ぴっちりスーツなボイロ(筋肉娘)でスペオペ風ロボ物   作:その辺の残骸

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帰還と休息

 

 危険生物蠢く惑星に長居は無用。

 ピンク髪の茜が操舵を握る高速駆逐艦ガーベラ号は大気圏離脱のため、加速していく。

 

 大質量の船体を支え、推進させるブースターは轟然と火を噴き、慣性制御ドライブが大気圏内の飛行にまるで適さない形状の航宙艦に空を駆ける能力を与えていた。

 

 刀の切っ先を彷彿とさせる鋭い艦の両舷には高速飛行するマニューバフレームの姿がある。

 

 白に青の勇壮な機体と魔王の如き漆黒の威容。イクリプスとフューネラルだ。数万の敵を無傷で殲滅して、母艦の護衛に戻っていた。

 

 空間歪曲機構を備え、単機が艦隊に匹敵する絶対兵器という触れ込みであり、事実そのスペックに偽りはない。

 だが、実際にはパイロットの能力が重要であり、今回の戦闘で原生甲虫を殲滅できたのはひとえに蛮族ふたりの実力のおかげだ。

 

 紫髪の結月ゆかりと金髪の弦巻マキ。二人の会話は、通信チャンネルを通して、琴葉姉妹にも伝わっていた。

 

 そして、水色髪の琴葉葵はただいま赤面真っ最中。強くてカッコいいお姉さんズが、あまりにも明け透けな話をしているからだ。

 

『ゆかりーん、降りてトイレ行っちゃダメ? もう漏れそう』

 

『駄目です。我慢してくださいよマキさん。ていうか、そのまま済ませてください。

 ナノスキンスーツには処理機能があるんですから。私は昨晩と今朝の分はパックを使いましたよ、少し力むだけで吸い出されるのが良いですね。快適かつ合理的で、すっきりしました』

 

(ちょ、ゆかりさん!? いくらなんでもオープン過ぎや!)

 

 さも、当たり前みたいなクールな態度で公言するゆかりに、茜は絶句。

 バストアップ映像だから見切れているが、引き締まった下腹部をさするジェスチャーまでしている。

 

(まさかあの時も既にゆかりさんは――していて、プロテクターの下では有機物の分解処理がリアルタイムで……!?)

 

 クールな無表情で颯爽と歩む紫髪のゆかりは格好よく、葵は後ろ姿に見惚れることが多い。

 豊満でありながら上向き。重力に負けないほど鍛え抜いた臀部の筋肉を持つお尻なのだ。

 

 ゆかりのスーツ、その紫色の局部装甲の裏で起きていたかもしれない現象に水色髪の妹は想いを巡らせた。

 

『できればちゃんとトイレでしたいんだよね。スーツにすると、ヌメッとはしないけど変な感じがするじゃん、ゆかりんはあれ平気なんだ? あっ――やっんっ……』

 

 急に艶やかな声で、金髪の陽気ナイスバディが切なく鳴いて、それを聞いた琴葉姉妹はとうとう耳まで真っ赤に。

 心拍数は戦闘中よりも遥かに上がっており、危険なコンディション。

 

 マキは『ごめん。ちょっと揺れただけでもキツくなってきた』とのこと。よく見ると脂汗が美貌に滲んでいる。

 

 実は蟲退治の終わりごろから、ごろごろとお腹が蠕動するのを感じて冷や汗を流していたのである。

 

 弦巻マキは女から見ても、憧れるしかない超絶美人な八頭身お姉さんである。

 天然の金髪はボリュームがあるストレート。さらに綺麗な碧眼。

 そんな金髪ロングヘアの陽気なマキお姉さんが苦しそうな表情で、溢れそうなモノを堪えている。

 

 可哀想だがまだお仕事の途中。艦の腹には民間人を抱えている。

 

「二人ともまだ気は抜かないでくださいよ。それにですねマキさん、我慢は体に毒です」

 

 このままではあかん。意を決して、ピンク髪のお姉ちゃんは言った。

 

「あの、私もお姉ちゃんも結構その……必要な時はそういう風に処理していますので、マキさんも遠慮なく……すっすみません変なことを言っちゃって……!」

 

 もじもじしながら言葉を添える琴葉姉妹の水色妹。

 はっとなる紫髪と金髪。戦闘の興奮が冷めやまず、師匠の威厳台無しの会話をしていたと気付く。

 やっべー気まずいという顔になり、ゆかりとマキは視線を合わせた。

 

『これは失礼しました。全く言葉もありません。この結月ゆかり、心から反省します』

 

『茜ちゃんの言うとおりだね。反省反省――――ということでしばし御免』

 

 深々と頭を下げる紫髪のお姉さん。

 マキはおどけながら、通信ウィンドウをオフに。共有されたバストアップが黒背景に赤色文字のSOUNDONLYに変わる。

 

『せめて、コクピットにトイレ備え付けられたらな~』という金髪蛮族のボヤき。音声を切り忘れている。

 

 なにやら処理しやすいよう、姿勢を変えている様子。ナノスキンが擦れる音やプロテクターブーツの硬質な音がシートを叩くのが微かに聞こえる。

 

 マキさんは今どんな格好に――――イケナイ妄想が頭をよぎり、茜は「あかんあかん」とそれを振り払う。

 

 悩ましい吐息。苦しそうな呻き。解放感に満ちたため息。聞かれてはならない音は密着したナノスキンスーツのパックに遮られていた。

 

 すっきりした表情のマキが表示されるまでには、随分時間がかかった。

 

 既にシートに座り直しており、平然としている。

 

 金髪娘の表情からお尻の下は綺麗さっぱり処理されているのが分かる。この処理能力がナノスキンスーツの最も凄い部分だと、ゆかりは思っている。

 

 

 戦闘後も忙しかった。

 

 回収した研究者グループとその護衛の検疫、検査、治療。

 さらに、彼女たちのスポンサーであるアンゼリス系財団と協議の上での合流スケジュール調整などなど。四人で力を合わせ、分担してこなしたのだ。

 

 ガーベラ号の一行にとって幸いだったのは、高額な謝礼が即日振り込まれたことだ。

 

 しかし、万単位の巨大甲虫を駆除するのに消費した弾薬は膨大。弾薬費が収入を上回っていた。イクリプスが使ったアサルトレールガンなど、砲身が焼け付いている。

 

「赤字仕事になってしまいましたね」

 

「けどまー人助けって気持ちいいし、名前も売れたしオッケーかなってわたしは思うな♪」

「まあ、それはそうですね」

 

 救助した女性たちとの別れ際に、それはもう深く感謝されたので、ゆかりとしても損した気分は全然しない。

 

「何よりも仕事の後のお風呂は格別ですからね」

 

 湯舟に豊かなお尻を降ろした格好のまま、大きく伸びをしてみせる紫髪の蛮族。手足が長いので、そんな姿勢も映える。

 

 そう、少女たちは入浴している。

 

 兵器に溢れたガーベラ号の艦内を片付けるついでに、皆で入浴できる浴場を造ったのだ。これもまた、四人総出の共同作業。

 資材はレプリケーターで簡単生成したので、作業にかかった時間はそれほどでもない。

 

 琴葉姉妹とマキは湯舟に垂れないよう、髪を纏めていた。

 

 しかし、四人ともバスタオルを巻いていない。文字通り、ハダカのお付き合いだ。

 

 ゆかマキの流儀に茜と葵は合わせたのである。蛮族はバスタオルで裸を隠して入浴などしない。

 むしろ、鍛え抜いた筋肉を誇る宇宙時代の戦乙女たる肉体を誇示するのだ。

 

 ゆかりとマキの長身の肉体は腹筋が割れ、四肢にもはっきりとした筋肉が付いている。

 

 しかし、過剰に隆起しているわけではない。

 強さと女性の曲線美を兼ね備えたパーフェクトボディだ。

 

 対する琴葉姉妹の肉体は体質もあり、まだまだ武士として完成には程遠い。それでも、可愛らしい顔立ちから想像できないほどには筋肉があるのだが。

 

 ちなみに全員、首から下の毛は剃ってある。腋や局部の毛は特に不衛生の原因になるので、徹底的につるつるにしていた。

 

 

「それにしても、調査隊の方々は災難でしたね」

「どう見たって自然の産物やないもんなアレ。虐殺や。ハンティングやないで絶対」

 

 原生生物の大移動、その原因は地上からは何も分からなかったが、空からは離れた地の異変が見て取れた。

 

 夥しいほどの死骸――MFサイズから全長数百メートルはおろかkm級の長虫までもが殺し尽くされ、毒々しい体液が不気味な海となって砂漠を覆っていた。

 

 大型の原生生物を狩るために戦闘兵器を持ち出す趣味の悪い金持ちの話はあちこちで聞くが、ナトス・タブの虐殺を成し遂げるには途方もない戦力が必要だ。

 

「なんか胸騒ぎがするなぁ――――わたしは先に上がるね」

 

 立ち上がった拍子にマキの巨乳が揺れた。

 背の高い金髪のお姉さんがすっぽんぽんで歩く姿は迫力満点で、茜と葵は目が離せない。

 相棒の予感に紫髪のゆかりは神妙な表情。

 

 原生生物の大虐殺、それは地球が生み出した人狼(ルー・ガルゥ)の足跡であった。

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