この毎日投稿もいつまで続くかな……
「──何ですって?」
「だから言ったでしょ。工場で買い占めたパーツは返すし、ここで手に入れた分も諦めるよ」
ファイズと戦闘した後、傭兵のシリオンは後から来たルーシー達に今回の件について問いただされていた。
「負けを認めるって事か?」
「……仕方ないでしょ。あんな完封なきまでに打ち負かされちゃ、却って諦めもつくよ」
「打ち負かされたって……ファイズもしかして──」
「ちょ……ちょっと待て誤解だ。俺はアイツの武器を吹っ飛ばしただけだからな」
今回はパーツを買い占められてすぐの出来事だったため、カリュドーンの子の悪評は広まらずに済んだ。
シリオン曰く、この有様では雇い主にも示しがつかないため、無かったことにしようとの事だった。
「それじゃあ、私は行くから」
「待て」
「……何? まだ納得出来ない事でも──」
「手は大丈夫なのか」
「……手? 何の話?」
「お前さっき胸の装甲を思いっきり殴っただろ。打撲したんじゃないのか」
「……アンタもしかして敵の心配してるの? 言っとくけど大したことないから」
「あのな……打撲ナメたらダメだぞ。ほっといたら絶対後悔するからな。帰ったら早めに冷やしとけ」
幼い頃、打撲したことがあるタクミ。痛くないからそのうち治るだろと放っておいたら、とんでもない事になった過去がある。
「……アンタと言いあのデルタってホロウレイダーと言い、ここ最近妙なやつばっかりに会うわね」
「……は? ちょっと待て、デルタだと?」
シリオンから予想外の言葉が聞こえ、思わずうろたえるファイズ。
「……昨日、いやおとといだったかな。アンタと似たような格好したデルタって奴がウチのとこに来たの」
シリオンによれば、デルタは彼女が持っていたアタッシュケースを多額のディニーと引き換えに売って欲しいと頼んだらしい。
彼女自身、持っていたアタッシュケースの中身は使用用途が分からず宝の持ち腐れ状態だったため、そのまま売った。
カーサが言っていた『デルタと会った誰か』というのは彼女の事だった。
「……アタッシュケースは何処で拾ったんだ? 中身は?」
「……拾ったのはホロウの中だよ。中身は──アンタが今着けてるそのベルトを黄色くしたような感じ」
「黄色……」
そのベルトもファイズと同じ力を持っているのだろうか。やはりデルタには何としても会っておかなければならない。
「ありがとよ、教えてくれて。えっと……」
「プルクラ」
「ありがとなプルクラ」
「別に良いよ。この情報料はその強さに免じてタダにしといたげる」
プルクラは近くに停めてあったバイクに乗る。
「あ、そうだ」
「?」
「──心配してくれて、ありがとね」
そう言い残すと彼女はさっさと行ってしまった。見送ったファイズはプロキシ達の所へ行く。
「悪いな皆、話し込んじゃって」
「……ファイズは随分と猫に好かれやすいんだね?」
「え? まあ、確かに六分街の猫は人懐っこいけどさ……なんで今その話が出てくんだ?」
「……まさか気づいてませんの?」
「あーあ……私も猫ちゃんと遊びたかったなぁ」
「そういう事ではなくってよバーニス──シーザー? 何をぼーっとしてますの?」
「……え? いや、なんでもねぇよ!」
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ブレイズウッドへと帰ったタクミは、プルクラから教えてもらったデルタの情報について整理をする。
インターノットの情報によれば、デルタはホロウレイダーでありながら普通のホロウレイダーがやるようなエーテル資源の違法取引などは一切していない。
するのはホロウでの人命救助のみ。
やっている事はファイズと同じだ。しかし、パエトーンの手助けをするという明確な理由があるファイズと違い、デルタは人命救助をするという理由だけでホロウレイダーとなっている。
わざわざホロウレイダーという茨の道を行かなくても、ホロウ調査員になれば同じ事ができる。
それなのに何故ホロウレイダーになったのか。今日まで理由は分からなかったが──
(プルクラがデルタに売ったって言う黄色のベルト……)
ファイズドライバーと似た形状の黄色いベルト。
ファイズ以外にも同じような力を持ったベルトが存在しているのはなんとなく察しがついていた。
デルタが買ったという黄色いベルト。
バレエツインズでドッペルゲンガーが着けていた金色のベルト。
そして──デルタ自身が着けている、白いベルト。
ファイズのベルトと合わせたら、少なくともこの世界には四種類のベルトがあるという事になる。
そしてデルタの目的がそのベルトを集める事なら、ホロウレイダーになったのも幾分か納得がいく。
……ただ、これらはあくまで推測の域を出ない。
(……こんだけ考えたけど、結局本人に聞いた方が一番早いんだよなぁ)
しかしながら、一番欲しい情報であるデルタの居る場所については分からずじまい。
もう少し調査を続ける必要があると、深く溜息を吐くタクミだった。