってつけですから」
それと、レインはタクミよりも危険な状況下に置かれている可能性が高い。
ファイズに変身しているタクミならまだ比較的危険度は低いだろう。しかし反乱軍に捕らわれているであろうレインはそうもいかない。
よって、まずはレインの方を先に救出する事にした。
「それでは行きましょう。タクミ様が例のエーテリアスと交戦中である可能性を踏まえれば、あまり悠長にもしていられません」
「うん、分かってる。出来るだけ早くレインを助けよう」
「私は来たる救出のために準備をいたします。後ほどご連絡を差し上げますので、少しの間お待ちください」
次なる作戦を開始すべく、一行は解散した。
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「──そうか、お前も裂け目に飲み込まれて……」
一方その頃、ファイズはホロウ内で偶然出くわしたレインに事情を聞いていた。
話によれば、突如レインの足元にエーテルの裂け目が出現。
レインはそこに落ちてしまい、落ちた先で途方に暮れていた所、ファイズが別の裂け目から同じ場所に落ちてきたというわけだ。
完全に偶然の出来事だが、救助対象であるレインの無事を確認出来たのは大きい。しかし……
「プロキシもいないんじゃどうにもならねぇな……」
「貴方は……ファイズはどうしてバレエツインズに来たの?」
「……俺はニコの知り合いで、お前を探しにここに来たんだ。つっても、今の状況じゃここを脱出するのはちょっと厳しいかもな……キャロットもねぇし」
「! それなら──」
レインはパーカーのポケットから小さいものを取り出し、ファイズに手渡した。
それはホロウ内の地図のデータが入っているチップ、キャロットだった。
「さっきここで拾ったものなんだけど……」
「コイツはラッキーだな……これがあればなんとかなりそうだ」
「なんとかって……ボンプもいないのに、どうやって?」
「まあ見てろ」
ファイズはフォンをバックルから取り外し、側面についているスロットにチップを挿入した。
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システム音声が鳴ってしばらくした後、ファイズフォンの液晶画面に地図が表示された。
「……すごい。これなら……!」
「ただ、一つ懸念点がある」
「懸念点?」
懸念点──それは、このキャロットのデータが古いものかもしれない、という事だ。
拾い物のキャロットと言うのなら尚更その可能性が高い。
故にホロウを確実に脱出できるという保証はない。しかし、背に腹は変えられない。
ここで留まっていても、結末はエーテルに侵蝕されるかエーテリアスの餌にされるかのどちらかしかないのだ。
ひとまずはレインをRandom Playまで連れて行く事にした。
「レイン、俺についてこい。ホロウを脱出してある場所まで行くから、そこで色々話を──」
「……! 待って!」
立ち上がろうとした所で、レインに止められる。
「そんな事をしてる時間は無い……! 今すぐ屋上まで向かって!」
「え? なんでだよ」
「それは──」
レインは自身が失踪した原因と経緯について話した。
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同時刻。
プロキシはライカン達とともに再びバレエツインズの屋内へと入った。
「プロキシ様。先程私とリナでビルの出入り口を幾つか偵察してまいりました。反乱軍達は未だ警戒を続けており、立ち去る気配はありません」
「あいつら、まだ任務が終わってないから撤退出来ないみたいだね」
「まさに。ですが、周辺を警備していた隊員と連絡が取れなくなった事で、向こうも警戒を強めているに違いありません」
反乱軍との正面衝突は避けられないだろう。
できるだけ短時間で部隊の防衛ラインを突破しなければならない。
「マスター。良い知らせをお伝えします。たった今、ビルを呑み込んでいるホロウのデータ分析が完了いたしました。ビル内の熱源をリアルタイムで感知できます」
「やっとバレエツインズの中が完璧に見えるね!良かった!」
「皆、プロキシ様をお守りください。出発です!」
良い子の諸君!
ファイズフォンにはホロウのデータが入ったチップを読み込む事で液晶画面にホロウの地図が表示されるという機能がある!
勿論原作には存在しない機能だ! 勝手に捏造したぞ!
ご都合主義の塊みたいな設定だな!