データ収集を完了させ、今度は車両のパーツを購入しに別のホロウへと向かったシーザー達。
しかし、ここで思わぬ事態が起きる。
「パーツは売れないだと?」
「あ、ああ。今朝若い衆が数人連れで来てのぉ」
パーツを売っていた老人曰く、カリュドーンの子を名乗る走り屋が現れ、パーツを全て買い占めて行ったのだそう。
リーダーらしきシリオンの女性が、パーツを購入するのに高い額を提示してきたため、老人も了承せざるを得なくなってしまった。
「パーツを買い占めるだけでなく、私たちの名まで騙るとは……とんだ不届き者ですわね……!」
「じいさん、カリュドーンの子ってのはオレ様達の事だ! 今朝来た連中じゃねぇ!」
「なんじゃと……?」
ファイズは老人に尋ねる。
「じいさん、その連中はどこに行ったか分かるか?」
「ああ、奴らならホロウ深部の『廃車墓地』に行ったよ。ここで買ったパーツだけじゃ足りないらしくての」
「廃車墓地か……バイクを取りに戻らねぇとな」
「それじゃあ、俺は先に墓地に行っとくよ。丁度バイクもあるしな」
[Vehicle Mode]
ファイズは同行させていたオートバジンをバイクに変形させる。
「え、大丈夫なの?」
「大丈夫だろ。もしアイツらと出くわしたら……まあ、なんとかする」
「適当ですわね……まあ良いでしょう。それなら後で墓地で合流しましょう」
「油断すんなよファイズ。相手はウチの名を騙るほどには肝が据わってる。予想以上のツワモンかもしれねぇ」
「すぐに追いつくから、待っててね!」
「ああ」
ファイズはオートバジンに乗って廃車墓地へ、プロキシ達は自分たちのバイクを取りにパイパーの元へ向かったのだった。
───────────────────────
数分後、廃車墓地へと辿り着いたファイズ。
(誰もいないな……一番乗りってやつか?)
先程の場所からの距離的に、すでに例の走り屋達がいてもおかしくないのだが……
オートバジンを停め、辺りを確認する。
その時。
ドゴォォオン!!
「!?」
突如付近の廃墟が爆発。それにより大量の瓦礫が落下し、ファイズは為す術もなく下敷きとなってしまった。
「──あら」
その時、影から一人の猫のシリオンが出てくる。
「運が悪かったね。ま、カリュドーンの子に肩入れした時点でこうなる事は必然だったけど」
ガンブレードを持ちながらそのシリオンは爆発させた瓦礫へと近付く。
その瞬間、瓦礫の山から一本の腕が勢い良く飛び出した。
「なっ──」
「ゲホッゲホッ……! あークソ……!」
悪態をつきながらその腕は瓦礫を一つ一つ乱暴にどかしていく。そして、爆発で起きた砂埃の中からファイズが姿を現した。
「……なるほど、かのファイズ様は一筋縄じゃ行かないってわけね?」
「……」
ゆっくりと立ち上がりファイズはそのシリオンを睨む。
「……お前か。カリュドーンの子をの名前を騙って、パーツを買い占めたっつーのは」
「そうだけど、それがどうかした? もしかして、返して欲しいの?」
「ああそうだ。なるべく戦いたくないんでな、大人しく言う事を聞いて貰おうか」
「大人しく、ね。 分かった──よっ!!」
「っ!」
そのシリオンは要求を呑む振りをして、ファイズへ蹴りをかますが、ファイズはすんでのところでそれを避ける。
「大人しく狩られると思った?」
「ハナから思ってねーよ」
ファイズは手首をスナップさせ、シリオンとの戦闘に臨む。
シリオンは狙いを定めたのち、猫特有の素早さで動き回りながら二丁のガンブレードで射撃をする。
ファイズはそれを避けながら、フォンを開いてフォンブラスターへと変形させる。
[1・0・3][Single Mode]
陰に隠れながら、フォンブラスターを構える。と言っても、狙いはシリオンではない。
ファイズが狙うのは──
「そこだ!!」
「っ!?」
フォンブラスターで撃ったのはシリオンが持っていたガンブレード。
手早く二丁とも吹き飛ばし、ガンブレードは地面へと転がり飛んでいった。
丸腰となったシリオン。トラップも銃撃も、ファイズには効かない。
「……豆鉄砲じゃ長引くだけだぞ。これ以上は誰も得しねぇからさっさと降参──」
「っ、ナメないで!!」
「は? ちょ──」
ファイズの言葉を無視して、シリオンは素早く距離を詰めて連続でパンチやキックを叩き込む。しかし──
「──いっ……たぁっ……! くっ……!」
「……だから言っただろお前」
生身で、しかも素手でファイズにダメージを与える事は不可能に近い。精々吹き飛ばすのが限界だろう。
胸部のフルメタルラングに思い切りパンチをかましたシリオンは、その硬さに思わず蹲ることとなった。
「お待たせファイズ──って、何この状況?」
「あ、プロキシ」
丁度いいタイミングでプロキシ達も到着した。
プルクラちゃん好きだけど無敵時間で遅延するプルクラちゃんは好きじゃない