ZZZ × 555   作:びぎなぁ

87 / 302
覇者たる所以

 

 

 

 

 

 

ルミナスクエアの滝湯谷・錦鯉にてラーメンを食べた二人。

 

その後はHIAセンターのVR機器でエーテリアスを蹴散らしたり、カラオケに行ってシーザーの熱唱っぷりを堪能したり……

 

色々な場所を回って行った。

 

 

「なぁ、次はどこに行くんだ?」

 

「まだ決めてねぇんだよな。どこに行くか──」

 

 

タクミが悩んでいると、スマホから着信音が鳴り響く。相手はアキラだった。

 

 

「もしもし、兄ちゃん?」

 

『あ、タクミ。今どこにいるんだい?』

 

「今はシーザーとルミナスクエアにいるよ」

 

『そうなんだね……えっとタクミ、楽しんでる所悪いんだけど、少しおつかいを頼まれてくれないかい?』

 

「おつかい?」

 

『ああ。丁度買わないといけないものがあったのを思い出してね。今日が確かセールの日だったんだ。後で買い物のメモをDMで送るね』

 

 

通話を終了した後すぐに、DMで買い物リストのメモが送られてきた。

 

 

「今のアキラか?」

 

「ああ。おつかいに行って欲しいんだと。メモのものなら近くのスーパーで買えるな」

 

「なら、次の行き先はそこで決まりだな!」

 

「良いのか? 遊ぶってよりかはタダの買い物だぞ」

 

「構わねぇぜ。んじゃ、出発だ!」

 

「あ、ちょ、押すなよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてルミナスクエアのスーパーにて。タクミは買い物カゴを片手に、メモを見ながら商品をカゴに入れていた。

 

 

「んー、これで全部かなぁ。シーザーはなんか欲しいものはあるか?」

 

「……え? あー、特にはない……な」

 

 

シーザーは何やら考え事をしている様子だった。

 

この時だけでは無い。ルミナスクエアへ向かう際も、思い詰めるような表情をしていた。

 

タクミは何を悩んでいるのかをさりげなく聞く、なんて器用な事はできない。

 

お節介な奴だと思われるかもしれないが、タクミは意を決して彼女に単刀直入に聞くことにした。

 

 

「……シーザー、もし余計なお世話なら言ってくれて良い」

 

「え?」

 

「ルーシーから聞いたよ。お前がここ最近悩みに悩んでるってな。俺で良ければ、何で悩んでるのか聞かせてくれねぇか? 一人で悩むよりかはさ、そっちの方がいいだろ?」

 

「…………!」

 

 

シーザーは目を見開く。そのまま少しの間、無言の時間が続く。

 

 

「……あーその、話したくないってんなら良いんだ。俺以外の誰かにでも──」

 

「いや、話すよ」

 

「え?」

 

「お前に言われてハッとした。確かにこのまま一人で抱え込むぐらいなら、お前に話した方がずっとマシだな。いつまでもウジウジしても仕方ねぇ」

 

 

そしてシーザーは自身の悩みの種を明かす。

 

幼い頃から『ツール・ド・インフェルノ』の伝説を聞いて育ってきた彼女は、覇者に必要なのは『最強であること』だと思っていた。

 

 

「……でも、この間のポンペイのオッサンとルーシーのやり取りを見て、間違いだって気づいた」

 

「……」

 

「オレ様はルーシーみてぇに頭が回るわけじゃねぇ。そんなオレ様は、本当に覇者としての資格があるのか……なんて事を考えてたんだ」

 

「資格、か」

 

「ああ。アイツらと比べたら、オレ様は覇者に相応しくないんじゃねぇかなってな」

 

「……確かに他の人間に出来て、シーザーには出来ない事ってのはあるかもしれない。けどな、シーザーにしか出来ない事ってのもあるだろ?」

 

「……」

 

「……覇者になるためにどうすれば良いのかは俺にも分からない。ただ、シーザーにはやると言ったらやるその意志の強さがある。それがある限り、覇者への道が閉ざされる事は決してないはずだ」

 

「……オレ様の強み」

 

「……まあ、なんだ。誰にでも出来ることと出来ない事ってのがあるんだ。シーザーには仲間がいる……だから、その……えっと、俺が言いたいのはだな」

 

 

講釈を垂れているような感じがして恥ずかしくなったのか、タクミの声がだんだんと小さくなっていく。

 

それを見たシーザーはクスリと笑い、タクミの頭にポンと手を置いた。

 

 

「ありがとなタクミ。お前のおかげですげー気が楽になったぜ」

 

「そ、そうか?」

 

「ああ。確かにオレ様には、一度決めた事は決して曲げねぇ意志の強さがある! それと、めちゃくちゃ頼れる仲間たちもな!」

 

 

シーザーの表情にいつもの豪快さが戻る。どうやら、悩みは消えたようだ。

 

 

「今は『ツール・ド・インフェルノ』の事に集中するぜ。オッサンに勝つために! 覇者になるために! 努力は惜しまねぇ!」

 

 

スーパーを出たシーザーは高らかにそう宣言する。その顔を見てタクミは安心した。

 

 

「よーし、そうと決めたら早速郊外に戻ろうぜ、タクミ!」

 

「うわっ!? ちょ、頭ガシガシすんなって!」

 

 

危うく買い物袋の中身を落としそうになるタクミだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。