ぴっちりスーツなボイロ(筋肉娘)でスペオペ風ロボ物   作:その辺の残骸

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艦内制圧

 

 周辺にはマニューバフレームとフリゲート艦の残骸が漂っている。ゆかりとマキによる出来立てほやほやのスクラップだ。

 

 伏兵や増援の有無を確かめ、オートモードに切り替えると炎陽のコクピットを開いた。

 

 宇宙空間に飛び出す紫髪の長身。ガーベラ号の武器庫にあった刀を携えた結月ゆかりである。

 

 重機関銃を軽々と抱えた金髪ロングヘアの相棒も近くに見える。お互いやる気満々だ。菫色の瞳と碧色の瞳がバイザー越しに交差した。

 

 ナノスキンスーツにはヘルメットの展開機構があり、折り畳まれていたヘルメットがゆかりの頭部を覆っている。

 透明なバイザーはナノスキンが変質したモノ。本質的には被膜やプロテクターと同質だ。

 

 便利なことにスーツには四肢や背中にスラスターがあり、追加装備なしで船外活動が行える。

 

 装備には一家言あるゆかりだが、ナノスキンスーツに評価を付けられるなら絶賛レビューと五つ星を進呈する。それくらいの優れものだ。

 

 性能は素晴らしく、何よりも自分やマキのボディラインを余すことなく浮き彫りにするタイトなデザインが気に入っている。

 普通なら羞恥心が刺激される裸同然の恰好でも、自信に満ち溢れた彼女たちにとっては、魅力を引き立てるコスチュームなのである。

 

 スラスターを潰して身動きできない巡洋艦が銃火で応戦してくる。そこは、ゆかり達が目指している入り口でもあった。

 

「撃ってきましたね。降伏に応じない時点で予想できたことですが」

 

「へーまだまだやる気あるんだ。いいね、久しぶりに本格的な対人戦させてもらおうか♪」

 

 近接防御兵装は徹底的に潰しておいたので、損傷した部分からパワードスーツを着た海賊が身を乗り出し、重火器をぶっ放している。

 銃撃如きでは怯まず、むしろ殺る気を出すのが蛮族のメンタリティだ。

 

「ここは頼みますよ」

 

 ゆかりも右フトモモのホルスターに電磁式の大口径ハンドガンを納めているが、射撃はマキのほうが得意だ。

 それに何よりも、金髪の相棒はやりたくて仕方がない様子である。

 

「任された!」

 

 ゆかりが言う前からマキは動いていた。

 スマート照準器のない、昔ながらの重機関銃を掃射。ゆかりの脇でマズルフラッシュが迸る。

 

 射撃の反動はスーツの推進力で抑えられる。射撃精度は海賊と桁違いだ。パワードスーツの頭部を正確に撃ち抜く。

 

 頭部装甲に穿孔を穿たれた海賊は即死するか、あるいは手足を振り乱し、酸欠に陥りながら宙を漂う。結月ゆかりと弦巻マキに海賊の類への容赦は欠片もない。

 

「よっし、当たった! どう、ゆかりん!? わたしの腕は全然鈍ってないでしょ!」

「元々、疑っていませんよ。マキさんは射撃が上手ですからね」

「もー、またそうやって嬉しいこと言ってくれるんだから!」

 

 言いながら、スラスターを吹かし、ゆかりは加速。抉られたような艦の損傷部に辿り着く。

 

 それは本来、搭乗橋と繋がるハッチとその周辺部分だった。マキの炎陽がレールガンを撃ち込んで出来上がった損傷だ。

 

「さて、今度は私が腕前を披露する番ですね」

 

 通路の奥。電源が生きていた天井のオートタレットがレーザーを連射してくる。

 ガーベラ号で目覚め、素っ裸でドローンと戦った際は躱しながら距離を詰めたが、上質な刀を手にしている今は違う。

 

「はぁっ!」と無表情なりに気合の声を吐き、刀を振るう。

 甚大な損傷と空気漏れという事態に非常灯が照らされた通路で、鋭い光が瞬く。

 

 刀身が連射される対人レーザーを弾いていた。鍛え抜かれた動体視力と反射神経による神業だ。

 ゆかりは跳躍。刀で突き込み、タレットを破壊。スパークの後に小さな爆発が、着地した紫髪の頭上で起こった。

 

「あいた」

 

 無重力の艦内で、爆発の勢いを保った破片が頭に当たるが、ナノスキンのヘルメットは頑丈。ゆかりは僅かな衝撃を感じただけだった。

 

 刀を両手で握りながら、前方の隔壁を警戒する。

 

「お待たせー」

 

 そこに遅れてきたマキが乗り込む。赤装甲のナノスキンスーツを着た、筋肉質かつグラマラスな長身が近寄る。

 

「爆薬を使うのはもったいないですよね」

 

「わたしもそう思うな。せーので共同作業しちゃおっか」

 

 腰に巻いたポーチに諸々道具を入れてあるのだが、ここは体を使うことにする。

 

 行きますよマキさん、視線で示し合わせて半歩下がる。それから床を勢いよく踏み切って、隔壁に鋭い蹴りを叩き込む!

 金髪の陽気な蛮族もクールで無表情な紫髪の蛮族も背が高く、脚がエゲつないほどに長い、理想的なスタイルをしている。

 

 そんな二人が美脚から繰り出した蹴りはとても人間とは思えない威力でもって、強固な隔壁を蹴り破った。

 酸素が船内にあれば、破壊力を物語る轟音が響いていただろう。

 

「敵は……いませんね。進みましょう」

「オッケイ!」

 

 ゆかりが先導し、駆け出す。重機関銃を構えたマキがその後に続く。

 

 

 宇宙海賊テリブルズの頭目であるアーガイルは、新しい"スポンサー"から提供された巡洋艦に漂う新品の空気が好きだった。

 

 しかし、今は装甲服の据えた匂いを嗅いでいる。

 艦橋の人員は全員、パワードスーツや宇宙服を着用していた。

 艦内は損傷により酸素の循環も人工重力の維持も不可能だ。推進部分が破壊されたため、慣性に沿って流れるのが精一杯。

 

 巡洋艦は修理不可能な損傷具合で、敵を撃退してから生き延びる方法を考えなけばならない。

 

『B3ブロックが破られた! 女二人だが、怖ろしく力が強くて素早いっ! 奴らサイボーグかマーダーボットの類か!?』

 

 そこで音声が途切れ、敵船制圧を担当する屈強な襲撃チームが全滅したことをアーガイルに伝える。

 

『侵入者はやはりCIC(戦闘指揮所)に向かってます! つっ強すぎる! 手に負えません、応援――』

 

 数分後には、アーガイルが地球軍の少佐だった頃から付き従っていた部下の率いるチームが全滅した。

 

「スポンサー……ヒュドラの連中と連絡は付かないのか!?」

 

「だっ駄目です! 応答ありません! 通信は届いているのに!」

 

「所詮俺たちは使い捨てか!」

 

 アーガイルは苦々しい顔で唸った。彼は十年前の独立戦争が切欠で、宇宙海賊に身をやつすことになった。

 当時、アーガイルはフリゲート艦を指揮する地球統合軍の少佐であった。

 

 しかし、惑星アンゼリスの独立に共鳴した植民惑星による連合軍の猛攻に属していた艦隊が壊滅。

 防衛ラインが下がる一方という戦況で、敗走する兵士たちは切り捨てられた。

 それからは、部下を鼓舞して植民惑星連合の艦隊から逃げ隠れする日々であった。

 

 その頃には既にアーガイルの指揮する艦は、多数の戦争犯罪に手を染めており、彼自身それによって私腹を肥やしていた。

 捕虜となり、裁判にかけられれば二度と日の目は拝めない。だから、必死で逃げ続けた。

 

 戦争が終わっても苦境は変わらなかった。

 敗戦により植民惑星での権益を全て失った地球には、銀河の各地に散らばる敗残兵を救う余力などなかったのだ。

 

 切り捨てられたアーガイルには、フリゲート艦を使った海賊行為で部下を養う他になく。

 

 最近になってようやく、追い風が吹いてきたと感じた。

 

 地球からの新しいスポンサー――地球圏の全権を掌握し、総力を挙げて地球中心の統治体制を蘇らせようとしている五大企業による一大連合、ヒュドラ・グループが接触してきたのだ。

 アーガイルのような兵士の苦境と、彼とその部下を切り捨てたかつての軍部の愚行を詫びて、グループが誇る最新の兵器を与えてくれた。

 

 しかし、それらはたった数分で撃破され、元々指揮していたフリゲートも無惨な姿を晒している。

 

 やったのは二機の炎陽――――アンゼリスと並んで忌々しい惑星八洲の第二世代MFだ。

 正気とは思えない高速、重武装のカスタマイズを施したMFが、性能で大きく上回る虎兵五機を手玉に取り、撃墜して見せたのだ。

 

 炎陽のパイロットはイカれた腕前をしているだけでなく、頭と格好もイカレていた。

 二人で海賊艦に乗り込み、制圧しようとしているのだから。

 

 身に着けているのは肌に密着する薄さを極めたようなスーツで、馬鹿みたいに薄い胸と馬鹿みたいにデカい胸の形がはっきりと出ている。

 おまけに軍人であり男性であるアーガイルが、見た目だけで勝てないと悟るほど凄まじくキレのある筋肉をしていた。バキバキに割れた腹筋など見惚れそうなほどだ。

 

 娼婦でも憚るような痴女めいたスキンスーツの女二人組は、悪夢のような戦闘力を兼ね備えていた。

 自信に満ち溢れた挑発的な戦い方で、アーガイルの手下を蹴散らしている。

 

 元軍人、現海賊の頭目は振り返り、CICに出入りするためのエレベーターを睨んだ。

 

「エレベーターは止められないのか?」

「それがクラックされたようで。こちらの制御を受け付けません」

 

 恐る恐る報告する部下に「そうか」とだけアーガイルは言った。

 

「ここで迎え撃つぞ。エレベーターが来たら全員で撃て。しばらくは不便になるが、我慢してくれ」

 

 部下の手本となるべく、アーガイルは手にしたレールガンをエレベーターに向けた。

 

 

「相変わらずでっかいお尻だね!」

「ひゃっ! もうマキさんったら。まだ戦闘中ですよ?」

 

 CICに向かうエレベーター。パシンっという気持ちのいい音が結月ゆかりの魅力的なヒップから響いた。

 マキが隣に立つゆかりの豊満なお尻を叩いた音だ。

 

 呼吸を整えていた紫髪の無表情な蛮族はその一撃に反応できず、可愛らしい声を漏らすことに。

 

 戦闘中も前衛を務めるゆかりのお尻が気になって仕方がないマキであった。

 金髪で巨乳なマキも巨尻と言われるほどのボリュームがあるが、ゆかりはさらに大きなお尻をしており、とてつもなくエロい。

 

 ただデカいだけでなく、鍛え上げられた筋肉で美麗に引き締まっている。

 

 そんなお尻が接近戦で刀を振るうのに合わせて揺れて弾んで、時には引き締まる。女であるマキにとってもたまらない光景だった。

 

 おまけにナノスキンスーツの光沢ある黒い被膜に、紫色の装甲ががっちりと食い込んだIバックの臀部だ。ゆかりの後ろ姿は途方もなく色っぽい。 

 

 かくいうマキも踏ん張った姿勢で機関銃をぶっ放し、自慢のバストとヒップを揺らしながら戦っていたのだが。

 

「ごめんごめん。さっきのお尻への一発は働いて返すよ。ゆかりんは私の後ろへ」

 

 金髪ロングヘアの陽気な長身娘はポーチから取り出した装置を左手に装着する。

 紫髪の相棒に見せるために掲げたそれは、携帯式のエネルギーフィールドだ。

 これもガーベラ号の武器庫にあった装備。八洲製の最新式の代物のようだ。

 

 受け止められるエネルギーの総量は少ないが、速攻を仕掛けるのなら十分。

 

 そそくさとゆかりはマキの後ろを立つ。視線はヘルメットに長い髪を仕舞っていることで露わな背中へ。

 そこから視線は下がって、赤色の装甲が尻の間に食い込んだお尻に目がいく。マキはすぐに気付いた。

 ふりふり❤と挑発するように左右に揺れて、慣性で柔らかい尻肉が踊る。

 

 エレベーターが減速し始めた。ゆかりの視線に対してふざけていたお尻が、力強く引き締まって緊張する。敵が迎え撃としているのが肌で感じられたからだ。

 

 マキに呼応して、ゆかりのお尻にも力が籠っている。

 

 エレベーターが開く。銃弾やレーザーが殺到する前にマキは左手を掲げて、エネルギーフィールドを起動。海賊の一斉攻撃を防いでいる。透明なエネルギーの盾が実弾やレーザーを弾く。

 

「そりゃぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 金髪娘が気合の雄叫びを放ち、左手にかかる衝撃を振り払うようにして、一気に突進した。右手は重機関銃のトリガーを引いている。

 銃弾は人間だけでなくコンソールパネルを撃ち抜き、火花が散った。

 CICは艦橋下にあり、しっかり装甲されている。窓の類はなく、空気漏れの心配はないので撃ちまくれる。

 

 相棒の背後から飛び出したゆかりは、疾風となって敵に襲いかかる。

 マキが乱射する機関銃の弾幕を浴びることは恐れていない。呼吸を合わせて当たらないように立ち回れるし、マキも咄嗟の動きで対応してくれる。

 

 あまりにも素早いゆかりを捉えることができたのはアーガイルだけで、それも偶然だった。

 

 低い姿勢で突っ込み、次々にCIC要員を切り捨てたゆかりにレールガンの銃口が向く。

 

「死ねぇっ!」

 

 呪詛のような雄叫びを上げる海賊の頭目だが、ゆかりはひと跳びで肉薄。撃たれる前に斬る。

 腕を肘から切断すると、ゆかりは身を翻しながら腹部に蹴りを叩き込んだ。真っ直ぐに壁まで吹き飛んで、アーガイルは気絶した。

 

「白姫号と茜ちゃん達にはわたしが連絡するよ」

 

 CICを制圧すると、マキは残しておいた通信席に足早に向かう。重機関銃を傍らに置いて、素早くコンソールを操作し始める。

 

「これで一見落着とは到底思えませんね」

 

 華麗な所作で納刀してから、ゆかりは呟いた。海賊の背後にいるスポンサーを吐かせる必要がある。もっとも、どこの誰か見当が付いているので、それも確認作業になるのだが。

 

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