ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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1-4章:ツール・ド・インフェルノ
郊外へ


 

 

 

 

 

 

「あれ、タクミ? 何調べてるの?」

 

「姉ちゃんか」

 

 

リンが部屋に入ると、タクミはゲーム──ではなく、パソコンで調べ物をしていた。

 

 

「姉ちゃんはさ……このホロウレイダー知ってる?」

 

「え?」

 

 

タクミはパソコンの画面を見せる。そこに映っていた写真には、全身スーツの人間の姿があった。

 

リンは写真の姿にピンとは来なかったが……

 

 

「……このホロウレイダー、よくは知らないけど……なんか──」

 

「ファイズに似てる、か?」

 

「! うん、そう!」

 

 

黒いボディに明度の高い白の線。頭部にはオレンジ色の複眼。

 

そして何より目に付くのは──

 

 

「このホロウレイダーは、ベルトを装着してるって事だ」

 

「あ、ホントだ……!」

 

「外見は色々違うけど、比べてみたらコイツとファイズはかなりの共通点がある。バレエツインズで会った金色の奴も、ベルトを着けてたしな」

 

 

装着しているベルトを使用して、この姿に変身しているとすれば、ファイズと同類という事になる。

 

調べたところによると、奇妙な事にこのホロウレイダーは主に人命救助などをやっており、エーテル資源の違法採掘など、普通のホロウレイダーがするような事はやっていないという。

 

このような事をしているのに、何故ホロウ調査員ではなくホロウレイダーの道を選んだのかは定かではない。

 

さらに、そのホロウレイダーは名前を聞かれた際に──

 

 

「『デルタ』って名乗ってたらしい」

 

「デルタ……」

 

「……こいつに会えば、もしかしたらスマートブレインってのが何なのかが分かるかもしれない。まぁ、一週間ぐらい前に出没し始めたから、今どこにいるのかは全く分からないけどな」

 

 

タクミはノートパソコンの電源を消し、閉じる。

 

 

「……んで? 姉ちゃんはなんの用で来たんだ?」

 

「あ、そうそう! タクミ、ビリーと一緒に郊外に行かない?」

 

「……こう、がい?」

 

 

リンの唐突すぎる提案に、タクミは面食らう。

 

 

「あれ? 郊外知らない?」

 

「いや知ってる。知ってるけどさ……そんな『GOD FINGER行こうぜ』みたいなノリで行ける場所じゃねぇだろあそこは。そもそもなんで行く事になった」

 

「うん、実はね……郊外にいる走り屋の人達が、パールマンのについての情報を持ってるって言うの」

 

「……!」

 

「その人達は『カリュドーンの子』って言うんだけどね、パールマンの情報を提供する代わりに、直接会って協力の話し合いに応じて欲しいんだって」

 

「……それ行って大丈夫なやつなのか? なんか怪しくねぇか……?」

 

「それなら大丈夫だよ。聞くまで私も知らなかったんだけど、ビリーが昔郊外にいたらしくて、走り屋の人達とも知り合いなんだって」

 

「……なるほど、ビリーが」

 

 

ビリーのジャケットの後ろには何やら派手な絵が描かれていたが、あれも郊外にいた頃の名残なのだろうか。

 

 

「……分かった、行こう。いつ出発するんだ?」

 

「明日の朝だよ。寝坊しないようにね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

「やべぇ寝坊した!!」

 

 

朝、姉から『もう先に行ってるからね』というDMの内容を見て飛び起きたタクミ。

 

リンに抗議の電話をする。

 

 

「姉ちゃんなんで起こしてくんなかったんだよ!」

 

『何回も起こしたでしょ? それなのにアンタ、ぜーんぜん起きなかったんだもん』

 

「ぐ……」

 

『ハハハッ! まぁでも、俺達も出発したのはそんなに前じゃねぇ。先にブレイズウッドで待ってるぜ、タクミ!』

 

 

通話が終わるや否や、タクミは支度をしてオートバジンに乗り、出発した。

 

そして現在、郊外の道路を爆走中である。バイク用ナビを頼りに、目的地を目指す。

 

 

「ンナナー!(はやーい!)」

 

「しっかり掴まっとけよイアス」

 

 

……何故イアスが同乗しているのか。それはイアスが『自分も郊外に行きたい』と言い出したからである。故に同乗させている、というわけだ。

 

ガードレール越しには、調査が進んでいないのか、大きめのホロウがあちらこちらに点在していた。

 

新エリー都では見られないであろう、郊外の景色を楽しんでいると、アキラから電話がかかって来る。

 

タクミはインカムで通話をする。

 

 

「もしもし?」

 

『タクミ、無事か!?』

 

「? どうしたんだ」

 

『大変だ……今さっき、リンとビリーがホロウへ落ちた!』

 

「は!?」

 

 

思わずバイクを止める。

 

 

『今二人が落ちたホロウの位置情報を送る。悪いけど、そこの付近まで行ってくれないか?』

 

「わ、分かった」

 

 

タクミはオートバジンを走らせ、リンとビリーが落ちたというホロウの上までやって来た。

 

そこではガードレールが大きく破損していた。恐らく何かの拍子にガードレールを突き破り、二人はトラックごとホロウへ落ちてしまったのだろう。

 

 

『今、イアスと一緒にいるよね?』

 

「ああ、いるよ」

 

『よし。今から下のホロウへ突入するから、準備を頼む』

 

「分かった」

 

 

タクミは周りに誰も居ないことを確認し、ベルトを装着する。

 

 

[5・5・5][Standing by…]

 

「変身!」

 

[Complete]

 

 

タクミはファイズへ変身し、オートバジンに再び乗る。

 

同時にアキラもイアスへの感覚同期を完了させた。

 

 

「ファイズ、今からホロウへ突入するよ。準備は良いかい?」

 

「ああ、勿論だ──行くぜ!」

 

 

ファイズはイアスを抱え、バイクを走らせる。そして崖から飛び出し、そのまま真下にあるホロウへと落ちて行った。

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