ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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悠真、扱いがむずいなぁ……


カリュドーンの子

 

 

 

 

 

 

「──ああ。分かった、姉ちゃんの事は任せてくれ…………うん、それじゃ」

 

「……お話は終わりましたの?」

 

「おう」

 

 

アキラとの通話を終え、スマホをしまうタクミ。

 

 

「あんた達のおかげで姉ちゃんを助けられた。どうもありがとう」

 

「……礼には及びません事よ。『パエトーン』に居なくなられてはこちらが困りますもの」

 

 

ホロウを脱出し、郊外の街ブレイズウッドへと着いたタクミ達。

 

タクミは『カリュドーンの子』のサブリーダーであるルーシーと会話をしていた。

 

 

「それにしても、ファイズの正体がまさか年端もいかない子供だとは思いもしませんでしたわ。それに、パエトーンと血が繋がっていた事も」

 

「まぁ、血縁関係の情報から足がつく事もあるからな。そういう情報ってのは明かさない方が良い」

 

 

ファイズの正体がパエトーンの弟だという事は一般的には知られていない。

 

伝説のプロキシが雇う凄腕のエージェント……世間からはこう認識されている。

 

また、ファイズの正体についてはインターノット上で色々な噂が立っている。

 

機械人説、エーテリアス説、ただのクソ強いコスプレイヤー説、宇宙人説、『スタナイ』のパロディヒーロー説……などがある。

 

 

「タクミさん。郊外に初めて来たのなら、知らない事も多いでしょう。何か聞きたい事があれば言ってくださいな。答えられる範囲でお答えしますわ」

 

「そうか? じゃあひとつ聞きたいんだけどさ──あの儀式みたいなのは、郊外じゃ伝統なのか?」

 

「……儀式?」

 

 

タクミが指差した方を見る。そこでは『カリュドーンの子』のメンバー達がソファで横になっているリンを囲って何かをしていた。

 

『弔う』だとか、『霊柩車』だとか、『骨になるまで』だとか……非常に不穏なワードばかり聞こえる。

 

一応補足しておくがリンは生きている。

 

 

「──あんのおバカ……っ!!」

 

 

その光景を見たルーシーは血相を変え、彼女達の元へ全速力で走る。

 

 

「うおっ! ルーシー!?」

 

「茶番は、終わり……っ、ですわ!!」

 

 

そして手に持った改造バットで、シーザーに思い切り殴りかかる。しかしシーザーはそれを持っていた盾で軽々と防いだ。

 

 

「……っと、怒んなよ。『荼毘に付す』ってやつをやってみたかったんだ」

 

「だからって客人で遊ぶんじゃありませんわ! バーニス、それしまいなさい!!」

 

「え〜!?」

 

「……っ、あーもう!! アホまみれですわ!!」

 

 

ルーシーの叫びが響き渡る。それと同時に、リンが目を覚ました。

 

 

「……! 姉ちゃん!」

 

「……タクミ?」

 

 

リンの元へ駆け寄るタクミ。彼女が横になっていたソファには植物が置かれていた。

 

献花のつもりだろうか。

 

 

「いやぁ、悪い悪い。つい興が乗りすぎた……改めて、歓迎するぜ! 二人とも!」

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

夕方。

 

リンとタクミはシーザーと話をしていた。

 

 

「さっきは悪かったな。おたくも、ビリの字とは同じ穴のムジナなんだろ? なら、オレらはダチだ」

 

「……タクミ、今の褒め言葉かな」

 

「……悪気はないだろ、多分」

 

「ちゃんと自己紹介をしとこう。オレらは『カリュドーンの子』。郊外の走り屋チームで、オレ様はここの首領、シーザーだ!」

 

 

シーザーは、自身が持っているパールマンの情報について説明をする。

 

どうやらパールマンが乗っていた飛行船が旧油田エリアに墜落し、彼は重症を負っていたらしい。

 

そしてシーザー達は気絶していた彼を発見。保護して治療しているとの事だ。

 

 

「……パールマンがアンタらの所に?」

 

「うん? ルーシーの奴から聞いてなかったか? とっくに聞いたもんとばかり──」

 

「シーザー? ちょっとよろしくて?」

 

「あん? ルーシーか──いででで!?

 

 

いつの間にかいたルーシーに耳を引っ張られるシーザー。そして何やらコソコソと話をしだした。

 

しかしシーザーの話し声がデカかったので話の内容は普通に聞こえてきた。

 

シーザーがあまりにもあけすけに情報を話すので、パエトーンから協力を得られないかもしれない可能性を感じ取ったルーシーがそれを咎めているのだが……

 

その会話の中で耳についたのが『ツール・ド・インフェルノ』という単語。

 

 

「──あー、コホン……安心しろ二人とも。お前らが郊外まで来てくれたおかげで、オレらのメンツは立った。そっちが手を貸さないと言おうが、パールマンについてオレ様が言ったことを違えるつもりはねぇ」

 

 

その言葉を聞いて、リンとタクミは顔を見合わせる。そしてシーザーに言った。

 

 

「シーザー、アンタの親切は嬉しいけど……よく言うでしょ? 『旅は道連れ、世は情け』って」

 

「姉ちゃんの言う通りだ。パールマンの情報について、こんだけ大きい収穫を得られたんだ。こっちとしてもその誠意には答えねぇとな」

 

 

二人の言葉を聞き、シーザーはぱあっと笑みを浮かべる。

 

 

「おお、気持ちのいい答えだな! 聞いたかルーシー? これでお前の心配事も、消えてなくなっちまったな?」

 

「……コホン。感謝しますわ、パエトーン。そちらから協力を申し出てくださるのなら、こっちとしては大助かりですもの」

 

「……そういえば、さっき二人の会話で聞こえてきたんだけど……『ツール・ド・インフェルノ』って何?」

 

「おっと、そういやまだ説明してなかったな」

 

 

シーザーは旧油田エリアの一大イベント──『ツール・ド・インフェルノ』についての説明をし始めた。

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