「店長! もうちょいだ!」
「はぁ、はぁ……っ!」
一方その頃、ビリーとリンはホロウの中でエーテリアスに追われていた。
ホロウにあるデータスタンドを使い、脱出ルートを組み立てていたのだが……その途中で上級エーテリアスに遭遇した。
急いで車へと向かう二人。
「私もう、限界……かも……!」
ビリーと違い、体力切れを起こしかけているリンは今にもエーテリアスに追いつかれそうになっていた。
そして──
「うわぁっ!」
「うおっ!?」
エーテリアスの起こした衝撃波により吹き飛ばされる二人。
エーテリアスが目の前の餌に喰らいつこうとする。その時だった。
「ハァッ!」
太陽を遮るように、エーテリアスの頭上に一台のバイクが飛び出した。
そのバイクは前輪と後輪を使い、エーテリアスを思い切り踏みつけた。
そして、リンとビリーの前でバイクを止める。バイクに乗っていたのは、何やら派手な服装をした女性だった。
「おお! アネゴ!!」
「久しいな、ビリの字──で、コイツが伝説のプロキシか!」
そんな話をしていると、先程のエーテリアスが起き上がる。
踏みつけられた事に怒ったのか、先程よりも大きな咆哮を上げる。
ビリーが落ちた銃を拾おうとすると、その傍を一つの人影が飛び出す。
「フッ!!」
サングラスと赤いマフラーが特徴的なその男は、炎をまとった右拳での一撃をエーテリアスへと繰り出した。
エーテリアスは呆気なく吹っ飛ばされ、消滅した。
「……パイセン、なまったっすね」
「……フン!」
ビリーに向けて、挑発的な笑みを浮かべる男。彼と『アネゴ』なる人物はビリーと知り合いのようだった。
「ビリの字、ギリギリだったな! オレ様があと数秒遅かったらお前……エーテリアスに食いちぎられてたぜ?」
「心配いらねぇよアネゴ、なんせ俺は──」
グォォォオオオ!!!
「!!」
会話を遮るように、エーテリアスの咆哮がこだまする。
声がした方を見ると、エーテリアスの大群が猛スピードで押し寄せてきた。
「っ、また……!」
「まだいやがったとはな……!」
三人は戦闘態勢に入る。
すると、突然エーテリアス達の上に無数の赤い円錐状の物体が現れる。
「!? なんだありゃ……!」
「おおおお! あれはまさか!!」
「ハァァァァアッ!!」
刹那、複数のエーテリアス達に向けて無数の『クリムゾンスマッシュ』が叩き込まれる。
瞬く間に、群れは消滅した。
[Three, Two, One]
キックの余波により、辺りに砂埃が舞う。そこから見えるのは──赤く光る複眼。
[Time Out][Reformation]
「──二人とも! 無事か!」
「ファイズ!」
アクセルフォームから通常形態へ戻ったファイズは、リンの元へ駆け寄る。
「おお! アンタもしかして、あのファイズか!?」
「……アンタらは?」
「大丈夫だぜ、ファイズ。この二人は俺の古い知り合いなんだ!」
「ああ、オレ様はシーザー。『カリュドーンの子』の首領だ! んで、こっちはライト!」
「……よろしく」
「……そういえば、ファイズはどうやってここに来たの? キャロットも無いのに……」
「あ、それ俺も気になってたんだよな。アネゴ達の方も、なんでここに?」
「それについては僕が説明するよ」
どこからかともなく、スカーフを巻いたボンプが現れた。中にはアキラが入っている。
「お兄ちゃん!」
「ファイズは僕が連れてきたんだ。それと彼女達についてだけど……念の為に連絡を入れておいたんだ。救助ルート等を説明してね」
「……喋る、ボンプ? さっきの救助ルートの正確さと言い、これが伝説のプロキシがなせる技術って奴なのか!」
そんな事を話していると、ファイズはリンの様子がおかしいことに気づく。
「……姉ちゃん? どうしたんだ?」
「……ごめん。もう、無理……」
「っ、リン!? しっかりするんだ!!」
先程全力で走ったのと、ホロウに長時間いた事による影響で、リンの身体は限界を迎えていた。
ファイズにもたれかかるように倒れ、彼女の意識は闇に落ちた。
「店長! まずいぜ、急いでホロウから出さねぇと……!」
「皆、急いでここを出よう! 僕について来てくれ! シーザー、早速ですまないが、リンを頼む!」
「おう、任せろ!」
一行はホロウから脱出した後、郊外の街──ブレイズウッドへと急行した。