ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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チャンピオン

 

 

 

 

 

ホロウでのデータ収集は順調に進んでいた。

 

しかし、三つ目のデータ収集が終わった際にアクシデントが起きる。

 

 

「警告、二号データスタンド付近で生体シグナルを検知!」

 

「なんだって!?」

 

 

急いで二つ目のデータスタンドの場所へと戻る。そこには既に何も無かった。

 

 

「データスタンドを乱暴に取り外した痕跡がある……誰かが盗んで行ったのかもしれない」

 

「どこのどいつかは知りませんがいい度胸ですわね……ボコボコにして差し上げますわ!」

 

 

「急げ! 奴らに追いつかれる前に逃げるぞ!」

 

「……!」

 

「ファイズ、どうしたの?」

 

「あっちの方で声が聞こえた……!」

 

 

ファイズは廃墟の向こうの方からかすかに声がするのを耳にした。

 

会話の内容から察するにデータスタンドを盗んだ連中に違いない。

 

プロキシ達は急いで後を追う。

 

 

「いたぞ!」

 

「っ、まずい! もう追いついて来やがった!」

 

 

データスタンドを盗んだのは、シーザー達と同じ走り屋だった。

 

複数の走り屋はすぐさまとんずらしようとするが──

 

 

[Complete][Start Up]

 

 

ファイズはそれを許さない。アクセルフォームへ変身し、音速のスピードで走り屋の逃げる先へと回り込む。

 

 

「待て!」

 

「なっ……! お前は……」

 

 

いきなり現れたファイズを目の前に、驚きが隠せない走り屋達。

 

 

「データスタンドを返せ」

 

「……へ、へへっ」

 

「……?」

 

 

ファイズの要求に対し走り屋達は、どういうわけか笑い出した。

 

 

「……ようやくだ……! アンタにずっと会いたかったぜぇ、ファイズ……!」

 

「あぁ。ようやく俺たちの悲願が叶う……!」

 

「悲願……? 悪いが決闘しろって話なら聞かないからな」

 

「決闘? まさか、そんな事するわけねぇだろ?」

 

「俺たちの悲願ってのは──これだぁ!!

 

「っ!!」

 

 

走り屋の一人が何かを勢い良くファイズへと突き出した。それは──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「ファンなんです!! どうかサインをいただけますでしょうか!!!!」」」

 

「…………??」

 

 

走り屋が持っていたのは色紙とサインペン。ファイズは思考が停止する。

 

プロキシ達も場に到着した。しかし目にしたのは走り屋にサインをせがまれるファイズの図。

 

 

「わ……分かった、サインは書くけどその……データスタンドは」

 

「あ、勿論お返ししますとも……!」

 

 

気持ち悪い程に快くデータスタンドを返却してくれた走り屋達。

 

その代わり走り屋の要求通り、全員分のサインを書くこととなった。

 

 

「へへへ……ファイズさん、どうもありがとうごさいました」

 

「……えっと、ファイズ? データスタンドは取り戻せたんだよね?」

 

「え? ああ、取り戻せたぞ。後は元の場所に──」

 

 

「待てぇーーーーーーい!!!」

 

 

突然、空から大声とともに巨大な影が現れ、盛大にファイズ達の前に着地する。

 

着地したオランウータンのシリオンは、走り屋達をギロリと睨む。

 

 

「てめぇら、俺っちの事完全に忘れてやがっただろ!! 何サインなんか貰ってんだおい!!」

 

「す、すみませんベルラムの兄貴! つい……」

 

「……待て。ベルラムだと……?」

 

「ライトさん、この人の事知ってるの?」

 

「いや、知らん」

 

「ライトぉ!!」

 

 

またもや大声でブチギレるベルラム。ライトへと突っかかる。

 

 

「もう二回も名前教えただろーが!! エンバー・アリーナでてめぇに二十連勝を阻止されたベルラムだよ、ベ・ル・ラ・ム!!」

 

「……なるほど、ソイツはすまなかったな。覚えておこう、()()()()

 

「ベルラムだっつってんだろ!! もう許さん! 俺っちらの因縁もここで終わりだ、ライトォ!!」

 

 

巨大な盾を持って、ベルラムはライトに決闘を申し込んだ。

 

ライトの合意も待たずに、盾を振りかぶってライトに襲いかかる。

 

 

「ライトォ!! こいつを喰らえぇ!!」

 

「……」

 

 

ライトはサングラスをかけ直し、ガントレットから火を吹かせる。

 

そしてベルラムの攻撃を華麗にいなし、蹴りや右拳での攻撃を織り交ぜ反撃をしていく。

 

 

「……そういえばライトさんのグローブってなんで片方しかないんだろう」

 

「確かライトの手に渡る前にどっかで失くしたって言ってたな。まあ、アイツ曰く『片方だけでも十分』らしいが」

 

 

シーザーの言う通り、ライトは左の方は使わずに右拳を使って戦っている。

 

それでも、ベルラムに対しては圧倒的有利に立ち回っていた。

 

 

「ぐぅ……っ、まだまだ!! 覚悟しろライトォ!!」

 

「さっきからライト、ライトってうるさいぞ。むさ苦しい声で俺の名前を連呼するな」

 

 

縦を振り回し、突撃するベルラム。ライトは息を切らしもせずに攻撃をいなし、ベルラムへトドメの一撃をかます。

 

 

「が……っ」

 

 

グローブによる一撃をまともに食らったベルラムは、白目を向いて地面へ倒れ伏せた。

 

ライトは結局一撃ももらわずにベルラムを完封。カリュドーンの子のチャンピオンの実力が垣間見えた瞬間だった。

 

 

「……クソッ、あれから何年も経ったってのに名誉挽回とはいかなかったか……無念だ……」

 

「……名誉、か」

 

 

ライトは地面へ這いつくばるベルラムの元へ歩みよる。

 

 

「……()()()()。あそこは──地下闘技場はお前にとってそんなに大事な場所なのか? 少なくとも俺にとっては、記憶に残す価値もない所だ」

 

「……!」

 

「あそこに名誉なんてものはない。()()()()、今の自分を見ろ。お前は自分の実力で地下闘技場を離れ、郊外でチャンピオンの座に着いた」

 

「……」

 

「俺と決闘がしたいなら、データスタンドを盗むなんて回りくどい真似せずとも相手になってやるぞ──()()()()()

 

「ライトてめぇ! さっきからころころ名前変えてんじゃねーよ!! 間違うにしてもどれか一つに絞りやがれ!!」

 

 

とあるホロウにて、チャンピオンの一つの因縁に決着がついた(?)瞬間だった。

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