ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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誤字報告本当にありがとう……!


信条

 

 

 

 

 

クリティホロウのとある場所にて。

 

 

「……ファイズ。体は大丈夫なの?」

 

「え?どうしたよ、急に」

 

「ホロウに入ってからかなりの時間が経過している。私たちはまだ大丈夫だけど、貴方がどうなのかが気になって」

 

「問題ねーよ、確かに生身ならちょっと危なかったけど、ファイズのスーツは侵蝕にも強い。まだしばらくは大丈夫だ」

 

「……そう。なら良かった」

 

 

安堵するアンビー。しかしその表情は暗い。

 

 

「……?まだ何か?」

 

「……貴方とはこうして私たちと一緒に闘ってくれてる。だけど、ここまで危険を冒してまで闘うメリットはない。今起こっているようなアクシデントが起きるリスクだってある」

 

「……パエトーンは『どんな事があっても、依頼を受けた以上は最後までこなす。』って言ってたぜ」

 

「……プロキシ先生はそうかもしれない。でも、貴方は?」

 

「!」

 

「仮に依頼を達成したとしても、貴方が得をするわけじゃない。むしろホロウに入って闘う分、侵蝕や怪我を負うリスクの方が高いわ」

 

 

アンビーの言う事はもっともだ。

 

仮にファイズが途中で協力を拒否したとしても誰も責めはしないだろう。

 

プロキシの方も、もしホロウにいるのが邪兎屋の三人だけなら、見捨てることだってできたはずだ。

 

 

「……アンビー」

 

「ここまで一緒に闘ってくれた貴方にこんな事を聞くのは失礼だって分かっているわ……でもここまでして私たちに協力してくれるのはどうして?」

 

「……もし自分の大切な人がピンチだった時、お前ならどうするんだ」

 

「……助ける」

 

「俺もお前と同じだ」

 

「同じ?」

 

「ああそうだ……これでも俺はお前らのことを気心知れた友達、ぐらいには思ってるんだ。そんな友達がホロウで死ぬのは俺は嫌だ」

 

「……!」

 

 

感極まったビリーがファイズに抱きつく。

 

 

「うぅ……!!お前、俺たちのことそんな風に思ってたなんてなぁ……!」

 

「おい、暑苦しいぞ離れろって──ああでも、ビリーが友人っつーのはどうかなぁ……さっき調査員にプロキシ突き出そうとしてたしなぁ」

 

「うっ……そ、それは……」

 

 

ファイズはわざと意地悪に振る舞う。

 

 

「いやぁ、別にそれ自体が悪い事とは思ってねーけど?でもそんな奴を友人認定すんのはなぁ〜」

 

「わ、悪かったって!あん時は俺も切羽詰まってたんだよ……」

 

「ははっ、冗談だぜビリー──まあ、そんな訳だアンビー。メリットだとかデメリットだとかそんなのは関係なしに、友達の事は助けるってのが俺のポリシーって奴だからな」

 

「……そう、なのね。……うん……分かった。ありがとう、ファイズ」

 

 

アンビーは微かに笑った。

 

すると突然。

 

 

「──よし!再接続完了!」

 

ボンプの方から聞きなれた声がした。

 

 

「その声、店長か!?ようやく戻ったんだな!」

 

「プロキシ。もう大丈夫なのか?」

 

「うん。ちょっと色々あって接続が出来ない状態だったけど、もう大丈夫だよ!」

 

「無事で何よりだわ、プロキシ先生」

 

「……あれ?ニコはどこにいるの?」

 

「ニコの親分ならあそこだぜ」

 

 

ビリーが指さす方向に、ニコはいた。しかし何やら落ち込んだ様子だった。

 

 

「ニコ、どうしたの?なんか随分元気がなさそうだけど……まあ、さっきの一部始終は見てたから何となく原因は分かるけど」

 

「うっ……み、見てたのかよ店長……」

 

「……任せて。私にいい考えがある」

 

「どうすんだ、アンビー?」

 

「こうするの……がぶ」

 

 

ビリーの手を取ったと思ったら、突然がぶりと噛み付いた。

 

 

「……え?」

 

「ちょ、アンビー?」

 

 

あまりに突発的すぎるアンビーの行動に戸惑いを隠せないビリーたち。

 

 

「ガゥウウ。ホロウに侵蝕されて化け物になった……ガジガジ」

 

「……おいアンビー、手ぇ噛むのはやめろ……つーか歯は大丈夫なのかよ!?」

 

 

手を噛まれたビリーは呆れながら、もう片方の手でエーテリアスのモノマネをしているアンビーを制す。

 

 

「……ごめんなさい、ニコを笑わせようと思って。私はこういう事には向いていないと再確認した」

 

「でも確かに、随分長くホロウの中にいるよな、俺たち。エーテル適応体質だって言っても、化け物になるスピードが遅いだけで……」

 

「……はぁ、あたしらしくない事をしたわ……」

 

「……ニコ?」

 

 

ニコは何かをつぶやいている。プロキシが近くに寄る。

 

 

「金銭至上主義の邪兎屋……自分の事以外はどうでもいいのがあたしの信条だっていうのに……」

 

「……ニコは自分が思うほど、銭ゲバじゃないって事だよ」

 

「はは……別に褒めてくれなくてもいいわよ。ストリートで育った人間の本質はあたしが一番よく知って──え?」

 

「やっと気づいたね、ニコ」

 

 

ホロウ内にニコの悲鳴が響き渡る。

 

ちなみにその時エーテリアスを警戒するために聴覚感度を上げていたファイズは、悲鳴により思わぬとばっちりを食らっていたのだった。

 

 

「……ニコ、もう少し嬉しそうにしてくれても良いんじゃない?」

 

「プロキシ!?ホントにあんた達なの!?」

 

「お待たせ。実はさっきからいたんだけどね。アンビー達が騒いでたのに、ニコは感傷に浸ってて気づかなかったみたいだね」

 

 

アキラの声も聞こえてきた。

 

 

「……ってことは、全部聞かれて……うぅぅ……」

 

 

恥ずかしさのあまり手で顔を覆うニコ。

 

 

「長い付き合いなんだし、恥ずかしいとか、情けないとか思う必要はないよ」

 

「はっ、恥ずかしいだなんて思ってないわ!無駄話はいいから!金庫奪還作戦、続行するわよ!」

 

 

元気を取り戻したニコは勢いよく立ち上がり、そう言った。

 

 

 

 

 

「……おいファイズ、大丈夫か?」

 

「ま、まだ耳鳴りが……」

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

クリティホロウ、廃棄された地下鉄の深部。

 

目的地に向かう途中、プロキシは接続が切れた時のことを四人に話した。

 

 

「──なるほど、連絡が途絶えたのは、店長の設備が謎のハッカーに乗っ取られたのが原因だったんだな」

 

「ニコが依頼料をケチったことを怒ってた訳じゃないんだ」

 

「待って、ケチったって事は……ホントはもっと払えたって事?」

 

「アンビー!余計な事を言わないで!」

 

 

再接続する前にH.D.D虚弱性診断を行った結果、そのハッカーは例のメモリディスクを介し、システムをハッキングした可能性が高い、との事だった。

 

 

「──それじゃ、赤牙組の連中も誰かに依頼されて、金庫を奪ったってことになるわね……」

 

「俺たちと一緒だな!」

 

「……プロキシ先生の介入が無かったら、私たちが正体不明の黒幕と対峙することになっていたはず」

 

「やっぱ店長は頼りになるぜ!まるでスターライトナイトのサポートをするプラネット博士みてぇだな!」

 

「お褒めに預かり光栄だよ、ビリー」

 

「……なあビリー、俺はどう見える?」

 

「ファイズか?うーんそうだなぁ……あ、スターライトナイトの相棒犬、メテオマットとかピッタリだぜ!」

 

「誰が犬だって????」

 

「うぉおお!?ご、誤解だって!メテオマットはホントに良いキャラで、別に貶してるわけじゃ……!」

 

 

いきなり犬呼ばわりされたファイズはビリーに掴みかかる。その光景をよそに、ニコはぼやく。

 

 

「はぁ……あの時は多額の報酬に目が眩んだけど、結局今回もろくな仕事じゃなかったわね。もう二度と情報屋の口車には乗らないんだから!」

 

「……ニコ、ホロウ内の探索を急ぐ必要がある。私たちの滞在時間がエーテル適応体質の限界に迫ってる」

 

 

アンビーはニコに警告する。

 

 

「侵蝕の影響で戦闘力が下がったりしたら、金庫の探索中に起こり得るアクシデントに対応出来なくなる」

 

 

彼女の言う『アクシデント』というのは、上級エーテリアス、デュラハンに出くわす事だ。

 

おそらく今もホロウの中でアンビー達を探していることだろう。

 

 

「急いでターゲットを追うわよ!プロキシ、引き続きガイドをお願い!」





プラネット博士なるものは自分で適当に作りました
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