ZZZ × 555   作:びぎなぁ

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内通者

 

 

 

 

 

 

「……カーサが?」

 

「そうだぜぃ」

 

 

翌日の昼、リンとタクミは昨夜と同じような人目のつかない場所でルーシー、そしてパイパーと落ち合った。

 

内通者についてパイパーから伝えたい情報があるらしい。

 

 

「工芸品が搬出された日の夜に、決まってカーサは二、三時間町を離れるんだ。しかも、耐侵蝕装備をバッチリ身につけてなぁ」

 

 

街に内通者がいるかもしれない、とルーシーから話を聞き、パイパーは夜に偶然を装ってカーサとの接触を試みた。

 

カーサ本人は『寝付けないから散歩していた』と言っていたらしいが……

 

 

「──でも、そっから一時間した後に抜き足差し足で町を出ていったんだよな〜」

 

「確かに、不自然だね……」

 

「耐侵蝕装備を身に付けてたってことは、カーサさんはホロウに行ってるって事か? なんでだ?」

 

「大方、トライアンフの輩に情報を流し込みに行っているんでしょう。私の推測が正しければ、ですけど」

 

 

カリュドーンの子と町長であるカーサの付き合いはとても長い。

 

首領のシーザーは、カーサの事を実の姉のように慕ってきた。

 

故に、この内通者がカーサであるかもしれないという事をシーザーに伝えてはならないのだ。

 

 

「数日のうちに、また町から貨物が出るそうですわ。カーサが一体何をしているのか、ホロウに入って後を尾けにいきますわよ!」

 

「そんなわけで、二人ともよろしくなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその日の夜。

 

一行はカーサが入って行ったというホロウへと突入した。

 

 

「ルーシー、バーニスとシーザーは大丈夫かな」

 

「あの二人ならもう寝てますわ。シーザーは夜更かしはしないタイプですもの。バーニスの方は──」

 

「俺が丸一日スパーリング付き合ってやった。そのおかげでアイツは今頃気絶したようにぐっすりだ」

 

 

そう答えるライトの表情は、そのスパーリングのせいかどこか疲れが見えていた。

 

タクミもファイズに変身し、準備は万端だ。

 

 

「マスター、現在地付近から生体シグナルを検出しました。今回の目標であるカーサがそこにいると予測されます」

 

「っ、聞きましたわね皆さん! カーサにはバレないよう、音を立てずに後を追いかけますわよ!」

 

「ルーシーが一番声デカいぜぃ……」

 

 

プロキシの案内の元、生体信号が検出された場所へと行く。

 

 

そして数分もしないうちにカーサがいる場所へと辿り着いた。

 

 

「ここですわね……」

 

 

そこには予想通りカーサの姿があった。見つからないように、物陰からこっそりと様子を伺う。

 

カーサは誰かに話しかけている。

 

 

「──来たよ! 誰かいないの?」

 

「……お前、約束を違えたな」

 

 

声とともに狼のシリオン、モルスが暗闇から姿を現した。

 

 

「……? 何を言ってるの、約束の物を渡して!」

 

「俺は一人で来いと言ったはずだ──」

 

 

物陰から二人の会話を盗み聞きしようとするルーシー達。

 

 

「……あの二人、何て言ってますの?」

 

「ちょっと待ってろ」

 

 

ファイズはピンフォールズソナーの聴覚感度を、二人の会話が聞こえるように調節する。

 

そして音を立てないよう耳をすまそうとし──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドォンッ!!

 

 

「……は?」

 

 

モルスが突然、こちらがいる物陰へと発砲。

 

後頭部にモロにモルスの銃弾を受けたファイズは、そのまま地面へと倒れ伏せた。

 

 

「ファイズ? ファイズ!!」

 

「おい、しっかりしろ……!」

 

「……悪いな、当てるつもりは無かったんだが。どうやら腕が鈍っちまったようだ」

 

「……っ、この……!」

 

「ルーシー、落ち着け!」

 

 

いくら呼びかけてもファイズは返事をしない。

 

ファイズのヘルメットの後頭部には銃痕こそあるものの、貫通はしていない。

 

よほどの衝撃でもない限り、ファイズの命に別状は無いはずなのだが──

 

 

「そっちがやる気ならこっちもやってやりますわ……! ボコボコに──」

 

「待てルーシー」

 

「! ファイズ?」

 

 

ファイズがゆっくりと起き上がる。やはり先程はただ気絶していただけだったようだ。

 

撃たれた後頭部をさすりながら、モルスとカーサの前へ姿を現す。

 

 

「……悪いな、さっきは盗み聞きなんかしてよ。二人からは色々聞きたい事があるんだ。まずはホロウから出て、ゆっくり話でもしようぜ」

 

「断る」

 

 

モルスは速攻で話を切り捨て、先手必勝と言わんばかりにファイズへと距離を詰める。

 

先程の銃撃が効かないと分かっての事なのか、斧を使っての接近戦を試みる。

 

しかし、ファイズにとって接近戦ほどやりやすいものは無い。

 

斧を左腕でガードし、右拳を突き出し反撃をする。

 

モルスは怯むがすぐに体勢を立て直し、先程よりも速く斧を振り下ろす。

 

ファイズはそれをフルメタルラングで受け止め、斧を右腕で弾き飛ばした後にそのままモルスを蹴り飛ばした。

 

 

「ハァッ!」

 

「ぐぅ……っ!!」

 

 

吹き飛ばされるモルス。ファイズは手首をスナップさせながらゆっくりとモルスの元へ歩いていく。

 

胸部を蹴られたせいか、咳き込みをしながらモルスは立ち上がる。

 

反撃をするかと思いきや、モルスは煙幕弾を地面に投げつけ逃走を図った。

 

 

「! ファイズ、アイツ逃げる気ですわ!」

 

「分かってる!」

 

[Complete][Start Up]

 

 

ファイズはアクセルフォームへ変身し、バイクで逃げたモルスの元を追う。

 

モルスは猛スピードで逃げるが、アクセルフォームへ変身したファイズの速度の前では無意味だった。

 

 

「フッ!!」

 

 

バイクに追いつくや否や、ファイズはバイクに蹴りを入れて吹っ飛ばした。

 

 

[Reformation]

 

「がっ……ぐ……!」

 

 

バイクから放り出され、地面へと転がるモルス。ファイズはモルスから話を聞くべく彼の元へと歩いていく。すると、聞き覚えのある声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ファイズ? お前なのか?」

 

「シーザー……?」

 

 

本来ならここにいるはずの無い彼女が、ファイズの前にいた。

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