ヤダ! 作:やだ!
「ねぇ、浮気ってどこからだと思う?」
彼女の家で僕は仰向けに寝ながら、僕の胸に甘えるように頭を乗せているせつ菜に尋ねた。
「浮気、するんですか?」
彼女は胸に頭を擦り付けるようにしていたのを辞め、手を僕の頭の横へ。いわゆる床ドンのような姿勢になり、目が鋭くなった。スクールアイドル部を廃止しようとしてた時の生徒会長、中川菜々の時を思い起こさせる。
それと同時に首を優しく撫でるものだから、どことなく恐怖を感じる。
「そういう訳じゃなくてさ、人によってラインは違うでしょ?異性とご飯行くのは事前に言えばOKな人もダメな人もいる。ほら」
そう言って僕は携帯の画面を見せた。カップルで動画投稿をしている人達が自分たちの恋愛観について話す動画だった。
「なるほど、齟齬があっては行けませんもんね。」
そう言って、彼女は力を抜き、また僕にもたれかかった。何故か僕の腕を少しばかりつねってから。
もしかして、これも浮気に入ったりするのか?
「まず、私から離れるのは浮気ですよね!」
「最初からすごいね」
どうしても離れないといけない時もあるし、物理的に不可能なお願いだ。
「次は、私から目を離す事ですよね」
「目を離す?他の人に夢中になる事って意味?」
「いえ、物理的に私から目を離す事です。でもそういう意味もありますね」
「僕はせつ菜から目を離したことはないよ」
「ライブの時、果林さんに夢中になってるの知ってるんですからね」
じっと目を細めて、僕を見る。い、いや、ソンナ事ナイケドナー。
普通の男子校高校生として、あの人に夢中にならない事があるだろうか、いや、ない。
せつ菜のライブもこちらも熱くなれるし、彼女の思いが沢山伝わってきて大好きだ。
けど、どうしても男子として彼女に目が行ってしまうのは、しょうがないと僕は思う。
「果林さんの方が好きなんですか?」
不安そうな顔で、僕の顔を見上げる。
「そんな事はないよ、どうしてもライブの時に他に目が行ってしまうのは、色々あるんだ」
「今はそれで納得してあげます、けどこれからは絶対に許しません」
人差し指を僕の目の前に立てる。楔が一本埋め込まれたみたいだった。
「他にも色々ありますけど、最後に一番なのはわがままな私を受け入れてくれないことです」
確かに、相手の行動を受け入れられなくなってしまったら、それはもう好きじゃないのかもしれない。どんなことでも互いに受け入れあうのが恋人なのかもしれない。
「私は貴方が浮気しないって信じてますよ!」
「期待に応えられるようにするよ」
にこりと顔を向けて、僕は苦笑いしかできなかった。
彼女の信用と信頼なのだろうけれど、ちょっとばかし圧力を感じる言葉だった。
「期待に応えられるようにではなくて実行してください!」
……きっと、9割方圧力を込めた言葉だったのかもしれない。
でもそのちょっと重いかもしれない彼女も僕はまた好きな彼女だ。
「どこまででも私についてきてくださいね!」
1000文字くらいだと、なんか投稿が申し訳なくなっちゃう謎の投稿者の性